第98話 死=魔王

第98話


魔王レイナside


────再び、世界が替わる。


ピンク一色だった世界は、何も無い無色透明な世界へと塗り替えられた。


────此処はもう駄馬天使の独壇場セカイではない。


既に此処は彼女の────


「さぁ、此処から先は俺の終末劇セカイだ。」


じっくりと味わってくれよ、駄馬天使?


『ぬ、塗り替えられた!?私の世界が塗り替えられた!!??有り得ない、そんなの絶対に有り得ない!!!???人間にこの力を扱える訳がない筈なのに!!!!????』

「それが有り得るかもしれないんだよなぁ。俺と進は例外さえも超えた埓外だぜ?と言っても、理由はちゃんと有るんだけどな。」


進は後付だが人外由来の力を手に入れた、俺は人外が人の身体を手に入れた。


2人共方向性は違うが、人で在りながら人外の力を持っている。


故に、俺達は権能を扱えるのだ。


まぁ、後付の進には面倒なデメリットが課せられているのだが………


『はぁ!?百歩譲って権能を使えたとしても、私の世界を塗り替えられる訳が────』

「ははは、愚問だな。お前の様な雑兵が作り出した世界、簡単に塗り潰せるさ。」


つまらない質問するんじゃねぇよ………


今度そんな質問したら、直ぐに叩き潰すぞ?


『ふ、巫山戯るな!!世界魚の咆哮リヴァイアサン・キャノン!!!』

「怒りに身を任せるのは良いが、お前の攻撃はもう俺には届かない。」

『な────』


────もう、俺に奴の咆哮が届く事はない。


「どうした、そんな顔をして。お前の技が掻き消された事がそんなに不思議か?」

『くぅ、世界魚の制裁リヴァイアサン・テンペスト!!』

「ゴロゴロ、いい加減煩いんだよ………」

『えっ………』


────もう耳障りな雷が響く事もない。


『お前、何をして────』

「少しは自分で考えたらどうだ?早くしないと思考が遮られるぜ?」

『何を言っ────』


☆☆☆☆☆


駄馬天使(ユニコーン・エンジェル)side


────身体が冷たくなった。


────身体が全く動かなくなった。


この感覚は初めてだ………


全てが停止して、何もかもが無に還った様なこの感覚は………


そして、私の意識も停────


『────はっ!?』


う、動く!?


な、何か可笑しい!!??


こ、この世界の、この権能の能力は一体何なんだ!!!???


『────物体の停止、か?』

「ははは、どうだろうなぁ?」


あ、絶対に違うな、コレ………


間女の反応でまる理解わかりだよ………


よくよく考えたら、停止なら私の攻撃が出した瞬間から掻き消される訳がない。


少なくとも、止まった瞬間に何かをしなければ掻き消される事は無い筈だ。


────なら、奴は何を?


そもそも、先程の私にも一体何が起こった??


「う〜ん、悩んでるなぁ。まぁ、早くしないと来るぜ?」

『何が来────』


まただ、また意識が遠退いて────


『────はっ!?はぁはぁ、本当に何が起こってるんだ!!??』


駄目だ、どれだけ思考しても答えに辿り着かない!!


くそっ、解答は後にする!!


今はコイツを倒して────


「おいおい、テスト時間が終わるまでは立ち上がっちゃ駄目なんだぜ?0点になっちまうぞ、駄馬天使♪」

『煩い、世界魚の天穹リヴァイアサン・ストライク!!』


私の裁きの一撃を喰らえ、間女!!


「はぁ、無駄なんだって………」

『そ、そんな………』


私が放った一射は、またしても届くまでもなく掻き消された。


ど、どうして!?


一体、奴は何をしているんだ!!??


わ、理解わからない………


『あ、あああ─────』


また、意識が飛んだ。


でも、そんな事もどうでも良くなる位に私の心は恐怖に支配されていた。


「う〜ん、良い顔だ!どんな存在でも、理解が出来ないという事ほど恐ろしい物はない。かつて、魔人族をそう思った人族が彼等を排除しようとした切欠も色々と唆された上とはいえ、ソレだったからね。」


ああ、その通りだ………


言い逃れのしようが無い程に、この訳が理解わからない状況に恐怖している。


「仕方がない、ネタバラシをしてやるよ。この終末劇セカイにはな、至る所にで満ちているんだよ!!」


終わり?


それは一体、どういう………


「おや、納得が出来ていない様な顔だな?」

『当たり前だ────くそっ、さっきからこの意識が飛ぶ現象も何なんですか!!??』

「だから、終わりなんだって。ああ、もしかして、短的に言った方が良かったか?死が溢れてるんだよ、この終末劇セカイには。」


はぁ!?


じゃ、じゃあ、私の技が掻き消されたのも、私の意識が一定感覚で飛ぶのも………


「おやぁ、気が付いたのか?そう、お前の技は発動した瞬間に死んで意味を成さなくなった。お前だって、死ぬ事を繰り返してる。理屈が理解わかると、割と単純なルールを課す権能だろう?」

『ああ────────────────』

「ん?成る程、もう聞く耳を持てねぇか。無理も無いよな。知らないという罪と知り過ぎる罠とはよく言った物だ。無知だからこそ無駄な足掻きが出来たのに、知ってしまった事でその抗うという行為さえも出来なくなってしまうのだから………」


今まで自分の身に起きていた事を自覚してしまった瞬間、私の心は恐怖一色に染まってしまった。


私の抵抗は全てによって無意味へと替えられる。


そして、私はこの世界に居続ける限り、何度でも


そんなの、そんなの────


『耐えられる訳が無────』


ああ、また死んだ。


には、この瞬間がとてつもない地獄となった。


ど、どうすれば、この地獄から私は解放されるの?


だ、誰か、た、助け─────


「良い提案をしてやるよ。。」

『えっ………?』

「生きようとするから死に怯える。生きようとするから、苦しむ道しか選べなくなる。ずっと、永遠な………」

『あ、あああ────』

「────だから、諦めよう。人生、諦めが肝心なんだぜ?」


それは、使だった。


『あ、諦めれば、楽になる?』

「勿論。」


なら、私は────


続く

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