第5話 あの日
3年前の中学1年生の時のこと。俺は暴力事件を起こした。男子高校生2人の人生を壊してしまった。
当時の天音香織も今と同じように才色兼備の生徒として、学年を通じて人気だった。性格の方は今とは違うのかもしれないけど。俺は、ただ勉強が出来るパッとしない生徒。彼女との面識は一切なかった。
衣替えの季節になったばかりの夜。俺は両親の影響で幼少期からボクシングを趣味程度で習っていた。それの帰り道、俺は1人で帰路に就いている途中。その時の俺は友人も少なからずいたし、それなりに楽しい生活を送っていた、間違っていない人生だった。
俺はその夜、たまたま見てしまったんだ。あの、天音香織が高校生らしき男2人に乱暴されかけていたところを。
天音香織は、高校生と付き合っているという噂はあった。それは有名なものだったし俺も知っていた。
しかし、その高校生の目的は彼女の身体だったようで、俺はそれを運良くその場所を目撃してしまった。
誰も通らないような路地裏での犯行だった。俺は、スマートフォンで撮影を開始して、証拠を撮ろうとした。
そこから俺はどうしていいのか分からなかった。警察に連絡しても絶対に遅いと思った俺は、決断もせずに、高校生の1人を殴っていた。
俺がやるしかないと馬鹿みたいな正義感に駆られた。天音は目を見開いて立ち竦んでいたが、すぐに逃げろと命令して、家に返した。
もう1人残っていた高校生は、血でまみれた仲間を置いて逃げようとしたが、俺はそいつを逃がすことはしなかった。
気付いたら、その男も殴っていた。その男たちが二度と同じ誤ちを繰り返さないようにずっと痛め付ける。
そのあと、警察が来て俺は保護された。
その後に、俺は録画した高校生の顔写真をネットに勝手にアップして、彼らは退学した後に働いていた会社をクビになってしまったらしい。
事件が起きた次の日から俺は学年・・・・・・いや、学校全体から嫌われた。まあ、当然の結果である。若気の至りで済めば良かったのだが、それにしては失う物が多かった。
廊下でたまたますれ違った天音は、暑い季節にも関わらず長袖を着ていた。俺になにか言いたげだったのだが、俺はそれを無視した。
身勝手に行動して、人に迷惑をかけて嫌われたなんて都合が良いかもしれない。でも、もう戻れない。なら、
彼女の善意を利用するしかないと思ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます