第2話家出少女との一夜①

どうしてこんなことに…。


「そういえば、名前は?」


まだお互いの名前すら知らないからな。


「俺は、清水しみず嫌人けんとだ。そっちは?」


なんか自分の名前を人に言うのって恥ずいよな。うっ、昔の高校デビュー時の自己紹介の記憶が…


「私は西園寺さいおんじれいと言います。」


西園寺ってお金持ってそうな名前してるな。


「着いたぞ。」


どうやら、もう結構歩いたみたいで俺の家の前にもう着いていた。


「嘘をつくのは良くないですよ。」


そう思うのも仕方ないだろうな。ここ近所でも高級で有名なタワマンだもんな。


「ここの最上階の一室が俺の家。」


ちなみに自分はニートの大学生です。えっ、そんなやつがどうしてタワマン住めるかって?それは…内緒にしておこう。


「はぁ、見栄を張らなくていいのですよ。どうせ今夜だけ友達に貸してもらったとかそんなんでしょう。」


コイツ…殴ってやろうか?いやいや良くない暴力は。


「まぁ、そう思っときな。」


そうして家の中へと入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「好きなところに座りな。」

「そうさせて貰います。」


本当に可愛げがないな。今日は疲れたから風呂でも入って疲れを癒そう。


「俺は風呂入ってくるから。」

「わかりました。」


俺は風呂に入り湯船に浸かっていた。


「はぁ~。この時間だけは生きてることを実感できるよ。」


それにしても顔が整っているな、あの子。学校でも1番の美女で学校の先輩から妬まれるタイプだろうな。


「そろそろ上がるか。」


俺はバスタオルで体を拭き、服を着てリビングに向かった。


「ん?カレーの匂い?」


風呂場からリビングに向かう途中に、俺の鼻腔は香しいカレーのスパイスの匂いを感じた。そしてリビングの扉を開いた瞬間、更にカレーの匂いが強まった。


「カレー。食べますか。」


カレーの


匂いの正体は零がつくっていたカレーだった。


「つくってくれたのか。ありがとう。」

「別に、これくらい簡単につくれるのでお礼を言われる程のことではないと思うのですが。」


いやいや、自炊って結構めんどくさいものだからな。


「それにしてもあの大量のエナドリはなんですか?体壊しますよ。」


見られたか。あのゲーム徹夜用エナドリを。


「ゲームの徹夜用で買ったやつ。」

「まぁ、私には関係ないので好きにすれば良いと思いますが。」


本当に可愛げがないな!そこは心配とかしてほしかったよ。まぁ今はカレーに集中しよう。


「「いただきます」」

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