第12話 疑念


「終わりはそっちだったみたいですね」


一回言ってみたかったんだよね。キメ台詞!でもちょっと恥ずかしいな。大丈夫、誰も聞いていな・・・


「「「おおおおおおお!」」」


周囲から驚くほどの歓声が聞こえる。この人たちはいつ集まったんだろう。てか今の聞かれた?!恥ずかし!死ねるわ。


「おい!何やってるんだ!許可もなしに模擬戦室を使うなんて!」


先生たちが顔を真っ赤にして叫ぶ。


「神宮と蘆屋は・・・蘆屋は医務室で寝かせて起きたら生徒指導室に来いと言っておいてくれ。神宮は、今すぐに生徒指導室に来い!」


やらかしたかな。そういえば、昨日使ったときに許可が何とかって言ってたな。はぁ、二日目から問題児扱いになっちゃうのかな。嫌だな。


そんなことを考えながら僕は、生徒指導室へと連行された。


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「お、信二くん。なかなか派手にやったね」


生徒指導室を出ると夕日が射す中待っていたであろう優さんがニヤニヤと話しかけてくる。


「僕は、因縁つけられただけですよ」


「またまた~謙遜しちゃって。あの芦屋雷斗を倒しちゃったんでしょ?やるじゃん」


「え、アイツそんなに有名なんですか?」


「彼、一年の中では五本の指に入る強さだよ」


「ほぼ不意打ちですから。勝ったなんて思えませんよ」


アイツが?マジで?確かに強かったけどさぁ。そんな強いなんて思わないじゃん。だからあんなに歓声が上がってたのか。


「それでも、勝ちは勝ちだよ。やるじゃん。私に、追いつくのも意外とすぐかもね」


「あ、ありがとうございます!」


憧れからの誉め言葉は、ひたすらに嬉しかった。


「そうだ。信二くんに言って言うことがあるんだ」


「何ですか?」


「この間の侵攻が政府や国連の信頼を揺るがす事態につながっているのは知っているね」


優さんがいつになく真剣な面持ちで話し始める。


「はい、世界中の国家がグルになっての魔術の存在の隠匿に。不透明な部分が多いって叩かれてた税金の使途が秘匿された組織にだなんて・・・怒る気持ちも分かりますよ」


「で、本題はこれからだよ。どの国の人間も政府に対する不満や疑念を抱き始めている。これから、民衆の反発は大きくなると考えられている。下手したら内乱が起こるかもしれない。人は、余裕がないと視野が狭まるからね」


「それを何故僕に?」


「君が、私たちの部隊『第十三独立試験分隊』への配属が決まったからだよ」


「それと何の関係が?それに僕は、まだ学生ですよ?」


「同じ部隊の一員になるんだし共有しとこうと思ってね。それと、あくまで試験分隊だからね。ほぼ実戦に出ることないよ。この分隊の目的は、能力の研究だからね。わざわざ研究対象を死地に送り込むことはないでしょ?一応言っておくけど前回の侵攻は、たまたま私たちが近くに居たから人命救助に当たっただけだからね」


能力の研究。まだ未解明の力か。そりゃ知りたいわけだ。


「分かりました。僕が、僕なんかの能力が研究されて人の役に立つなら。僕や優さんや真希さんのように大事な人を失う人が減るのだとしたら喜んで受けます」


「うん!いい返事だ」





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