幕間25 異界頂上決戦⑤

幕間25


勇者である私達には、とある特権が有る。


それは仲間の力を借り、それを別の仲間へと共有する事の出来る〘同調シンクロ〙という魔法だ。


───まぁ、身体強化魔法しか使えない進君は全く使えないけど。


コレを使える様にするのは大変だった………


絆が深まれば深まる程に強くなるという性質上、最初は全く合わなかったし、仲間が増えると最初からやり直しとなるのだ。


色々有ったせいで進君は中々心を開いてくれなかったけど、少しずつ歩み寄ってくれる様になった時は心底嬉しくなった。


そして、完全にコレを物にした時は───


うふっ、うふふふっ、うふふふふふふっ♪


「どう、そっくりそのまま進君の力を使えてるでしょ!」

『いいや、全く使いこなせてないよ!全く、そんな勝ち誇ってる姿が無様で仕方がないね!!』


嘘付き、貴方かなり嫌そうな顔をしてるじゃない♪


それに先程と違って………


「〘不死鳥魔弾フェニックス・シュート〙!」

『くっ!!』


───ほら、ちゃんと効いてる。


影華の攻撃を痛そうにしてるもの………


まぁ、当然の話よね………


ドラゴンにドラゴンが、ゴーストにゴーストが効く様に、貴方にとって貴方の力は天敵そのものだもの………


───だからこそ、進君を特別視してるんだろうし。


「〘召喚サモン噴火ボルケーノ〙!」

『鬱陶しいな、もう!!』

「その割には、苦痛の表情を浮かべてる様だね、フェニックス。今の私の魔法なら、お前にちゃんと傷付けられる様だ。まさか、君に火傷という概念が有るとはね………」

『────森の弱精霊が、意気がってくれるじゃないか。』

「ふふ、悔しそうな顔をするじゃないか。良い表情だよ、似合ってる。当然か、今まで効かなかった攻撃が効く様になったものねぇ。しかも、先程私達の攻撃を消滅させた様な術も無効化されると見た。そりゃ、ストレスが溜まるのも理解わかるよ。いやぁ、本当に可哀想だねぇ、君」


───うん、本当に性格悪いよねリンって。


だから、進君にクソアマエルフって表でも影でも言われるんじゃないの?


正直、監視する為だけに指輪を着けさせてるのもどうかと思うし………


何時も実験と称して薬を飲まして光らせたりとか、魔法の的にしたりとか………


───よくよく考えると、何で心開いてくれたんだろう、進君?


『煩いなぁ!!その口を黙らせて欲しいなら、素直に言いなよ、不死鳥の一突きフェニックス・スピア!!!』

「任せたよ、お姫様!!」

「ええ、〘聖域結界魔法サンクチュアリ〙!!」

『ちっ、面倒な!!』

「これだけでは有りませんよ、フェニックス!〘性質反転リバース〙!!」

『ぐはっ、僕の攻撃が跳ね返って!?』


お見事、お姫様!


フェニックスの攻撃を受け止められただけじゃなく、跳ね返すとは!!


しかも、血反吐まで吐かせるなんて………


本当に敵に回したくない魔法だなぁ、相変わらず………


『────まさか、此処まで強くなってるとはね。この世界の生物達はちゃんと成長している様だ………』


ブツブツ何かを言って油断しまくってるわね、あの鳥………


よし、この隙は絶対に逃さないわ!


進君直伝のこの技を喰らいなさい!!


不死鳥の一突きフェニックス・スピア!!」

『────!!??こ、この技は!!クソっ、本当に腹が立つなぁぁあぁぁぁ!!!』


おお、ちゃんと効いてる!


進君に手取り足取り教えて貰ってて、本当に良かった♪


『はぁはぁ、力だけは成長しても、何時まで経っても精神は全く成長しない!!何でそんなに愚かなまま何だ!!??』

「どういう意味よ、それ………」


何か急にキレ始めたんだけど、怖っ!!


ていうか、貴方に愚かとか言われる筋合い無いんですけど!?


『どういう意味かだって!?はは、其処まで愚かとは思わなかったよ!!巫山戯るな、巫山戯るなよ!!に口を出す事がどれだけ無粋な事も理解わからないのか!!!!』


いや、人の家庭って………


第1、進君は貴方の家族じゃ………


「人を勝手に家族認定してるんじゃねぇ!!」

「妄言をそれ以上吐けなくなる様に黙らせてやるよ!!」


あっ、その声は!!


不死鳥の咆哮フェニックス・キャノン!!」

浸蝕邪龍ファブニール・エクリプス!!」

『───くうっっ!!??驚いたな、これは。」


進君が放ったビームがフェニックスの胸を貫き、魔王が放ったブラックホールみたいな黒救に身体が吸い込まれていく。


相変わらず、二つとも凄い威力ね………


「やっと起きたのね、進君。余計なのも起きてるみたいだけど………」

「………そりゃな。アレだけ煩くしてたら、嫌でも俺や余計な奴も起きるに決まってる。」

「酷い言われ様だな、おい………」


残当な事しかしてないでしょ、貴方?


「それにしても、いつ見ても凄い頭になるわね、ソレ………」

「鳥頭だからな、色んな意味で………」

「俺は嫌いじゃ無いぞ、鳥頭。」


進君がコレを撃つと、顔が鳥………おそらくフェニックスの顔になっちゃうのよね………


使い過ぎると不死鳥の一突きフェニックス・スピア・改と同じ様に、当分そのままになるから、基本的に化け物相手じゃないと使わないのよね………


『ふふ、ふふふ、まさか、此処まで追い詰められるとはね………』


嘘、アレを喰らっても死なないの!?


不死身にも程があるでしょ!!!!


『───この姿じゃ負けちゃうなぁ。負けるなんて格好悪い所、僕の進に見せる訳にはいかないからね………』


また変な事を言って───


『───────────────変身。』


続く


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