第94話 モンスターにだって陰キャは居るし、非リア充は居る

第94話


『ヒ〜バ〜ゴ〜ン、ゴン!』

「ちっ、新手のヒバゴンまで現れやがったか………」


ていうか、白いなお前………


まるで全身白髪みたいだぞ?


アレか?シルバーバックとかいう奴か?


『ヒバヒバ、ヒバババ、ヒバ。』

「何?あの駄馬化したヒバゴンの正体ってそういう事なのか!?」


ていうか、話してくれるのね、お前………


もしかして、あの駄馬ヒバゴン達って、お前達からしても迷惑者扱いなの?


「ヒバゴンと普通に会話してる………」

「い、今更だよ、か、影華ちゃん。か、影狼ともナチュラルに会話してたし………」

『ワン。』

「ちなみに、俺も何を言ってるか理解わかるぞ。後で教えてあげようか、モンスター語?」


覚えると便利なんだよね、モンスター語。


人の言葉を話せない奴等と意思疎通をしなきゃいけない時とか特に………


『『『『『『ヒ〜バ〜ゴ〜ン!!』』』』』』

『くそっ、我の邪魔をするな!!』


俺達が呑気に話している間、ヒバゴン達が駄馬ヒバゴンを必死に抑えていた。


傍から見ると、唯の仲間割れだな………


『ヒバ、ヒバババババ、ヒバゴン。』

「うわぁ………」

「成る程、納得はいく。それはそれとして、駄馬は本当に駄馬だな………」

『わ、ワウン………』


全くだよ………


どれだけ拗らせたら、そうなるんだ?


「うん、憐れ────」

「そうだな、憐れ────」

『ワオ────』


────憐れと口にした瞬間、雷が落ちた。


ふ、不意撃ち落雷は卑怯だろ………


『ヒバ。』

「それを先に言えや!!」

「逆恨みも甚だしいな………」

『グルルル!!』


何だよ、そのクソ仕様………


恨み骨髄にも程があるだろうが!?


「あの………結局、ヒバゴンは何と言ってるのですか?」

「な、何となく、ひ、酷い理由なのは、さ、察せるんですけど………」


ははは、勿論酷い理由だぞ?


下手したら、全米が酷すぎて鼻で笑うレベルのな!!


「要約すると、あのヒバゴンはな………」

「ヒバゴンの群れの中で、番を作れなかった日陰者達の集まりなんだと。」

「「つ、つまり?」」

「「リア充に嫉妬するクソ猿。」」


本当にそうとしか良い様がない………


というか、それだけで駄馬の力を手に入れるとか拗らせ過ぎだろ………


『ヒバヒバヒ〜バ。』


はぁ!?


おいおい、マジかよ………


「ヒバゴンは何と?」

「最初は群れから隠れ住んでたらしい。で、そこに運良く?運悪く?奴が現れたらしいんだ。」

「や、奴?」

「進や君達を此処に転移させたブルトリア・ロックによって、駄馬………ユニコーンが現れたんだと。」


まぁ、即死したらしいがな………


何でも、既に瀕死だった様だ………


「そのユニコーンの角は薬、主に媚薬になるんだけどな。非リアヒバゴンの内の一匹が丸呑みしたらしいんだよ。」

「で、そのせいで魂が駄馬に汚染され、角を生やしたんだと。」

「そこで止まれば良かったんだがな。まるでウイルスに感染されたかの様に非リアヒバゴン達にも角が伝染していった様だ。」

「そして、番が居るヒバゴンや非処女のヒバゴンを襲う様になったんだとよ。」

「自分がモテない事を逆恨みしてな………」


全く、酷い話だ………


というか、魂が駄馬に汚染されるとか何なんだよ。


奴等は別に悪霊でもないんだぞ!?


「奴等は常にこう叫んでるそうだ。『この世にヤリチンクソ野郎が、ヤリマンクソビッチが居る限り、我等は裁きの為に現れる。何度でも、何度でもだ!!』と………」

「救い様がないな、本当………」


ちなみに、それを近くでS◯X経験者が憐れんだりするとオートで雷を放出するらしい。


そのせいで、俺とレイナ(影狼は巻き込まれた形)は雷が直撃したそうだ………


『ヒバ、ヒバヒバヒバゴンゴン。』

「質の悪い宗教家かよ………」

「懐かしいな。頭が可笑しくなった狂信者共が俺にやってた事と、そっくりだ。」

『ワン………』


そう言えば、そういう奴等居たなぁ………


イカれてたから、殺すのにあんまり抵抗無かった奴等だったのを覚えてるよ。


「狂信者?宗教でもやってるんですか!?」

「まぁ、簡単に言うとな。何かこの第26階層から第34階層までの駄馬化ヒバゴンが集まって、常にリア充が爆発する様に祈ってるんだとよ。」

「しかも、自分の性癖に沿った脳内女神様を作り出してな………」


これ程までの領域に来ると、もう痛ましいとしか言い様がない。


その上、変な儀式まで始めたらしいのが、始末に負えない。


『ヒバ、ヒバヒバ。ヒバヒバヒバゴン。』

「えっ、今日でその儀式が完成する!?」

「しかも、それへの贄に、最後の層である第35層の餓者髑髏が生贄になった!?」

『キャウン!!??』


おいおい、餓者髑髏は普通贄とかを要求する側だろうが!?


何であっさり贄になってんだよ!?


『ヒバ、ヒバヒバ。さらばだ、我らに挑みに来た戦士達よ。我は此処で死ぬ────』

「ヒバゴン!?」


流暢な日本語でそう告げた白いヒバゴンは雷に呑まれ、消え去っていった………


────いや、喋れるのかよ!?


そっちの方が驚き過ぎて、死んだ事へのリアクションが全く取れねぇよ!!


『いでよ、我が女神様よ!!』

『『『『『『『我が女神様よ!!』』』』』』


続く


オマケ


ちなみに魂が駄馬に汚染され、駄馬化したオスのモンスターは陰茎が消失し、生殖能力を喪います。


そして、その消失した陰茎と引き換えにヤリチンやヤリチンを滅ぼす完璧で究極の1本角を手に入れるのです。


つまり、一生彼らが満たされる事は無いのです。


コレは理不尽な死に目に合ったユニコーンが度々起こすとされている道連れ現象とされていますが、基本的に余程の処女厨や非リア充の素質を持っていない限り成功しないので、滅多に確認されない貴重な現象ともされています。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る