第3話 重い日常

 天音と別れて教室に戻る。残念なことに友達なんてのは1人もいないので、教室に戻った所で話す相手もいない。そして、俺に話しかけてくれる優しいヒロインなんてのもいない。


 天音も自分の立ち位置的に話しかけてこない。いや、全部あいつが悪いんだけどな。


 はぁ、友達がいないってのは悲しいな。でもあいつと友達になるのは死んでも嫌だよなぁ。


 廊下を歩くだけで、俺は冷淡な視線を浴びせられる。ボソボソと噂話に耳を傾ければ良からぬ事ばかりが、耳に響いてくる。


「あの人、ヤクザの息子らしいよ。この前、部下を沢山連れているのを見たって子が言ってた」


「え、そうなの?私は、万引き常習犯だって噂を聞いたことがあるんだけど・・・」


「怖すぎでしょ。よく学校来れるよね」


 まあ、これが毎日だ。俺も参ってしまいそうになるがどうしようもない。そして、その噂を流した奴の予想はつく。


 こんな状態なのに、教師は助け舟を出してくれない。理由は簡単だ。事件が起きたのは紛れもない事実なのだから。守りたくても守れないのか、それとも面倒事に関わりたくないだけなのか。


 ・・・・・・どちらにせよ、状況は刻一刻とすら変化は無い。何をしても逆効果だ。


 教室に着くや否や、俺に視線が集まる。誰か何か言ってくれれば俺も少し楽になるのかもしれない。ただただ見られるだけは困るし意外と精神をすり減らしていく。


 因果応報。そう言ってしまえば早いな。そう、あいつのせいにした俺が全部悪いんだ。暴力沙汰なんて起こさなければよかったんだ。


 悔いはある・・・・・。当たり前だ。色んな人に迷惑を掛けたんだから。だけど。


 俺は後悔はしていない。だって。だって。


 ​───────天音香織は、生きているんだから。

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