第15話 結婚式

 この時代、戦国時代日本においての結婚式は大体3日間に渡って行われた。



 まず、結婚式の前夜。新婦側ではおいとまいの式と呼ばれる儀式が行われた。これは家長を上座に据えて、新婦と対面しながら、素焼きの杯で、1~2度酒を酌み交わす。この際には、新婦の家族、親戚、一門などが揃っての宴会となる。



 翌日の早朝、新郎側よりお迎え役が数名到着。そしてこれでようやく新婦は出立する。



 その新婦側が到着した1日後、ようやく新婦は新郎と対面することになる。



 まず初めに新郎新婦は朱塗りのさかづきで微量の酒を酌み交わす「固めの儀」と呼ばれた儀式を行う。



 その後、新郎側の家族、親族、一門などだけで、宴が執り行われた。その夜、新郎新婦の2人はようやく夫婦の契りを交わした。



 3日目には、今度は「御披露目の儀」として、大広間に重臣たちを集め、新郎新婦が上座に座り、筆頭家老などと対面して、祝いの言葉が代表して述べられた。



 そして4日目にようやく2人は自由になるというわけでこれが実質3日間だと言われる所以だった。



 これは嫁入りの場合だろうが、逆も然りということで婿入りも似たようなものであった。ちなみに清姉上はわたしの父上、上杉輝虎の養女となっているため実質的なわたしの姉だ。なのでわたしが今日、今回の結婚式に参加するのは清姉上の家族枠だった。



 ここにはわたしの許嫁の喜平次も参加する。喜平次は跡継ぎだが、一応今は上杉家の家臣なので翌日の御披露目の儀も参加する予定だ。まだ、元服もなにもしていないわたしには関係ないが。



 ちなみにわたしの護衛役として一緒に参加するのは藤九郎。今は元服して史実通り直江信綱になった彼だった。



 別にわたしは与六や千代丸でも良かったが、与六は喜平次の護衛役として参加するため否。千代丸はまだ歳は7つと幼く礼儀もまだなっていないため、ちょうど元服したばかりの信綱が選出された。



「虎姫様、出来上がりました!」



「ふふ。随分と可愛らしい姿になりましたよ」



「ありがとう。お苗。お船」



 一応結婚式で晴れの日なのでわたしも正装した。この時代の女性(姫)の正装と言えば小袖の上にうちきを着た。これは簡略されたとはいえ、正直かなり重たい。わたしはまだ子供なので護衛役の信綱に抱き抱えられて移動することも可能だが、大人になるとそうもいかないだろう。



 なんて思いながら結婚式最中にへばる訳にも行かないのでわたしは信綱に大人しく抱き抱えられていた。



 今日の結婚式でようやく上杉景虎と対面する。わたしは姫で女衆なので隅でじっとしていなければ行けないのであまりよく見えないが、逆にあちらも見えないだろうからじっくりとは行かないが、その父上が一目で認めたという彼の容姿端麗さを堪能させてもらおう。わたしのくだらない野望を考えながら結婚にわたしは臨むこととなった。

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