小惑星がダンジョン化して移動要塞になりました

@iyomikan1220

第1話

俺は天井を眺めながら後悔していた。


確かに神に願ったのは俺だ。そこは認めよう。


だがしかし、ファンタジー系の田舎でダンジョンマスターやりながら引き籠もり生活したいって言ったらSFファンタジーで辺境宇宙にある小惑星に送り込まれると思わないだろ。


しかも人類は近くの惑星には居ないという有り難いお言葉も頂戴しております。予想以上の辺境で泣きそうだよ。




先程のことを思い出す。




俺は真っ白な空間を漂っていた。


「ここはどこだ?移動できるかな?」


手足をバタつかせてみるが特に変化はなさそうなので諦める。


ボーっすること数時間精神的に癒されこのままでもいいかなぁ〜と思い始めた時にやって来た。


「いたいた!移動されたら困るじゃないか」


そう言いながら真っ白いワンピースを来た少女13歳くらい?の子供が困った顔で立っていた。


「漂っていただけなんですけどね。おじさん?お兄さん?にどんな用事があるのかな?生憎お金は持ち合わせがないよ?」


「そんなのいらないよ。私はおじさん(おじさんなのかぁ〜)を異世界に転生するために来たんです!!」


そう言って胸を張って偉ぶるも胸は慎ましい。


「なんか変なこと考えてない?」


「滅相もない」


「ホントかなぁ?まあ良いけど、それでどんな転生内容と特典にするか決まってる?」


軽く睨まれているが誤魔化せたようだ。


そう聞かれたならばスグに答える準備をしておくのが粋ってもんよ!(謎理論)


「それだったらファンタジー系のダンジョンマスターになりたいです。そして人が滅多に来ないような辺境スタートが良いですが、もちろん定番の言語理解・鑑定とアイテムボックスの3点セットは標準装備ですよね?」


それを聞いた少女は問題無いからもう少し盛れるとのことで彼女が提案してくれた内容としては俺は不老・魔晶石精製・魔石錬成そして基本魔法の適正、ダンジョンコアは生産・召喚・魔力自動回復と少しだけだったが良いだろう。


「では転生させるぞ?ファンタジー系の世界でダンジョンマスターで間違いないね?」


念押しで確認してきた少女に自信満々に「はいっ」って返事をした。してしまったのだ。


光に包まれると俺は知らない部屋へ転移していた。


そこは12畳ほどの1DK(トイレ風呂別)だった。


ベットと机があり、まさに中世風の雰囲気だが明かりが光球なところがファンタジー要素で好みだ。あと部屋の真ん中にあるクリスタル(ダンジョンコア?)がちょっと邪魔なので隅に避けておく。


取り合えずステータスの確認からだな。


「ステータスオープン!!」


レベル1 名前:DM(自称:ジーン)


種族:ダンジョンマスター


HP:20/20 MP:20/20


力:9   素早さ:5


体力:8  器用さ:6


知識:4


スキル


異世界言語、鑑定、アイテムボックス、不老、魔晶石精製、魔石錬成


名前!!ちょっと名前おかしくない?DMって絶対ダンジョンマスターの頭文字でしょ?しかも自称ってなんだよ!!まあ画面上だけだし良いとするか?


名前以外は、こんなものだろう。


次にダンジョンコアを鑑定してみよう。


「鑑定!」


種類:ダンジョンコア


レベル1 名前:DC


MP1000/1000


スキル


生産、召喚、魔力自動回復




ダンジョンコアだからDCなのね。2回目はツッコんでやらんぞ。そしてMPが1000と俺の50倍もあるのは多いという事だろう。


最初は召喚で色々とサポートしてくれる人型を呼ぼう。右手でDCに触れながらイメージする。


種族はやっぱりエルフかな~。いや!ここは性癖に正直になりダーク(褐色)エルフで切れ長の目に髪型は銀髪が腰まであるストレートで現れろ!!


