第97話 天使の祝福=天使の呪縛

第97話


魔王レイナside


「ああもう、鬱陶しいなこの雷!!」


この雷、ねちっこく場に残ろうとしてやがる!!


消し飛ばしたんだから、さっさと消えろよ!!


『それは此方の台詞です!!何ですか、あの雷は!!自由意志があるみたいに、クネクネと動かないでくださいよ!!まるで、蛇じゃないですか、アレ!?』


まるでじゃなくて、その通りだよ!!


勝手に追いかけて、しつこく攻めてくれるから使い勝手良いんだぜ、アレ。


『くそっ、蛇みたいな間女にはお似合いな技でしたね………』

「おいおい、誰が間女だ。俺は進の正妻だからな?それに、間に挟まる土俵にすら来れてない処女拗らせた奴の言論程、惨めな物は無いぜ、ガキ?」

『はぁぁぁ!!??股がユルユルのガバガバになってそうな阿婆擦れが正妻面しないでくれますか!!!???』


はっ、貫かれた事すら無い奴が何かほざいてるよ、可愛いね。


「はいはいw」

『嗤った!今、私を嗤いましたね!!』

「自意識過剰かなw別に全く嗤ってないんですけどww」

『いや、嗤ってますよね!!完全に嗤ってますよね!!!巫山戯るなよ、阿婆擦れめ!!』

「う〜ん、すまないね。負け犬語は履修してなくてな。お前さんが何を言ってるかさっぱりなんだ。」


何々、「貴方様こそが正妻です!ナマ言ってすみませんでした!!だから、どうか!どうかお恵みを!!」だって?


う〜ん、嫌だね!!


『殺す!!殺してやる!!殺してやるぞ、間女!!』

「そこは天の助だろ………」


もしくは、陸◯魔アルとかさ………


『誰ですか、それ!!』

「いや、まぁ、うん。その通りだわ。」


誰にでもネタが通じると思うと、痛い目に合うよね。


まぁ、まさか、モンスター相手にそんな目に合わされるとは思わなかったけど………


『もう許しません、此処でお前は完全に消去してさしあげます!!』

「ラスボスみたいな事を言い始めたぞ、コイツ………」

『私の世界にご招待してさしあげます!!』

「なっ、まさか!?」


ヤバい、この駄馬天使も────


『────〚世界改変ワールド・エンド〛!!』


☆☆☆☆☆


────世界が替わる。


駄馬天使の権能で、禿山の様な景色がピンク一色の無限の世界へと塗り替えられていく。


「やられた、マジで使えるとは………」


天使化、凄いな………


魔王だから他の奴等よりは天使化という現象を観測してきてはいたが、この領域にまで至ってる奴を見るのは初めてだ。


油断大敵だな………


『ははは、どうですか!此処は私とあの人とのラブラブ空間ですよ!!新築ボロアパート並のラブラブ新婚生活を楽しめますし、一生の愛を誓い合う結婚式も再現できます!!間女が挟まる余地などありません!!』

「間女はそっちだろうに………」


しかし、見渡す限りピンクだな………


脳内ピンクな駄馬には相応しい世界だが、パッと見じゃこの世界の課すルールがどんな物か理解わからないのがキツいな。


媚薬空間とか?


────いや、そうだったら俺は既に発情してるか。


「よし、面倒だから、一先ずぶん殴ってから考えようか!飛龍の神槍ワイバーン・グングニル!!」

『ふふっ♪』

「なっ、コレは………」


俺は思いっきり、殴った………


────殴った筈なのに、駄馬はピクリともしなかった。


防御力、耐久力を上げてるのか?


いや、違う!


コレはそんな物と言うよりは────


『愛なき拳ほど、無意味な物はありません。ご理解いただけましたか?』

「成る程、お前の世界の仕組みは………」

『ふふふ、どうやら理解した様ですね。だからと言って、勝てる訳ではありませんが。』


奴はそう言いながら、『世界魚の制裁リヴァイアサン・テンペスト』を発動させて俺を攻撃してくる。


俺の考えが正しいなら────


毒蛇龍の雷霆ケラウノス・ヒュドラ!!」

『無駄ですよ。』

「そう、みたいだな!!」


この権能が発動する前なら消し飛ばせた様な攻撃なのに、全く消し飛ばせなかった!!


それ所か、全く効いていない様な感じだ。


ちくしょう、やっぱりかぁ────


「ぐっ────ま、マトモに喰らうと、キツいな。芯に響く攻撃ほど、嫌な物はない。」


駄馬の奴、天使化したせいか女性特効にジョブチェンジしてないか?


いやはや、本当に面倒な奴だぜ………


『────何故、生きてるんです?』

「はっ、俺は進と一緒でタフさが売りでね。これ位なら気合で耐えれるさ。」


まぁ、何発も喰らったらヤバいだろうけど。


「────さて、答え合わせといこうか。お前の権能のルールは、一部の属性持ちの攻撃の無効化。違うか?」

『────そんな陳腐な言い方は止して欲しいですね。』

「意味は通じるだろう?」


アイツが言いたいのは、『愛している者同士以外の攻撃は受け付けない』とかそんな所だろう?


だから、俺………おそらく陽華ちゃん達や影狼の攻撃すらと通用しない。


────通じるとしたら、進だけだろう。


だが、この場に居るのは俺とコイツの2人だけだ。


奴の独壇場セカイに居続ける限り、俺の勝ち目は無いに等しいという事だろう。


はは、理不尽だな、全く………


そういうのはな………


「俺の領分なんだよ、駄馬!!」

『何をしても無駄ですよ?』

「それはどうかな?」


────見せてやるよ、駄馬天使。


本当の理不尽という奴をな………


「────〚世界改変ワールド・エンド〛。」


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る