第92話 広島と言ったら、やっぱりコイツ

第92話


「よし、よく寝た!」


物凄く不快な悪夢を見た事を除けば、良い睡眠だったぜ!


「おはよう、進。悪夢を見た様な面をしてどうしたんだ?」


────まぁ、コイツなら見ただけで理解わかるか。


悪夢を見せる側だもんな、魔王………


「実は斯々然々………」

「マジかぁ………あの焼き鳥クソバードがそういうとか、不安しかないんだが?」


だよなぁ………


正直、不快過ぎてマトモに話聞かなかったけど………


「しかし、相変わらずお前を息子扱いしてたのかよ、焼き鳥クソバード………」

「ああ、吐きそうだったよ………」

「クソっ、俺も貰い事故で吐きそうだ。あんなのが義母とか罰ゲームか何かだろ?」

「捏造に関してはお前も同類だろ!?」


棚上げとか本当に得意だよな、お前等!?


生まれついた子は神に似るってか?


「あっ、そうそう。実はお前が即寝した後に女子会したんだけどさ………」

「へぇ、似てるとは思ってたが親戚だったんだな、あの2人………」

「本当に可哀想だよな………」

「いや、お前さんは元凶だろうが………」

「転移させたのは王国のアホ共だぞ?」

「そうだな、確かに王国のアホ共のせいだ。でも、その原因を作ったのはお前だろう?」


元凶の元凶と言った所だろうか?


いや、異世界転移について1番の被害者である俺自身は、魔王に怒る事なんて無いに等しいが………


────間接的に被害を受けた者がそう思うとは限らないのが現実だ。


まぁ、事実を知ってしまった陽華や陰華達は怒らないだろうけど………


「元凶の元凶ね。まぁ、その元凶もアホな人族の祖先で、その元凶になるのが唆した焼き鳥クソバードになるからな。もう謝るだけ徒労だぜ?」

「────そうだな、そうだった。」


だからこそ、無理矢理に終わらせる為にケリを着けたんだったもんな、俺達………


「だが、一応彼女達に全て話しとけよ。こういうのは早めに話しといた方が良い。」

「経験則か?」

「────勿論。」


マジで面倒だった、色々と………


ごめんよ、小雪………


☆☆☆☆☆


「ふぅ、コレで第25階層は終わりだな。」

「まだまだ続くのか、面倒だな………」


同感だよ、全く………


此処から先が続いていけば、雑魚モンスターですらメガキマイラや大百足よりも強くなりかねない。


まぁ、俺とレイナが負ける事はないが、陽華ちゃん達を守りきれるかどうか………


────いや、彼女達に頑張って貰うしかないんだけどさ。


「はぁはぁ、キツい………」

「れ、レイナ様達に、ふぉ、フォローして貰ってないと、し、死ぬ………」


一応、2人にも自覚はある様だ………


はぁ、直ぐに終わってくれよ、広島ダンジョン深層!


「おいおい、急に様変わりしたな………」

「山だ、広くて緑豊かな山だな………」

「ずっと洞窟のエリアが続くよりはマシ、なのかも?」

「で、でも、ひ、広そう………」


だよな………


少しでも離れ離れになったら、即遭難しそうなエリアだ………


まぁ、新宿ダンジョンの深層に在る岩肌丸出しな高山病まった無しの高山エリアよりはマシか?


まぁ、階層の事を考えると、強さ的にはコッチの方がキツいだろうが………


「あっ、看板有りますよ!」

「看板?わざわざ建てたのか?」


近くに建ててあった看板を呼んで見ると、其処にはこう書いてあった。


『此処から先、比婆山エリア』


比婆山?


それって確か………


「比婆山?何か知ってるか?」

「いえ、知らないです………」

「ゆ、有名なや、山なんですかね?」

「………思い出した!確か、イザナミが葬られたとされてる場所だ!」


広島県と島根県の堺にある山で、何か他にも色々とあった様な………


う〜ん、思い出せない………


「イザナミ?おいおい、それはまた有名所が死んでるな………」

「まさか、これから出てくるのって………」

「ま、まさか………」


その可能性は低い気がするけどな………


だって、イザナミよりは知名度が低いけど、化け物が比婆山には住んでいた筈だ。


さっきから、思い出そうとして、名前が全く出てこないけど………


比婆山、ひばやま、ヒバヤマ………


────あっ!


「思い出した、比婆山にはヒバゴンっていう類人猿が住んでるんだ!!」

「類人猿?雪男の間違いじゃねぇか?」

「いや、雪国に比べたら雪はそんなに振らねぇよ………」

「ターザン?」

「類人猿ですらない………」

「び、ビックフット?」

「『ゆるすよ』ってか?」

「いまはえらべる。」

「ずっとはまたない。」

「や、やりなおそう。」

「ノリ良いね、君達!?」


それ、通じる人にしか通じないネタだぞ!?


『ビボボボボ、ヒ〜バ〜ゴ〜ン♪』


ふぅ、茶番をしてる間にモンスター共が来た様だな………


それにしても、ヒ〜バ〜ゴ〜ン?


おいおい、もしかして………


『『『『『『『『ビボボボボボボボボボボボボボ、ヒ〜バ〜ゴ〜ン♪』』』』』』』』


某宇宙恐竜みたいな鳴き声で叫びながら、俺達の目の前に大量のモンスターが現れる。


その姿はまるでゴリラの様だが、人間の様に二足歩行で歩いていた。


────成る程、どうやら俺の予想通りらしい。


「マジで出たな、ヒバゴン………」


続く

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