人嫌いが家出少女を拾ったら、なぜか好かれました

DJキウイ

1章 人嫌い、家出少女を拾う

第1話人嫌い、家出少女を拾う

12月25日。この日は愛で町中があふれる。だが愛とはなんだろうか?人を思いやる気持ちを愛と呼ぶのだろうか。否、それを愛と呼ぶなら人助けをした時点でその人を愛していることになる。俺はそんな答えが見つかるはずもないことを考えながら、無駄にイルミネーションでライトアップされた道路を歩く。


「今年も結局クリぼっちか。」


俺は一人が好きだから、別にいいんだけど。強がりではなく本当に人が嫌いで一人が好きなのだ。


「ん?」


目線に何か異端なものが引っかかる。その先を見ると幽霊のような青白い肌に老婆のような白髪のロングヘアーの少女があった。まるでこの世の理から切りはずされたような少女がそこにあったのだ。『あった』というのは、そう言うのが正しい表現だと思ったからだ。


旅行でも行くのかと思わせるような大きめのバッグに、冬にしては薄着の格好。


「家出だな。」


過去に何回も家出をした俺からすれば家出かそうじゃないかなんて一発でわかる。かといって何かをする気はないが。


「待て。あの子の年齢って何歳だ?」


18歳なら無視していたが身長と顔から考えるに14歳辺りじゃないか?流石に14歳の家出少女を無視して気持ちよく明日をむかえられるほど俺の性根は腐ってない。


「あー、めんどくせぇなー。」


俺は幽霊少女に近づく。


「君、年齢は?」


よし完璧なコンタクトの仕方。


「あの、子供扱いしないでもらっていいですか。私、高校生なんですが。」


高校生?てことは16歳〜18歳?マジ?どっからどう見ても中学生だろ。どう頑張っても高校生には見えないだろ。ていうか声、か細いな。まじで幽霊みたいじゃん。


「そうか。それじゃ。」


くっそ恥ずいんだけど。


立ち去ろうとしたその時だった。


「あの、今夜泊めてもらえませんか?」


もちろん俺の答えは決まっている。


「嫌だ。」


もちろん即答する、嫌だと。高校生なら俺は関与したくない。人なんてどいつもこいつも、どうしようもないゴミばっかなんだから。俺が声をかけたのは成人は子供を守ることを義務だと思っているからだ。だが高校生なら話は別、会話もしたくない。


「お願いします、一晩だけでいいんで。」


はぁ、厚かましい人だな。


「お金持ってるなら漫喫にでも泊まればどうだ?」


百点満点の回答だろ。


「お金…持ってなくて。」


嘘だろ!金なくちゃ家出なんて出来たもんじゃないだろ。


「あの、何でもしますんで。」


危機管理能力なさすぎだろ、この子。


「あのねぇ、出会ったばかりの男性にそんなこと言うもんじゃないよ。」


ん…?このまま、この子が警察に補導されて、俺の名前出されたらかなり面倒くさいことにならないか?


「お願いします。」


はぁ、気乗りはしないけど…。


「一夜だけだぞ。」


こうして家出少女を一夜だけ泊めることになった。

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