「召喚!!」


・・・


エラー発生


召喚を停止


・・・


マスターの要望(性癖)を考慮して生産スキルで再起動


・・・


・・・・・・


成功


マスターの要望(性癖)を考慮してDCに疑似人格を生産


・・・


・・・・・・


失敗


情報不足と判断


サポーターとして疑似人格を再生産


・・・


成功


疑似人格とエルフをリンク


・・・


成功。




ちょっと納得はいかないが結果ヨシだろう。


目の前のDCが光り輝きその中から人が現れる。


「初めましてマスター、私はDCよろしくお願いします」


「初めましてDC俺はジーンよろしくね」


お互いに握手をする。


「俺としては引きこもりとしてゴロゴロしていたんだけど良いかな?」


「マスターそれはオススメできません。現在、魔力の貯蔵が減っているのでこのままでは1ヶ月もすればマスター魔力切れで死んでしまします。」


それを聞いて余命1ヶ月と聞き俺は驚くしかなかった。


「どういう事?もっと詳しく説明して延命処置は?」


「はい。生産スキルの使用により960消費しましたので現在の魔力貯蔵量は40しかありません。維持するのに毎日5消費します。そして魔力自動回復が3なので毎日2減っていきます。なので貯蔵が無くなったらマスターの魔力を消費するしかないので約30日で魔力枯渇で死んでしまいます。なので常に魔力を補充するしかありません。方法は1種類です。ダンジョン内に何かを取り込むしかありません。取り込むのは何でもいいのですが生命体が存在しない存在しない現状では採掘によるダンジョンの拡張で採掘したものを取り込むことになります。」


更に驚きの情報だ生命体が居ない?


「生命体が居ないってどういう事?」


「はい。ここは直径20kmの小惑星ジーンです」


「俺の名前がついてるし!!」


「基本第一発見者の名前が付くものです」


「ああ。俺の引きこもりスローライフ生活が…」


俺は天井を眺めながら後悔していた。


「マスター天井を眺めるのも良いですが対策しないと死んでしまいますよ?」


そういわれ気持ちを少し入れ替えてイヤイヤながらも働くことにする。


「それで採掘ってどうするの?自分で掘るのは嫌なんだけど」


そんなことを言うジーンにDCは呆れる。


「マスターはダンジョンマスターなんですよ?ゴブリンを召喚して働かせるんですよ1人では無理ですからね」


確かに言われてみればそうなのだがと考えている時に気付く


「そういやなんでお前の召喚で960も使ったんだよ?大丈夫なの?召喚してすぐに死ぬとか嫌だよ?」


「召喚では無くて生産ですね。それも人です。召喚は呼び出すものなのでマスターの性癖(要望)を指定できませんので1から体も人格も生産しています。だから消費量も高いですがゴブリンの召喚でしたら1消費で3匹ついてくるお得なセットになっています。なのでゴブリンを18匹召喚して生産でピッケルなどの採掘キットを4つ生産してください。そうすればダンジョンの拡張しながら魔力も少しは回復するはずです」


その説明を聞いてジーンはすぐさま取り掛かる


「召喚!ゴブリン」「召喚!ゴブリン」「召喚!ゴブリン」「召喚!ゴブリン」「召喚!ゴブリン」「召喚!ゴブリン」


「生産!採掘キット」「生産!採掘キット」「生産!採掘キット」「生産!採掘キット」


「ふ~、こんなものかな?残りMPはどうなってるかな?鑑定」




種類:ダンジョンコア


レベル1 名前:DC


MP30/1000


スキル


生産、召喚、魔力自動回復




ゴブリンへの指示はDCがやってくれているのでジーンはゴロゴロしようとベットに行くところをニッコリ笑顔でピッケルを持ったDCの圧に負けて自分もピッケルをふるう羽目になった。


