第7話 新たなる門出
姉さんって、姉だよね?マジ!?温海さんのお姉さんツヨ!ヤバ!もさもさの猛者ジャン!
僕の語彙力は死んだ。
「真希とそこの君、大丈夫?」
「助けてくれてありがとうございます。見ての通りボロボロですが何とか生きています」
「真希は?」
「あ、うん。私は大丈夫でも、お父さんとお母さんが」
温海さんの姉は温海さんの返答にニコニコとした笑顔が消える。そして一言「そう」とつぶやき続けて彼女は、温海さんの肩を抱き寄せ
「でも、あなただけでも生きててよかった」
そう告げた。感動的な光景だ。まだ体全体が痛いうえにこの光景に水を差すのは気が引けるが今は色々聞かせてもらおう。
「あなたは、一体?」
「移動しながら話しましょうか」
その質問に対して温海姉は快く答えてくれた。
曰く、彼女の名前は温海優というらしい。第一魔術学院の二年生でここ最近第13独立試験分という国連軍の部隊に配属されたばかりだという。さらに、一般には魔術の存在は秘匿されていたそうだ。ちなみに、温海さんも初耳だったそうだ。しかし、魔法だなんて信じられない。でもこんな事態になっているのだ。魔法だろうが何だろうが信じるしかない。それに、さっきの体中を駆け巡った力の正体ついても聞きたい。
「えっと、温海さんのお姉さん」
「わかりずらいから名前で呼んでいいよ~」
「私も真希と呼んでください」
「じゃあ僕も信二で大丈夫です」
なんか、久しぶりに人と仲良くなったかもしれない。
「あれ?信二くん、背中の傷は?」
そう言われ背中に意識をやるが痛みが一切しない。何故だ?ザックリいかれてたはず。
「それにあなた、さっき見えたんだけど身体強化を使ったでしょ」
「身体強化ってなんです?」
身体強化?なんだそれ?そんなの使った覚えもなければ存在自体も知らない。
「身体強化は、その名前の通り身体を強化する魔法だよ」
「えー!信二さん!魔法使えたんですか?」
「そんなわけないですよ。魔法なんて」
「それに魔術を使うためには魔力が必要なの。幼児期の時予防接種の際に魔力の有無が確認されるはず。だから信二君の年齢だと魔術学院に入学はずなのに」
「後天的に魔力が備わることってないんですか?」
「ないね。今までにそんな事例は聞いたことがないわ。それに、消えた背中の傷についてよ」
「僕も気になっていたんです。左手の傷も消えたんですよ」
「多分、能力でしょうね」
彼女が言うには、能力とは魔法と違い最近発見された新しい力だそうだ。魔法は使用すると基本魔力を消費するが能力は体のどこかに異常をきたすらしい。
「そうなると信二くん、第一魔術学院に来てもらうことになるわ。それと、能力持ちだった場合私と同じ部隊に配属されるでしょうね」
続けて、彼女は
「ようこそ信二くん。一緒に世界を守りましょう」
僕はこの時、優さんの言葉に内心ワクワクしていた。それは魔法とか能力といった未知のものに対するものではなかった。僕は、彼女が化け物を一掃したその瞬間。僕には英雄に見えた。そんな彼女と同じ力があって同じ舞台に立てる。それが、嬉しかったのだ。
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