第2話
「
名前同じだ。
夏休みの終わり、うちのクラスに転校生がやってきた。
転校生は隣の隣の席に座った。
「髪長くねー?結ぶのダルそ」
「ダルいけどまめに切る方がダルい」
「なんだよそれwww」
「床屋で座ってるだけだろ?」
「首疲れんじゃんあれ。クソつまんねーし」
「ちょっとぐらい我慢しろよwww」
変なやつ。
「なんでこの時期に来たん?」
「あー離婚離婚」
「あっすまん…」
「いいよいいよ。も〜そんな顔すんなよ〜!!楽しくやろうぜぇ半年しかないんだから」
隣の隣の席はあっという間にたくさんの人に囲まれた。顔がいいから女子たちも遠巻きにキャーキャー言っている。
くだらない質問にくだらない返答。それで笑い合う。
ハーフアップにまとめられた後ろ髪が揺れる。
だけど前髪の奥にある澄んだ瞳だけが笑っていないように見えた。
ちょっとドキッとした。
面白そうなやつだと思った。
「ねぇ」
「私もチアキって言うんだけど」
「奇遇だね。それで?」
「…いや。別にそんだけ」
「…そっか。んでなんだっけ、あーカラオケ?日曜日?オッケオッケー。あ、チアキさんはー?」
「…予定あるからいい」
全然面白くないじゃん。
なんで急に冷たいの…?私悪いこと言った…?変なこと言わないようにしたじゃん…。
モヤモヤしたまま1週間が過ぎた。
白波瀬はすっかりクラスに馴染んだどころか人気者だ。
日直日誌をまとめるのに時間がかかり遅くなってしまった。
一緒に帰る人いるかな。
一華たちは今日部活か。そういえば大会近いって言ってたな。運動部は大変だな。
なんとなく入った家庭科部は活動という活動はほぼしていなくて、週に一回料理か手芸をするだけだ。そして私はとても上手いとは言えない。
何のためにやってるんだろ…
「ダメっ!!嫌いっ!!よくないっ!!」
声を出した後、周りに誰もいないことを確認した。
悲しいことや恥ずかしいことを思い出したり考えたりすると叫んじゃう…
「何がよくないん?」
質問:廊下側についている窓から顔を出している変なやつは私に話しかけているのでしょうか。至急回答お願いします。
「…すまん」
「へ?」
変なやつならぬ白波瀬はさっきまでニヤニヤしていたのに、急に顔を伏せた。
「…『嫌いっ』ってやっぱ俺?」
「違うよ!!」
よく分からないけど大きな声が出た。
白波瀬は窓枠に腕を乗せ、顔を上げた。やっぱり目が綺麗。
「めっちゃ食い気味じゃん」
そう言って笑った。ドキっとした。
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