第16話 第十三独立試験分隊

呆然と建物を眺めていると後ろから聞いたことのある声が響く。


「来たね。信二君と優。まあ入ってよ」


「はい、望月さん」


「名前を呼び捨てにしていいよ。君と仲良くしたいんだ。」


「せっかくですが呼び捨ては遠慮しますよ。天神さん」


何故か天神さんが苦手なんだよな。本能的な?悪い人ではないんだろうけど。


「つれないな君は」


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「おーい。丸子、ジュリ。来たよ」


リビングらしき場所に向かいながら天神さんが中にいるであろう人に呼びかける。


呼びかけ的に二人いるのか。


そう思ったが一人しかいない。もう一人はどこだろうか?強いて言えばモゾモゾ動くキモイ寝袋しか見えない。


寝袋を眺めていると小学生と見まがうような少女が自己紹介を始めてくれた。


「10日ぶりくらいだね。私は、丸子。重丸子 かさねまるこです。」


この人こんなところにいていいのか?まだ完全に・・・


「これでも20歳だよ?」


「よくわかりましたね」


「いつも間違われるからね。やっぱり君から見てもそんなに幼く見えるの?」


「はい、かなり」


「君は、意外と失礼で見たまんま素直ですね。とりあえず、よろしく信二君。失礼ついでに丸子でいいですよ」


「よろしくお願いします。丸子さん」


モソモソ、モソモソ


「あの、芋虫みたいに動く寝袋って」


思わず出た疑問に天神さんがうなだれながら答えてくれた。


「あれが研究担当のジュリアス・ロッド。もう一人の仲間だ。今叩き起こすから少し待って」


それから天神さんはどこからともなくシンバルを取り出し寝袋の前で狂ったように叩き始めた。


ガシャーン、ガシャーン


音が響くたびに寝袋の動きが激しくなる。


キモイ、中の人の前世は芋虫だったんじゃないか?もう才能だよ。関節どこにあるの?この人。


「ほら、信二君の能力の解析するんでしょ!起きなさい!」


「もう起きるから、うるさいヤメテ」


寝袋から気だるげな金髪の少女が顔を出す。


「まったく世話が焼ける」


「天神、あんたは私の母親か」


僕も思った。母みを感じる。


「どうせ天神が名前言ってるんでしょ。だから自己紹介は無し。ちょっと来て」


今まで会った中で一番失礼な人かもしれない。いや、単純に興味が無いのか?


そんなことを考えていると見たことない道具で引っ張られる。


「優さん!助けてー」


クソ!にこやかに手を振って!人の心が無いのか!?


そんなこんなで僕は、研究室へと連れ込まれた。












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