第9話 進む先へ
進路相談は、理人の後だった。理人が終わって、親と教室から出てきた。
「ありがとうございました」
お礼をして、理人の父親と次の番の母さんが挨拶をした。俺たちは目線を合わせた。理人は父親の前だったからか、少し恥ずかしそうだった。
「先生、
いきなり、何を言うこの母親。先生は母さんの
「和人君は頑張ってますよ、バイトしながら勉強も。よく両立されていると思います。このまま頑張れば志望校の範囲に入っているので可能かと……」
二人で、先生の言葉に
「ありがとうございます」
よし、これで終わった。ちょろいもんだぜ。早く終わろうと立ち上がろうとした瞬間……
「先生、うちの子は学校でご迷惑お掛けしてないでしょうか」
おい!
「へっ? ああ、学校生活ですか。いや、そんな迷惑だなんてないですよ。よく、クラスを、まとめていますよ」
「まとめている? 先生、誰か他の子と間違えてらっしゃいませんか」
失礼な、自分の子どもだぜ、これは後で
「いやいや、お母さん。和人君はクラスのムードメーカーでもありますから。自然と人が話しかけて笑っているのを、よく見かけますよ」
「まあ、お家では
「はい、なので大丈夫ですよ、頑張ってます」
「ありがとうございます」
俺は、先生の担任の生徒で良かった。ありがとう、先生。
学校に出ると、母さんと二人で歩きながら
「何だよ、他の子と間違ってるって。先生が間違えるわけないだろ、恥ずかしい」
「ちょっと確認してみただけじゃない。でも……あんたちゃんとやってんのね。なんで、家でもっとしっかりしないのよ。そしたら、うるさく言わなくて済むのに」
「ほら、家って休むところじゃん」
「いや、カッコいくないから。私が休まらないわ。でも、お母さん嬉しい。よし、今日はあんたの好きなカレーにしようか」
「いいね、カレー久しぶり」
家に帰ろうとすると、グイッと
「ちょっと、あんたどこ行くの」
「どこって、家だけど」
「カレーを作るんだから、スーパーに行くのよ。特売があって、一人何個までってあるんだから。どうせ、帰ったって寝るんでしょ」
「嫌だよ、一人で行けよ」
「だめよ、荷物あるんだから一人じゃ持てないわよ」
二人で押し問答しながら、スーパーに向かった。
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