学院編

第9話 編入

「国連の魔術の存在の公表により世論は揺れていますがどう思いましたか?」


「そうですね、こんなこと許されてはいけないと思います。公表していれば今回の侵攻にも迅速な対応がでしょうし。国連には、誠意のある対応を求めます」


どのニュースもこの話ばかりでいい加減うんざりするな。


「もう7時か」


テレビの電源を切り、新しい制服に袖を通し靴ひもを結ぶ。


あれから3日がたった。その間に世間へ魔力や魔法の存在の公表が行われた。最初から公表しておけば今回の被害を抑えられたのではないかと非難が殺到している。そりゃそうだ。代表でも辞任するか?


「ヤベ、遅刻する」


寮とは言え少しかかる。こんな無駄な考え事してたら遅刻だ。初日から遅刻はまずいだろう。これから新しい生活が本格的に始まる。正直不安だ。


「編入・・・いや!きっと大丈夫」


そう思ってたのに・・・


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「今日から転校してきました。神宮信二です。よろしくお願いします」


「・・・・・・」


あれ、なんか空気悪くない?僕なんか変なことしたかな?


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それから、なんだかヒリついた空気を感じたが何事もなく初日が過ぎた。


そういえば放課後優さんが学校案内してくれるって言ってたっけ。


「信二くん!学院内を案内しよう!」


噂をすればなんとやらって本当だったんだな。そして何でこの人はドヤ顔なんだろう。


それから、校内の隅々まで紹介してくれた。


「ここが訓練所だよ。ここは、試合ごとに地形が変わるんだよ。凄いでしょ」


「なんか不思議な場所ですね。入った瞬間空気が変わった」


そう言えば学院の敷地に入った時も感じた感覚だ。


「あ、わかる?ここは結界が張られているからね。内と外では魔力濃度が変わるんだ。それがわかるなんてなかなかだね」


「そうなんですか?」


「そりゃそうさ。濃度が違うって言っても誤差みたいなもんだからね。これがわかるってことは魔力制御が得意なのかも微量な魔力が感知できるのとできないのでは誤差の修正かかる労力も変わる」


「魔力制御が得意だとどうなるんです?」


「そうだねー例えば魔力感知に引っかからなかったり魔力消費が減るかな漏れ出る魔力が減るからね~」


「なんだか難しいですね」


「そうでもないよ。試してみる?」


「もしかしてその為に最後にここ来たんですか?」


「もちろん!ちなみに使用許可は取ってるよ」


なんて手際だ。嵌められた。


「武器はそこら辺にあるの使って。大丈夫、そこにある刃物は刃が落とされてるから切れないよ」


どうするか、槍か直剣それとも


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