日にち4

「リュウ様は休まれないのですか?」


「休み?休日のことか?」


「そうです。リュウ様は毎日鍛錬かお仕事に精を出されていますから。」


「まあ、他にやることもないしな。それに、鍛錬は一日でも怠ったら行けないからな。」


「素敵です。」


「何が?」


「勤勉なところがです。」


「俺のこと褒めて何か買って欲しいものでもあるのか?」


「そういうことではありません。純粋に素敵だと思ったのです。」


「そうか。」


最近、マリは俺のことをやたら褒めるようになった。

オーガを倒して、中級冒険者になった俺の稼ぎが良くなったから、媚びてきてるのだろうか。

まあ、気分が悪いものでもないし、別にいいか。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「リュウ様、お願いがあります。」


(キタキタ、卑しいやつだ。)


「お願い?」


「はい。リュウ様との子供をもうけたいのです。」


「えっ?」


「リュウ様との子供をもうけたいのです。」


「いや、聞き取れなかったわけでなく、なぜ、子供が欲しいんだ?」


「繋がりが欲しいのです。見捨てられないように。」


(なるほど、マリは俺がこいつに飽きたら捨てるとでも思っているのか。)


「俺がそんなやつだと思っているのか。」


「いえ、そうは思いません。ただ、ただ、、、、。」


「ただ?」


「怖いのです。リュウ様に私が釣り合っていないですから。」


(えっ?異世界の常識ってそうなの。それともマリの自己肯定感が低いのか)


「そうか。まあ、いいぞ。子供作ってやる。」


「本当ですか!!」


「ああ。ただ、子供を作ったとしてもお前は俺の性奴隷だぞ。」


「はい!。もちろんです!!」


(俺って今結構クズなこと言ったよな。なんでこんなに嬉しそうなんだ?)


異世界の常識の前では日本人の常識など無力なのだ。


この日から、妊活が始まった。

いつもは、ある魔物の魔石を粉にして食べることで避妊をしていたが、これからはそれが必要なくなった。


ーーーーーーーーーー

2月後、みるみるマリのお腹が大きくなった。

獣人は早く子供を産めて、お腹が大きくなったとしても狩りができるほど元気なのだ。

異世界なりの進化だろう。


「パパ!!抱っこ!!」


「はいはい。」


ミリの成長も早い。まだ1歳児なのに既に3歳児並みに大きい。言葉も喋れる。


「あれ!あれ!!」


「分かった、分かった。」


ミリのあれとは、高い高いのことだ。

正直、オーガと戦うよりミリの相手をする方が疲れる。


(近所のガキどもと遊ばせておくか?でも、危ないしな。)


ちなみに今の俺の稼ぎは一日、大体10万円程度。日給10万円なのだ。

自分の才能が怖い。

税金で大体,一律10パーセント取られるだけで、ほとんどが手取りになる。


ーーーーーーーーーー

更に、数ヶ月後。

マリが俺の子供を産んだ。

髪が黒色の女の子だ。耳と尻尾があるから獣人なのだろう。

この世界ではハーフというものが存在せずに異種族で子供を産んだら、どちらかの種族になる。


「よくやった。マリ。」


「はい。リュウ様。」


異世界に来て、父親になった。不思議な気分だ。

赤ん坊が可愛い。マリもいつもより綺麗だ。


ーーーーーーーーーー


「寝つきが良くなる薬をくれ。」


「なんだいリュウ。また、子供を作ったのかい?」


俺にいつも指名依頼をしてくる薬屋のババアに赤ん坊の夜泣きを抑える薬を出してもらった。


「俺もいい年だからな。子供の一人や二人作るさ。」


「それもそうさね。女房を大事にするんだぞ。」


「分かってる。」


性奴隷を買ったなんてバレたら、社会人としての信用に関わるからな。

結婚したことにしている。


「また、仕事を依頼するからね。」


「ああ。毎度あり。」


ーーーーーーー

子供の名前はリリにした。覚えやすいしな。

ついでに、結婚している証である腕輪をマリに渡しておいた。

泣いて喜んでくれた。腕輪があれば襲われずらくなる。

夫から復讐される恐れがあるからさ。


「リュウ様、私、今幸せです。」


「それはよかった。」


ーーーーーーーリュウは29歳になった


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