幕間26 異界頂上決戦⑥

幕間26


進side


「マジかよ………」


奴がと叫んだ瞬間、大気が震えた。


そして、其処には────


『どうだい、僕の進?この姿、格好いいだろう?』

「お前がお前じゃなきゃ、素直に頷いてただろうよ………」


───禍々しい炎と、神々しい炎の両方を身に纏う巨鳥が居た。


その途轍もない存在感は、隣に居る魔王の奴さえも圧倒的に凌駕していた。


唯でさえ、人の形をしていた時も化け物だったのによぉ………


───まだ上があるのかよ、このクソバードが!!!


『取り敢えず、人の家庭に口を出す邪魔で無粋な奴等を排除するとしようか!』


ま、不味い!!


「魔王!!」

「言われなくても理解わかってるよ!!」

不死鳥の咆哮フェニックス・キャノン!!!」

浸蝕邪龍ファブニール・エクリプス!!!」


コレで何とか────


『───不死鳥の閃光フェニックス・ノヴァ。』


───クソ、無理だ!!


俺達の技じゃ受け止め切れねぇ!!


「姫様、皆を頼む!!」

「はい、〘聖域結界魔法サンクチュアリ》〙!!」


☆☆☆☆☆


奴が放った閃光が俺達を覆い尽くしてから数分後………


「はぁはぁ、大分消し飛ばされたな………」

「ば、化け物め………」


お互いに身体を再生させながら、そうぼやく。


あの焼き鳥クソバード、周囲の火山地帯の殆どを吹き飛ばしやがった………


陽華達は無事なのか………?


「し、進君!!い、生きてる?」

「よ、良かった、生きてるな………」


声が聞こえるという事は、取り敢えず生きてるという事だらう………


流石は姫様の結界魔法だ………


───まぁ、完全に無事という訳じゃ無いだろうが。


『まだ消えてないのか!しぶといなぁ!!昔、お姉様に聞いたゴキブリとかいう虫みたいだよ、君達は!!』


上で何かゴチャゴチャ言ってるな、焼き鳥クソバード………


───さて、どうするか。


「魔王、何か手は有るか?」

「無いな………一応、俺達のどっちかの権能で閉じ込める手はあるぞ。まぁ、さっきと同じ道を辿りそうだがな………」

「だろうな………」


俺達の権能がまた使える様になったという事は、アイツも使える様になってるだろう。


それに、あんな化け物相手に同じ手が通じるかも疑問だ。


一体、どうすれば………


───そんなの、とっくに知ってるだろう?


クソっ、思い付かねぇ………


───目を逸らすな。


俺は、俺は────


───それしか道は無いぞ?


「───だな。」

「どうした、勇者?」

「すまんな、魔王。どうやら、俺は最後までお前とは付き合えねぇわ。」

「おい、それはどういう───」


奴の言葉を聞く前に、俺は急いで陽華達の元へと向かう。


早く、伝えなければ───


「陽華!影華!!リンに、スピカ様は………」

「し、進君!!」

「ほ、他の2人は、さ、さっきの衝撃で寝てる………」


そうか、それは残念だ………


ちゃんと皆に挨拶したかったんだけどな、を………


「───すまん、陽華に影華。俺はどうやら此処までだ。」

「えっ?」

「そ、それはどういう───」

「俺がアイツを止める。もう戻れないかもしれないけどな………」


この方法を使えば、間違いなくな………


「も、もしかして、それって!!」

「だ、ダメ!それは絶対ダメ!!」

「もう決めたんだ、必ずやるよ。だから、少し頼み事があるんだ。」

「頼み事?」


そう、俺と同郷であるお前達にしか言えない大切な頼み事だ。


「頼む、俺達の世界に戻れたら乙姫 吹雪ふぶきって女の子を探してくれ。俺の幼馴染で、大切な彼女なんだ。そして、彼女に会えたのならこう伝えてくれないか。『愛してるぜ、ずっとな。』って………」

「彼女………」

「も、もしかして、ず、ずっと帰りたかったのって………」


───まぁ、そういう事だ。


八つ当たりしまくって、悪かったな二人共。


じゃあ、バイバイ!


「───変身。」


続く

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