第4話

今日はお母さんがパートで帰りが遅くなる日だ。なので私が料理を作り、父と母の分を冷蔵庫に入れておく。こういう時は家庭科部にいてよかったと少し思える。


『ちゃんと話してみたら期待裏切られたよ』

白波瀬も学校のチアキだけがチアキじゃなかったんだ。テキトーな、お決まりの会話じゃなくて、変に頭を使う会話をしたかったんだ。つられて私も違うチアキを少しだけ見せてしまった。

正直心地よかったな…。


だけど冷たいチアキは見せてはいけない。

自分でも自分が怖いのだから。


ああ、白波瀬になら恋はできるだろうか。席近いし、なんか気に入られたっぽいし、いっぱいドキドキできるだろう。


ドキドキを積み重ねていけばいつか恋になるんだよね?


「痛っ」


包丁がピーマンではなく指を切りやがった。


「いただきます」


親や友だちは心配するけど、ぼっち飯はあまり辛くない。


私は家族にでさえも執着がないのか。


そう思うと途端に怖くなって気持ちが悪くなる。


「ダメっ!!嫌いっ!!よくないっ!!」


家族と友だちが大好きで、好きな人がいて、そんな普通の女子中学生に、ならないと。


また恋する乙女を演じよう。


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