「手が痛いよ~」


「ファイトですマスター」


ゴブリンたちもギャアギャア言って俺を応援しているようだ。






翌日


「そういえば俺もだけど、みんな昨日から何も食ってないけど食料って必要ないの?」


「どちらでも大丈夫です。食べなかったらその分魔力を消費するだけです」


なるほどねと納得して今日もピッケルをふるう掘った瞬間から消えていくので手間は無いのが救いだ







……




………




そんな生活が1ヶ月が過ぎた。




「鑑定」




種類:ダンジョンコア


レベル1 名前:DC


MP48/1000


スキル


生産、召喚、魔力自動回復




微々たるものだが回復している。


ついでにステータスも確認してみる


「ステータスオープン」




レベル1 種族:ダンジョンマスター


HP:20/20 MP:20/20


力:11   素早さ:5


体力:10  器用さ:6


知識:4


スキル


異世界言語、鑑定、アイテムボックス、不老、魔晶石精製、魔石錬成




「レベルは上がっていないが力と体力が上がってる」


「この1ヵ月の成果ですね。マスター。ちなみにレベルはダンジョンマスターとしてのレベルなのでレベルが上がって能力値が上がるという摩訶不思議現象は起きません」


「ダンジョン自体が不思議な現象だけどね」と苦笑いしてしまった。




その後もDCのサポート(介護)は続いた5年後




「マスターお話があります」


ジーンは生産で出した漫画をベットで寝ながら読んでいる。


「なになに?」


ちなみに今日は非番なだけで採掘を辞めたわけではない。


「MPは満タン近くまで回復しましたが今のペースだと後10年もすれば採掘する場所が無くなってしまいます。ですので農耕・畜産を提案します。ダンジョン産では自給自足できないので近くの惑星から採取してくる必要性がありますので採取用に輸送船の生産許可をください」




現状のダンジョン


ゴブリン:300


コボルト:300


オーク:150


リザードマン:100


ミノタウロス:50


ケンタウロス:50


ワーウルフ:10


ワータイガー:10


ガーゴイル:20


デーモン:3


ヴァルキリー:3


消費MP 50/日


回収MP 55/日




「君達ってダンジョンから出られるの?」


「はい。ダンジョンは一定数以上になるとスタンピートとして外へ出ることが可能です。ただ宇宙を行き来する物が必要ですので、その生産を提案します」


「分かったけど、どれくらいの性能の物を作ればいいの?」


「大気圏離脱能力は必須です。あとは輸送目的なので100人ほどが乗れたら大丈夫です。なので魔石を1つ精製して魔晶石を念の為1個精製してください。後は私たちがやりますからマスターは必要な素材を生産してくだされば大丈夫ですので心配いりません」


輸送船とは、とうとうSFチックになって来た。そう思うジーンだった




魔石精製


成功


MP300消費


黒い水晶が出来上がる




魔晶石精製


成功


MP100消費


紫色の水晶玉




残りMP549




「マスター、アレを生産してください」「生産」


「マスター、コレを生産し」「生産」


「マスター、ソレを」「生産」


「マスター、」「生産」


「マ」「生産」


「生産」


「生産」


…。


……。




そんな感じで2年が過ぎた。




ついに最初の船が完成した。


ダンジョンを外までくりぬいた桟橋に来て四角い弁当箱のような輸送船を見る。


(空気はダンジョンの仕様で出入口を魔法的なもので守られている)


そしてヴァルキリーを中心に100体のモンスターが乗り込む運転は上位種族なら1人で可能まように作られた。


船のエンジンは魔石を使った魔道エンジンで船体を強化魔法で底上げして更に魔法障壁も展開できる。武装は念の為に魔道レーザーが一門ついているだけだ。そんな輸送船を見送るジーンとDC


