わたしは婚約を破棄され、捨てられてしまった。しかし、隣国の王太子殿下に救われる。婚約を破棄した人物とわたしをいじめていた継母や異母姉は間違っていたと思っても間に合わない。わたしは殿下に溺愛されていく。
第4話 異母姉がマイセディナン殿下の婚約者になろうとしている
第4話 異母姉がマイセディナン殿下の婚約者になろうとしている
殿下はわたしの負担をなくす為に、今日二人をここに呼んだと言っている。
これから話し相手になってもらって、負担をなくしていく、ということもありえなくはないと思う。
しかし、今までの話からするとそういうことではないだろう。
既に二人は、わたしの心を傷つけるようなことを言っている。
とすれば、婚約破棄の話である可能性が強い。
いや、それは信じたくない話なのだけど。
殿下は、
「それでは話をしてあげることにしよう」
と言う。
微笑んではいるが、冷たさがその中にはある。
「ここにいるルアンチーヌは、わたしの婚約者だ。この度、めでたく婚約したので、お前に紹介したくて、今日ここに来てもらった。お前の姉が婚約者になるのだ。ブルトソルボン公爵家にとって名誉なことだし、お前にとっても親族、しかも、姉という近い親族が婚約者になったのだ。お前にとっても名誉なことだろう。さあ、みんなで喜ぼうではないか!」
殿下がそう言うと、異母姉は顔を赤くしながら、
「殿下、わたしを婚約者にしていただいてありがとうございます」
と言って頭を下げた。
異母姉も喜んでいる。
わたしはますます腹が立ってきた。
殿下は、わたしという婚約者を無視して、異母姉が婚約者になったといっている。
「殿下、それはどういう意味でしょうか? 婚約者はわたしで、お姉様ではないです。いつお姉様が婚約者になったというのですか?」
「これはおかしなことを言うものだ」
「おかしなことを言っているつもりはありません」
「わたしとお前がいつ婚約したというのだ。わたしはお前と婚約した覚えなどないんだが」
「何を言っているのでしょうか。王宮で正式に婚約式もしたというのに」
「婚約式? お前は夢の中の話をしているのかな。そんなことはしていないのだが」
国王陛下と王妃殿下、そしてわたしのお父様が見守る中、婚約式が行われている。
なぜそのことを夢の話をいうのだろう。
「それはお前の夢ではないのか? 夢の世界にわたしを付き合わせないでほしいものだな」
殿下は、わたしのことをあざ笑いながら言う。
殿下は、どうもわたしとの婚約自体をなかったものにしたいように思える。
どういうつもりだろう。意図がよくわからない。
わたしとの婚約を続けたくないのであれば、婚約破棄という形で来ると思ったのだけど。
しかし、いずれにしても、わたしが婚約者でなくなることには変わりはない。
せっかくここまで、殿下にふさわしい女性になる為に一生懸命努力してきたのだ。
このまま婚約者のままでいて、結婚し、王妃となってこの王国の為に尽くしていくという夢がある。
異母姉に婚約者の座を奪われたくはない。
「わたしは何といわれようと、殿下と婚約しています。殿下の為に尽くし、王国の為に尽くしたいと思っています。お願いですから、婚約した覚えはないとか、お姉様と婚約したというようなことはおっしゃらないでください。申し訳ありませんが、冗談でも言ってほしくはありません」
わたしはそう強く言った。
殿下が今まで言ったことが、すべて冗談だったらいいんだけど……。
わたしは強く思っていた。
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