第2話

私の名前はルッツ年齢は31で階級は准将だ。貧乏男爵家の3男だが軍の所属先に恵まれて今の階級を頂けた。


その命運も尽きたのが今回の辺境惑星の反乱鎮圧である。皇帝陛下の直轄領ではあるが、もともと資源も多くなく開拓するならもっと近くからしているので後回しになっていたのだが昨今そこに要塞が建造されていたのが確認された。そこで帝国内はどこの貴族かと大騒ぎになったのである。陛下の直轄領で要塞の建設を勝手に行っていたとなれば一族郎党死刑は免れないのだから。だが、どの貴族を調べてもそこまで怪しい物資の動きはないのだ。直径40kmにも及ぶ要塞の建設などできないのである。そこで帝国は外部から来たと判断したが、いきなり要塞をワープアウトさせたのか、それとも建設したのか不明だがどちらであっても今の帝国では不可能な技術体系だと判断した宰相は陛下に話し合いを提案して陛下も無駄な戦火は避けたいとして交渉に500艦の使節団を編成して派遣を数度にわたって送ったらしいが帰ってこれた者の話では、こちらの話を聞かないで自分たちの領土を主張していきなり攻撃して来たそうだ。


しかも謎の技術で護衛の戦艦が一撃で落とされたという。多少型落ちしていたとしても十分に主力の戦艦だった。また平和的な解決を望んだ陛下への返事でもあるのだ陛下はスグに討伐軍を差し向けることにした。


「私の前に野蛮人の首を持ってこい!!」


それが私の所属していた第一艦隊に下された勅命だった。


反乱の場所は帝国から遠く離れた辺境の地で休戦協定中の連合国とは反対側にあるのが救いだった。もしも連合国の近くだったら勘違いした連合国もしくは戦争させたい一部の人間によって火ぶたが切られたかもしれないのだから。


今回の出征では3万にも及ぶ艦艇で約600万人の動員となったAI制御でかなり人員の削減には貢献しているがそれでも1艦200人近くで動いている。5年前まで艦隊運用するには300人は必要だったのだから十分な成果だろう。


そして新造戦艦オリオンを旗艦としてアルバーノ大将が最高司令官として着任した。新型戦艦は300m級でメインエンジンは新型のエンジンである相転移エンジンでサブエンジンに核パルスエンジン4基という贅沢な仕様になっている。通常の戦艦で核パルスエンジン4基だがそれに新型のエンジンを追加した期間のその出力はすさまじく戦艦を一撃で中破させることができるという。しかもバリアも強化されていて戦艦の攻撃を受けても無傷だという。


何故、戦艦を一撃で撃沈できる相手に新型戦艦でも中破しかさせられない我々が進軍したのか。


陛下の威信にもかかわるからと言うのもあるだろうが。そう我々は信じていなかったのだ帰還した者達の話を誰も信用していなかったのだ。ただ500艦しかないからとか2000の艦艇で攻撃されたらそう感じるだろうと本気で思っていたのだ。まさか自分達より発達した技術があると思っていなかったのだ。内乱をおさめ他国との戦争の回避をしつつ立場は対等なものを保つためにも軍事力の手を抜くことは出来なかった、その自信が今回は慢心となったのである。


そして作戦宙域近くまで来た我々だったがアルバーノ大将は降伏勧告を送ったのだ流石に3万もの艦艇を見れば、たかが地方反乱なのだから戦意をなくすだろうと思っていたのだ。だがアルバーノ大将の思惑は外れた。向かわせた艦艇が作戦予定宙域付近でレーダーから消失したのだ。


このことにアルバーノ大将は怒り進軍したが作戦宙域で驚いたのはすでに敵は布陣が終わっているということなのだ。今回、3万と言う大艦隊ではあるがそれでもなるべく素早くそして隠れるように進軍して来たのに自分たちの行動が筒抜けであったという事実そして1万艦以上にもなる組織を甘く見てはいけないという事を忘れて開戦してしまった。そしてそこで起こったことは、まさに帰還兵の言葉通りの一方的な展開であった。たった一撃で沈む旗艦オリオンを確認して私はスグに退却指示を出した。敵前逃亡だがそんなこと言って立ち向かっても死んでしまうなら生存の確率を少しでも上げようと必死になって逃げまわった。あんなものと戦争なんて成り立たない。一方的な虐殺である。これほどの技術の差がいきなりポッとでたのは何だ?新しい組織の先遣隊なのか?イヤ!それより生き残る方法を考えるんだ。そう考えてきた時にそれはきた指揮権の委譲だった!もうすでに我が艦隊は敗走しているだけなのだスグに全面降伏を全チャンネルで送信させた結果我々は生き残ることに成功した。