「いってらっしゃーい!!」


「いってらっしゃーい!!」


「さてと果報は寝て待てって言うしゴロゴロしてくるよ」


「分かりました。私は小惑星ジーンを網の目状に補強しておきますね」


「うん?あ・ああ分かった?」




…。




……。




そして数ヶ月が過ぎて輸送船が帰って来た。




取り合えず手当たり次第に持って帰って来たみたいで色々ある。


そして農耕・畜産のチャレンジ&トライを繰り返す。




2年後には消費量をペイできるようになった。




更に5年後には人口50万人という、とんでもない規模になっていた。




更に10年後には直径40km地点を5kmの厚さのリキッド・オリハルコン・スライム(液体金属モンスター)によって覆われると内側がダンジョンとみなされたのだ。


ここまでくると流石に働かないでDCに言われたものを生産するだけの引きこもり生活をしているジーンであった。


これだけ居れば娯楽にも力を入れているのでテレビなり漫画なりには困らない。


そんな生活を4年ほど続いた時に知らされた。


「マスター、銀河帝国を名乗る艦隊から降伏勧告を受けておりますがいかがいたしましょう」


寝耳に水でアホ顔を晒すジーンにヤレヤレと言った風に説明する。


2年前から何度か接触があったがその時は適当に任すと言われて撃墜したこと。


今回は将軍が3万艇の艦艇による軍事侵攻である事


「なんで友好的に対応できなかったの!?」


「私たちはモンスターなので基本サーチ&デストロイですので違う対応なら指示して頂かないと困ります」


とムスッと頬を膨らまして怒ってますのポーズをとるのが、あざと可愛いいと思ってしまうジーンだった。


「可愛いなぁって違う!軍事侵攻ってどうしたらいいの?」


「マスター、はいつもの様に私たちに任してくだされば問題ありません」


その言葉を聞いて安堵するジーン。


「良かった。じゃあ後の事は任したよ?」


「はい!マスターお任せを!」




~DC視点~


メインブリッジにくると私は量産型DC達に指示をだす。


「DC02戦艦2000。DC03及び04は巡洋艦をそれぞれ2000。DC06は空母1000。DC09と10は駆逐艦各3000。で発進!!奴らを殲滅する」


私は高揚していた。戦いにではないマスターに任されたという信頼にである。この信頼にこたえるためにも降伏するのはどちらか教えてやるべきだろう。


小惑星ジーンから離れた場所に私が陣形を組み終わるとレーダーに艦艇がうつる。


「奴らに通信を送る。これより先は主であるジーン様の領土だ。それ以上、進行するなら敵と判断して迎撃する」


「この宙域は皇帝陛下の物だそれを知らん田舎者の集まりが偉そうなことを言う。スグに武装解除をして全面降伏するなら命は助けてやるぞ。それに女の陰に隠れるジーンとかいうものなど怖くないとも」




プチン


何かが切れたような気がする。


「全艦、魔晶石を燃やせ!魔導縮退炉を始動メインエンジンを魔導エンジンから魔導縮退炉へ切りかえ。…全艦、とぉつげきぃー!!」


その号令とともに各艦が白いオーラに守られながら全速で突き進む。


帝国は一糸乱れぬ陣形で迎撃態勢に入っている。


そしてお互いに射程圏内にはいる。


「うてぇー!!」


全艦が魔導縮退砲を打ち込む。


それは同じタイミングで撃ったはずの攻撃なのに一方的な展開だった。


DC達の攻撃は射線上のすべてを破壊したのに対して被害は無し。


魔導縮退砲で、かき消されたか届いても魔導障壁に阻まれていたのだ。


「ふん。何も魔法的処置がされていないレーザーなど意味がない物だと気づいたかしら?」


たった1回のやり取りで1割の損害は出ている。


「ドンドン行くわよ!」


ああ、我が軍は圧倒的ではないか。


相手は3割の損害を超えたあたりで撤退を…と言うより潰走しはじめる。


そこを更に叩き相手の損害が7割に達した時にきた。どうやら将軍が死んで指揮権が委譲したようでその者は全面降伏を申し出てきたので、それを受けることにした。初めからそうしていればいい物を。


~DC視点~終わり




ジーン艦隊の初陣は華々しい成果を上げた。


「と言う次第です」


そう自信満々なDCに対して引いているジーンだった。こいつは怒らせたらダメなタイプだそう認識された。


「それで降伏してきた人たちはどうするの?」


「艦艇の3000は解体して技術研究や資源として使います。2000は騙し討ち用に魔改造します。残りは武装解除して置いておきます。」


「なんで置いておくの?」


「勝てない勝負だと認める為には生き証人が必要でしょうから。彼らを脱走させようと思います。労働力としてもイマイチなので居るだけで無駄飯くらいですからね」


「それでも諦めなかったら?」


「ジーン?最近、出来るようになったのですがダンジョンコアを使うと魔法で小惑星ごと移動できるんですよ?」


「あ・はい。」


ジーンは改めて思った怒らせたらダメなタイプだ。

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