幕間30 不死鳥の最後

幕間30


俺はフェニックスを倒した直後、気を失ってしまった。


そして、気が付いたら………


「此処は………」

『何時もの場所さ。僕の進と僕が会話していた夢の世界。』


何時も、俺がフェニックスに会う時の場所に来ていた………


つまり、コイツはまだ────


『安心しなよ、僕の進。僕は完全に終わりだよ。不死鳥なのに、死へと向かっちゃっているんだよ。本当、嗤えるよね♪君の世界だと草を生やすんだっけ?それで言うなら、大草原レベルだよ。いや、森林が生えちゃうレベルかも?』

「そうか、なら良かった………」


いや、何で俺はそう簡単に信じまってるんだ!?


『此処がお互いの精神に直結してる世界だからじゃないかな?無意識的に嘘をついていない事が理解てきる仕組みなんだろうね。』

「成る程、道理で………」


だから、素直に信じられるのか………


なら、コイツが完全に死ぬ前に聞きたい事を聞いておかないと………


「………なぁ、フェニックス。何でお前はあんな事をしたんだ?」

『ん?どれの事だい?』

「あの杜撰なネタばらしだよ。まるで、クソみたいな黒幕みたいだったじゃねぇか。いや、まぁ、実際そうなんだけどさ………」

『何だ、ソレの事かぁ。僕の進に自慢したくなったから、しただけだけど?』

「えっ、おまっ、えぇ、お前マジか!!??」


お前、そんなノリであんな凄い情報量の暴露をしやがったのかよ!!


『うん♪全部本当の事と本音をぶちまけちゃった♪』

「お前さぁ………」


感情がグチャグチャになる………


もう何て言って良いのかも理解わからなくなるわ………


「あの僕のせいじゃないってのも本音なのかよ………」

『勿論。全部、僕の忠告を活かせずに間違った方向へ行く君達人類が悪いんだろう?』

「そりゃ行くに決まってるだろ、俺達の愚かさを舐めるなよ?」


そんな事をしたら、そんな方向に行くに決まってるだろ………


俺の世界ですら、そういう事が起きまくってる事を歴史が証明してるというに………


『僕が作ったんだ、信じたいに決まってるじゃないか。まぁ、尽く裏切られてしまったけどね………』

「もう少しやり方を考えろ………」

『そうだね、そうだったかも。まぁ、今更反省しても僕に次は無いんだけどさ………』

「死ぬもんな………」

『うん、初めてね………』


────それなのに、フェニックスは嬉しそうな顔をしている。


一体、何故………


『満足したからさ!やっと僕が作った命が、僕の期待に答えてくれたからね!!』

「は?一体何の事だよ??」

『君というイレギュラーが居たとはいえ、僕の命に届いたんだよ?喜ばしいにも程があるじゃないか!! いや、正直何の補助も無しで辿り着いては欲しかったけどね。』


それの一体何処が嬉しいのだろうか?


『しかも、君もよく笑う様になった。理不尽に連れてこられたのに、そんなにも微笑ましく思えるレベルでだ。良い仲間に出会えたのだと、君の母としては心底嬉しい限りさ。』


まぁ、異世界の奴等に思う所は沢山有るけど、それは本当にそう思うよ。


俺は本当に仲間に恵まれた………


それはそれとして、お前は俺の母じゃねぇよ、焼き鳥クソバード!!!


『ふふ、照れ隠しも可愛いなぁ。』


いや、照れ隠しじゃねぇから………


『────そろそろ、時間か。口惜しいな、本当。』


真剣な顔で、コイツは呟く………


そんな姿、初めて見たよ………


『じゃあ、後は頼んだよ僕の進。』

「おい、それはどういう意───」


待て、まだ聞く事が────


✩✩✩✩✩


フェニックスside


『はぁ、帰っちゃった………』


僕の進が覚醒したせいで、この世界から出ていっちゃったよ………


この世界の事、色々教えたかったのに………


引き継ぎとか面倒な事だってやらなくちゃいけなかったのにね………


それに、最後にこう言うつもりだったのにさ………


『おめでとう、勇者!君の勇気有る行動で、邪悪なる元凶は倒された!!』


偉業を成した者には、必要や賛辞だろう?


せめて、誰かに言われる前に言いたかったのになぁ………


『バイバイ、僕の進。本当にこの世界を、この世界の平和と未来を頼んだよ。』


コレはもう二度と君に会う事の出来ないだろう母の、最後の変わらぬ願いだよ。


絶対に守ってね♪


続く





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