だがその後の光景には目を覆ってしまった。指揮官として相手の責任者にあったのだがなんと人間ではなかったのだ。いわゆる絵本などで出てくるエルフというものだった。それ以外にもデーモンだったりオークというファンタジーな人種?が多くいる多民族国家だったのだ。しかも攻めてきたからやり返しただけで進出する気持ちはないという事であった。それなら私が帰還して友好的な条約を結ぶことが出来るからと提案してみたがそもそも、友好関係を気付くつもりがないというのだ攻めてこなければいいだけなのだから簡単な事でしょ?と言われたが立場上そうですねとは言えなく苦笑いがでた。


そして有難いことに快適な捕虜生活をおくらせてもらっている。ちょっとした肉体労働はあるが訓練ほど厳しいものではなかったので適度な運動として働く働かないと飯にありつけないのだ。そもそも反乱だと思っていたのだ戦争に対する条約もなにも無いので働くだけで飯にありつけるなら文句を言えない。下手に刺激して「じゃあ全員死んで」と言われてもおかしくない状況だからだ。


そうして生活をしているとファンタジーだと感じるのが魔法の存在である。バカな事だと思うかもしれないが彼等は普通に魔法を使うのだ。当たり前のように水を出し土を耕し風を起こし快適な生活を営んでいる。そんな魔法が使えない我々に対して親切丁寧に対応してくれたのはDC05という名前というか型式のような名前のエルフであった色白で身長は160くらいだろうか?切れ長の目に長いまつ毛にスレンダーな体系…はっきり言って好みというよりこれほどの美女が他にいると思えないのだ。


そんな生活をが数ヵ月続いた時に彼女から話が合った。


「この場所にあなた達の艦艇があります。武装は使えなくしていますが研究用に残されています1週間後に近くの惑星に定期調査に向かいます。その時に警備が手薄になりますので逃げてください」


確かに彼女は友好的ではあったがジーンという主に忠誠を誓っているはずなのだ。


「それは我々にはありがたい話ですが急にどうしたのですか?」


そこで彼女は悲しそうな顔で語りだす。


「実はあなた達への対応の話で送り返すのとこのまま労働力として扱う以外に人体実験につかう話が上がって来たんです。何故魔法が使えないのかどうすれば使えるようになるのかを試そうというものでした。その話にみんな乗り気になってしまったんです。魔法が使えなくても人である事には変わりません。そんなあなた達をモルモットには私には出来ません。だから逃げてください。」


そういう彼女の目には涙があった。


「ありがとうございます。貴方の優しさに甘えさせてもらいます。」




そして1週間後




「ダマされてるんじゃないですか?手薄ってレベルじゃないですよ?」


「だが他にやりようもないのも事実だ黙って走れ」


そう我々は脱走しようとしているのだが何故か今日は仕事が休みになった。最初は警備が手薄になるからだと思ったが我々の行先にゴブリンもコボルトも誰も居ないのだしかも鍵が分かりやすく置いていたり鍵が閉まってない場所なんかもあった。彼女の涙を信じたい俺としては偶然もしくは彼女の采配による手助けだと思いたかった。


「准将ありました!我々の艦艇です」


「よし!手筈通り乗り込めここまで来たら全員で逃げるぞ」


そして総勢160万人5000隻もの大脱走劇は成功した。あとは帝都に帰るだけだ。と液体金属を抜けたらそこには艦隊が………居なかった。


ここまで露骨だと向こうの意図が流石に読める。彼女たちは我々を逃がしてくれたのだと、どのような思惑かは分らなかったが戻って目で見たものを報告して帝国のためにも彼等との友好条約を締結しなくては今のままでは帝国に未来がない。例え全軍20万の艦艇を出しても意味はないだろう。勝てる気がしないのだ。しかも今回は新造戦艦オリオンが一撃で撃沈したデータもあるのだコレを確認したら流石の陛下も考えを変えざる負えないだろう。

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