第10話 自分以外の能力

「武器は短剣でいいの?」


「はい、僕が使ったことがあるのは包丁だけですから」


あの、すべてが始まった日、今でもはっきり覚えている。腕をかまれた時の痛み、包丁を握った感覚、奴らを刺した時の感覚、そのすべてをまだ覚えている。


「じゃあ始めようか」


「でも、僕まだ魔法使えませんよ?」


「体で覚えてもらうわ」


この人、無自覚スパルタかもしれない。


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ボコボコにされた。それはそれは見事にしばかれた。遠距離は、炎魔法でボコボコ。近づけば、風魔法でふわふわとすべての攻撃をいなしてくる。加えて雨みたいに降り注ぐ剣の雨。こんなの勝てるわけないじゃん負けイベかな?


「どう、何かつかめた?」


「何かつかむどころじゃないですよ。死ぬかと思いました」


「そう、加減はしたんだけど」


「聞きたいんですけど剣を出すやつ、魔法じゃないですよね」


魔法は、魔力を感じる。でも、あの剣魔力を感じなかった。


「よくわかったね。それは、私の想像した剣を作り出す能力。想像の剣イマジネイトソード よ。でも、攻撃の魔力を感知できてはいるのか・・・よし!今の君のできることを整理しよう。もう少ししたらトーナメントもあることだし」


「そうだね~信二くんの秀でた点は、魔力感知と魔力操作だね。課題点は、そのほか全部!」


「めちゃくちゃアバウトですね」


「仕方ないじゃん。私も初めて人に教えるんだもん。よし!やっぱり今度望月さんに頼んでみるよ。今日は、こんなもんかな」


「ありがとうございました」


「学院に慣れてきたらでいいんだけど真希にも会いに来てよ。歓迎するよ」


「はい!」


「また明日ね!信二くん」


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「疲れたーーー!」


ベットに飛び込み枕に向かって叫ぶ。今日は、疲れた。なんかクラスの雰囲気は良くなかったし。明日も何事もなく終わるといいな。そんなことを考えていると心地よい眠気がやってきた。その眠気に僕は身を任せ、瞼を閉じた。

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