終章 魂響



GM:ではエンディングだ。


 君たちは勝利した。

暗雲と山風吹き荒ぶこの山から、命からがら、帰還することに成功したのだった。


 響は精神を全て刀に食われ、昏睡状態に陥っている。

 すぐさま、京都市内の病院に緊急搬送されることになった。夜明けとともに響の両親が箱根から病室に駆けつけてきていた。

 刀をどうするか、事件の真相をどこまで話すかは探索者次第である。

 響は長い療養が必要になる。再び目を覚ますかは誰にも分からない。


GM:鬼切、薄緑の処遇はどうしますか?

拓光:鬼切は陸奥を通して元に戻してもらう。


陸奥:「鬼切に至っては、私が後でどうにか、宝物殿にお返しします。ですが、薄緑は…。私には判断できません。病室に宮司様が来ていらっしゃいます。ご相談を…。」


GM:促され病室を訪ねると、床に伏せる響と、傍には養父と思しき宮司が付いている。


拓光:「この刀…。娘さんの持ち物だったのですが。」

九頭龍:「……そんな刀は、知りません。」

六華:「え…?で、でもこの刀は…。」

九頭龍:「その刀とうちの娘は関係ない。そんなことよりも、娘が大事なんです。」

紫苑:「なるほど。ではこの刀は持ち主不在なので破棄するなり好きにしたらいい…ということですかね…。」


GM:その質問には答えません

蓮:まぁ答えられんよなぁ


九頭龍:「…でも、どうか御礼を言わせてください。本当にありがとうございました。」

拓光:「…はぁ。」


GM:九頭龍宮司は深く頭を下げ、それ以上は何も答えなかった。



 後日、新聞の見開きには「京都市内連続辻斬り事件、犯人逮捕!」の見出しがでかでかと出ている。

 記者である六華の嘘半分のタレコミにより、六角傘下の暴力団員が犯人ということでお縄になっていた。

 古都を騒がせた平成の日本刀辻斬り事件はこうして終末を迎え、京都市には平和と安寧をもたらした。

 歴史の裏で活躍した4人の一般人は表舞台に上がることもなく、静かに日常へと帰っていくのだった。


 時は晩秋、暗雲流れ秋晴れの空。いわし雲ゆく空を舞う紅一葉。

嗚呼もうすぐ、冬が来る。赤い都を白く染める。何もなかったかのように。


紫苑:これは響を犯人にしないため?

GM:その通り。この場に警察関係者が居るけどね

拓光:告発できねえよこんなの

蓮:それはそう

六華:刀もらって帰ったら?

GM:もちろん可能。歴史になぞらえて、銘を改めてもいいよ

GM:拓光はこの伝説の刀の新たな主となった。拓光はこの薄緑の銘を、かつて伝説になぞらえて名前を変えて来たように、新たな銘をつけることもできる。

拓光:んーーー。


拓光:「お前の新しい名は、薄緑改め"薄紫"だ。」


GM:意味はあるのか?(紫苑をチラ見しつつ)

拓光:無い

GM:そうかぁ……

蓮:うーんこの

紫苑:しっかり負けヒロインだったなぁ…

六華:wwwwww

GM:ではエンドコール!


 “薄緑の真打は公には存在しない刀である。”

 宮司が刀を受け取ってしまうと「箱根神社が所有する刀」だと認めてしまう事になる。警察が刀を詳しく調べれば、犯人は響だとすぐに分かるはずだ。それでも父親として娘の無実を信じて揺るぎない。


 国宝級の名刀であり、千年以上もの間、代々受け継がれてきたものに違いないが、それよりも、そんなものよりも、娘を想う父の愛が勝ったのである。


 エンディング「たとえ血は繋がらなくても。」


GM:進行は私、赤い月の魔王が務めさせていただきました。

 以上で喀血卓和風伝記シリーズ第一弾「羅生門」の全行程を終了とさせていただきます。なお、この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。プレイヤーの皆々様、この度は大変お疲れさまでした!!


PL:ありがとうございました!!!


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