第13話 再会
「先に難しい話をしちゃったんだけど。もう一つ言いたいことがあってね。家に来ない?久しぶりに真希が話をしたいって」
いつもの柔らかい雰囲気に戻った優さんがうれしい誘いをしてくれた。
「喜んでお邪魔させてもらいます!」
「もう遅いし夕飯も食べてきなよ」
「そうさせてもらいます!」
そんな他愛のない会話をしながら僕たちは帰路に就く。友達の少なかった僕は、この現状を凄く楽しんでいた。
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ガチャ
優さんがドアを開け部屋に入っていく。
「ほら、入って」
「お邪魔します」
部屋の奥から久しぶりに聞く声が聞こえた。
「お帰り、姉さん。誰か連れてきたの?」
「そうよ!なんとスペシャルゲスト信二くんに来てもらっています!」
そんな大層な者じゃございませんよ優さん。ヤメテー恥ずかしい!
「え!信二さんいるの?」
「そうよ~会いたがってたでしょ?」
「取りあえず二人とも部屋は行ってきて。今料理で手が離せないから」
「分かったよ。ほら、緊張してないで行くよ。信二くん」
どうやら優さんには緊張しているのがバレたらしい。そりゃ緊張するさ。女子の部屋とか行ったことないもん。未開の地だよ!アマゾンだよ!
そんなしょうもない事を考えながら廊下を歩きリビングに入る。
「取りあえずそこらへん座っていいよ~」
はいと返事をして僕は、ソファーへと腰を下ろした。すると、優さんが、最近ニュースが同じ話ばかりで面白くないとかの何でもないような話を振ってくれる。コミュ障気味の僕からするとありがたい。そんなこんなしているとあっという間に時間が過ぎ、真希さんから盛り付けの手伝いの要請が来た。
「信二さんは別にいいんですよ。お客さんなんだから。手伝って欲しいのは、普段から盛り付けの時に決まってトイレに行くどっかの誰かさんだから」
優さんの方を向くとえげつない速度でそっぽを向いた。こどもかな?
「でも僕も手伝います。いきなり押しかけちゃってるわけだし」
「お客さんに手伝わせて自分はやらないつもり?姉さん?」
真希さんは、満面の笑みで声色一つ変えずに明らかな怒りを表現していた。真希さんだけは何があっても怒らせないようにしようと僕は心に誓った。
ご飯を食べながら話をしていると優さんが突然頼みごとがあると言い始めた。
「真希と一緒に訓練しない?理由は二つある。一つ目、同じくらいの実力の人と鍛えた方が効率いいかなってお互いにね。二つ目、コレは個人的な事なんだけどもう2度と知らないあいだに家族が死んでしまうのが嫌なんだよ。まあ、正直こっちが本音なんだけど」
「僕は真希さんがいいなら」
僕にとってはうれしい申し出だ。でも、真希さんと僕は壮絶な経験をした。もう2度と戦いたいと思っても仕方がないほどに。
そう考えていたがどうやら杞憂だったらしい。
「断る理由がないです。むしろ私からお願いしたいくらいですよ」
真希さんはやっぱり強い人だ。
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