第15話 日記
編入から1週間、初めての休日。初めてだらけの一週間。僕も真希さんとの訓練で基礎は身に付き始めた。
それに、授業のおかげで色々分かったことがある。基本的に魔術師は魔術師の家系でしか生まれない。突然変異はあるが極稀にしか起きないそうだ。その突然変異を見つけ出す検査が幼少期にの予防接種とともに行われている。魔術師の家系もそう多くない。侵攻が起きた時に備えて戦力を増強するために検査が行われている。プライバシー権が息をしていないのは置いておこう。ダールと人類はこの200年間冷戦状態にあるんだから。
ダールについては目的も何もかもがわかっていない。分かることは敵対的であることと独自の言語を有していること、そして異次元から現れることだけだ。学者でもいれば聞くんだけどな。多分教科書よりは詳しいことを知れる。
「未知の敵との戦い・・・もしかしたら世界、とんでもないことになってるのかも」
知れば知るほど恐ろしい
僕は、日課の日記を書きながら思考を巡らせる。
ピンポーンとインターホンが鳴った。
誰だろう?そんなことを考えながらドアを開ける。
「準備はできてるかい?さあ、行こう!」
朝のローテンションには少しきついテンションの優さんがドアの前には立っていた。俺は何かしてしまったのだろうか。頭が痛い。何かの罰なんだろうか?しかし何度問いかけても僕の中の神は、何も答えてくれない。ああ無情。
そんなことを考えていると困り事本人が答えを出してくれる。
「ほら、今日は私たちの分隊との顔合わせだよ」
ヤバイ。完全に日にち間違えた。明日だと思ってた。何の準備もしていないんだけど。しかし、現実は非常で。
「ほらさっさと行くよ!」
僕は、何の準備もできずに優さんに引きずられ迎えに来てくれていた車に乗せられる。
車に乗せられてから一時間経った頃だろうか。何もない広大な更地に降ろされる。何が何だか分からないままにあたりを見渡すが何もない。しいて言えば四隅に電波塔のようなものが立っているだけだ。あとは、ほんのり魔力を感じるだけだ。
「何もありませんけど?」
「ほら行くよ」と訳も分からないまま引きずられていく。
「本当に分からない?この場所を包む魔力に」
「魔力は感じますけど微かですよ?」
いや、違う。コレは自然の魔力じゃない。まるで何かを隠すように魔力の膜が張っているような。
「行こうか。あ!ID渡してなかった。外で魔術を使う免許かつ基地に入るための身分証だから肌身離さず持っててね。」
カードを手渡される。すげぇ。なんか、カッコいい!
魔力の膜を一歩越えるとそこには、いかにも最先端な町が広がっていた。あの膜、巨大な透明マントみたいなものだったのか。
「信二くん。ここがUNS。正式名称United Nations Sorceryの日本支部だよ」
それから検問所のような場所でDIを見せ中に入る。
なかなかハイカラで色々目移りしてしまいそうな町だがグッと堪えて優さんについていく。
「みんなの肩についてるUNSJの文字って何です?」
「君って所々抜けてるよね。United Nations Sorcery Japanの略だよ」
ああ、そっか国連の組織だもんね。どこの国の部隊か分かんなくなっちゃうもんね。うん。
そんな話をしているとボロボロなレンガ造りの建物の前で優さんの足が止まる。
「ここが、第十三独立試験分隊の建物だよ」
「ボロイっすね」
「私もそう思う」
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