第34話 冬の訪れ

「さっむ」


体育祭が終わり12月、本格的に冬になったとはいえ、さすがに寒すぎないか? 普通にこれより寒くなる日があると思うと気候って侮れないよなぁ。カッターシャツだけで学校に行くには寒すぎるのでなにか上着でも着ないと。

 ︎︎……そういや俺はもっと寒い日に着るやつならあるけど今くらいの温度に着る上着を持ってないんだった、親のだとちょっと大きすぎるからなぁ……。


「お兄、上着なし出てるの? さすがに寒いと思うけど」


「ちょうどいい上着がないからなぁ……。父さんのだったらあるけどデカすぎるんだよ」


日々からファッションに興味が無かったからなぁ、こんなことになるならもうちょっと服に興味を持った方が良かったな。来羽のを借りる訳にもいかないので俺はカッターシャツのまま外に出たが本当に寒い。

 ︎︎この学校、上着に何着ても自由だから学校指定のブレザーが無いんだよなぁ、自由性が逆に仇となったか。


バイト代もだいぶあるし帰ったら自分の上着を買うとしよう。


とりあえず学校までは耐えたがもう少し学校までの距離が長かったら終わってたと思う。


「こんな寒い中カッターシャツだけで来るって馬鹿なの? それか寒さを感じないのかどっち?」


「ちげーよ、めっちゃ寒いけど上着持ってないから仕方なくカッターシャツのまま来たんだよ。帰ったらに買うつもり」


昼になったらまだマシになってると思うけど……今日はバイトだしどっちにしろ今日は諦めるしかないか。とりあえず家に帰ったら注文しておこう、そうじゃないとこの寒さを何日も経験しないといけなくなるからな。


教室で向かう途中で星野を見かけたが、まぁ話すことは無いだろう。そう思ってたけどこちらに近づいてきた、小鳥遊に用があるのだろうか?


「親が帰ってきたので今日から委員会の仕事に戻ります。澄風先輩のところはまだ帰ってきてないんでしたっけ?」


「いやぁそもそも海外の部署に配属されちゃってるし、社員寮に住んでるから帰ってこないんじゃない? 正月は帰って来るらしいけど、これからも来羽と2人暮らしなんじゃないかな」


それも来年までかもしれないんだよなぁ、両親が帰ってこなかったら俺が大学に行った時に大学に近いところに引っ越すことは出来ない。来羽は一人暮らしをしようと思えば出来ると思うけど本人が俺と暮らしたいって言ってるからな。

 ︎︎前に小鳥遊とシェアハウスの話とかしたけど、来羽も大学生で俺らが社会人になってから来羽と小鳥遊と俺でシェアハウスというのが1番現実的だろう。まぁその中に胡桃さんと星野も入るかもしれないが、まだ俺たちは大学生ですらないんだから数年後の話だ。


そこで星野と別れて教室の中に入る、教室の中はしっかりと暖房が効いていて暖かった。



§§§



代わり映えのない授業を終えて放課後、委員会に時間だが今日から星野が帰ってきたのだがそんなことより別のことが学校中で話題になっていることを話していた。


「なんか珍しいな、12月に入ってすぐなのにこんなに雪が降るなんて。明日は積もるんじゃないか?」


「子どもの頃だったら楽しかっただろうけど、今はそんなにかな。自転車通学の敵だし」


「1年に一時期しか降らないんですよ? せっかくなら楽しみましょうよ、先輩達は来年遊ぼうにも遊べないんですから」


まぁ確かに今年のうちに遊んでおこうっていう考えもあるのかもしれない、というかどうせ明日積もってたら来羽が誘ってくるだろうし。来羽は何年経っても雪とか大好きだからな、うん、可愛いな。


「遊ぶのもいいけど、俺は小鳥遊と同じ大学に行くために勉強しないといけないからなぁ」


「それは隼人の家に集まって胡桃さんに教えてもらえばいいじゃん。3人とも志望校は同じなんだし」


同じだけど、俺だけ学力が下なんだよなぁ……。追いつくためにも俺はより勉強しないといけないし、本当に胡桃3さんにお世話にならないといけないかな。


「星野はどこか行きたい大学はあるのか?」


「まだ私は1年なんですよ? まだ大学なんて考えてませんけど、友達と同じ大学に行けたらいいなとは思ってます」


まぁ俺も小鳥遊と同じ学校を選んできたし、友達と同じ大学に行けたら良いというのは同意見である。高校までは着いてこれてたけど大学だけはマジで行けるか分からないんだよな、それに行けたとしても次は来羽の受験だし俺が色々しないといけないからな。

 ︎︎来年と再来年は忙しい年になりそうだ。


「雪が降ると本格的に1年が終わるって実感するよな、今までなら1年が終わる今になっても気にすること無かったけど来年が受験となると話が違ってくる」


「大学に入れさえすれば留年しないように適度に勉強して過ごすだけだし、来年が1番精神的にキツイかもね」


「まぁ私はまだ1年なので。頑張ってくださいね小鳥遊先輩、あと澄風先輩」


「俺はおまけかよ」


そんなこんなで今日の委員会が終わって俺はバイト先に向かったのだが店長が帰ってきていた。これで茅森先輩にからかわれることが無くなる!


「今日もテキパキ働いていくよー!」


「無駄にテンション高いですね……。何かあったんですか?」


「店長が帰ってきて私の仕事が元に戻ったから!」


完璧超人のバイターでも仕事は減らして欲しいというところは一般人と変わらないみたいだ。

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