第91話 女子会

第91話


レイナside


「ふふふ、直ぐに寝たな進。しかし、俺の前でよくそんな間抜けで可愛い寝顔を晒せるよな………」


そんなんだから、逆レ妊娠とかされたんじゃないのか、お前?


「凄いシュールな光景になってる………」

「ま、マンドラゴラ?」

「陽華ちゃんに影華ちゃん?寝れないのかい?」


まぁ、急には寝れないか………


一応、此処は深層だしな………


しかし、マンドラゴラか………


言い得て妙だな………


確かにアイツ等やその種の魔人族はこんな感じに寝てるしな………


「そうだ!折角だし、眠たくなるまで女子会しようぜ!」

「女子会!!良いですね、やりましょう!!」

「き、聞きたい事、た、沢山ある………」


ふふ、俺もだ………


楽しい女子会になりそうだ………


☆☆☆☆☆


「実際、レイナ様と浦島さんの関係って、どんな感じなんですか?」

「な、仲が良いのは理解わかります。で、でも、それ以上がよく………」


夫婦だって言ったのになぁ………


────全く、外堀埋めって上手く行かない物だな。


「まぁ、強いて言うならさ。進も言ってたけどな………」


夫婦以上なら、これ以外に俺達の関係を表せる言葉など無いだろう。


俺が魔王で、アイツが勇者。


生まれた世界は違うのに、惹かれ合った2人の男女に対して、この一言を用いない奴等なんて居ない程だ。


「何か良い響きですね………」

「ち、ちょっと、う、羨ましい………」

「お前等にも現れるさ。こんなクズにも現れてくれたんだからな………」


あの世界は地獄だった………


生きているだけでフェニックスの駒にされ、弄ばれる運命にあった。


それを奴は解き放った。


あの時点で、世界は救われていた………


────勿論、ケリをちゃんと着けなきゃいけない問題は山積みだったが。


「────うん、本当に現れる。いつか、必ずな………」


懐に仕込んでいた煙草を取り出し、火を点ける。


ははは、確かフェニックスを倒した後にも、こんな感じで吸ってたなぁ………


あの時は進と2人っきりだったけど………


────あ!


「すまんすまん、煙草大丈夫だったか?」

「大丈夫ですよ、私も吸いますから!!」

「い、色々と言われてて、こ、こっそりと隠れてでしか、す、吸えませんけど………」


それは難儀な………


まぁ、身体に悪いから、身内に怒られるのは仕方ない事なんだろうけどな………


俺はそんな奴居なかったし、居たとしても煙草や酒が無かったら、やっていけない環境だったけどな………


「それなら、1つずつやるよ。火も点けてやるからさ………」

「「あ、ありがとうございます!!」」


火の点いた煙草を思いっきり吸い込み、鼻から煙を出していく。


この身体に沁みていく感覚が堪らない。


正に、という感覚だ。


この感覚が味わえるから、俺は煙草が大好きなのだ………


「う〜ん、やっぱりコレが無いとね!!」

「す、ストレス、ま、真っ白………」


────やっぱり、色々あるみたいだな。


何となく、想像は付くのだが………


「色々と苦労してるみたいだな………」

「そうなんですよ………」

「わ、私達、く、比べれてばっかり………」

「へぇ、誰に?」

「私達の祖父の妹である双子、陽華と影華って人にですよ………」


まぁ、そっくりだもんな………


俺も最初はびっくりしたよ………


それはそれとして、何故比べるのかは理解わからないけどな………


だって、コイツ等は………


「意味不明だな。お前等双子と、あの双子じゃ顔以外は似ても似つかないじゃねぇか。何がしたいんだ、そいつ等は?」

「えっ、知ってるんですか!?」

「と、年寄りなのは知ってる、で、でも、面識があるとは………」

「まぁ、驚くか。行方不明になってる奴を知ってるんだもんな。そうなる前(本当は後)に面識があるんだよ、俺も進もな。」


全部話すと、脳みそパンクしそうだから、黙っとくけど………


「それで、何で比べられてるんだ?」

「………祖父がシスコンだったらしくて、ソックリな私達が生まれちゃったから、その妹の双子と同じ様になる押し付けられてるんですよ、私達。」

「わ、私達は私達にしかなれないのに、む、無理矢理に押し付けてくる………」


胸糞悪い話だな………


他人から押し付けられた役目ほど、反吐が出る物は無いというのに………


────本当にくだらない。


「大変だったんだな、お前等………よし!なら、全部俺にぶちまけろ!!俺も押し付けらて酷い目に合ったクチだからな!色々と愚痴を聞いてやるよ!!」


本当なら酒でも飲みながら語り合いたいが、今はそうもいかないからな………


「良いんですか!?実は学校やクラブも無理に決められたりしてたんですよ………」

「せ、性格も、ま、真逆な様に強制させられたした………」

「それは酷いな………」


その祖父とやら、彼女等を何だと思ってるんだか?


「他にも────」

「ふ、服や、か、髪型も────」

「友達にすら口を出して────」

「な、何なら、し、就職先も────」


彼女達から溢れ出してくる愚痴を受け止めながら、夜は更けていく。


────こ、此処までとは。


余程、溜まっていたらしい………


「────コレは俺が、俺達が何とかするしかないな。」


この深層を攻略したら、ちょっとだけ暴れるとしようかな!!


続く


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