第83話 一方、その頃の以下略③

第83話 


闇の中に光が差し込み、夜が明ける様に消え去っていく。


そして、其処には私から産まれた影しか残らなかった。


「はは────』


────嫌だ。


────駄目だ。


────これ以上は私が!


『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」


─────


「止めて!止めて、何でそんな事するの!?」


☆☆☆☆☆


「か、勝った?」


やっとの事でモンスターに勝った私は安堵しきっていた。


そのせいで、気が付かなった。


────私が信頼していた、仲間だった人の悪意に。


「はぁはぁ、今なら………今なら!!」

「きゃっ!」


力尽きた私を、眼の前のケダモノが私を抑えつけてくる。


「はぁはぁ!!」

「嫌っ、やめて!」

「はぁはぁ、こ、これがカレンの裸!!」

「ど、どうして、こんな事を────」


そして、無理矢理に私の服を引き裂き、マジマジと欲望の籠もった目で私の身体をしゃぶり尽くしてきた。


────嫌だ、見ないで。


「嫌っ、嫌っ!!触らないで!私の身体を弄ばないで!!」


穢らわしい手が、私の胸を好き勝手に弄っていく。


弄ぶかの様に手で触られ、気色の悪い舌が這っていく。


吸わないで、舐めないで!!


この胸は好きな人の為に、その人の赤ちゃんを育てる為にあるの!!


貴方を愉しませる為に在る訳じゃない!!


「其処は、其処だけは止めて!!お願いだから、お願いだからぁ!!!」


下半身を穢らわしい物に貫かれ、私の純潔を示す物は突き破られた。


無惨にも散らされ、容赦なく欲望を奥に吐き出された。


白く穢された私は、何度も何度も犯された。


「嫌ぁ、止め────」


途中で気が付いたのだが、私が凌辱されている姿は撮影されていたらしい。


こんな姿を色んな人に見られたのだろうか?


もしかしたら、あの人にも?


「シニタイ………」


消え入りそうな声で、そう呟く。


元より疲労の果てに倒れた身、抵抗する気力などとっくに尽きていた。


されるがままに凌辱され、唯性欲を吐き出される肉人形へと堕ちた私は、生きるのを諦めかけていた。


どうせ、こんなに穢れてしまったのだ。


生きていても、仕方が無いよね………


「乙……姫………さ…………』


意識が遠退く、身体が冷たくなっていくのを感じる。


多分、死ぬのだろう………


死ぬ事が出来るのだろう………


『許さない………」


何故か、口からこんな言葉が漏れた。


『許さない。』


────何かが変わった気がした。


────何もかもが間違った気がした。


────全てが終わる音がした。


『絶対に許さない!!!』


☆☆☆☆☆


『〚世界ワールド改『次元斬十連!!』きゃっ!!』


あ、あれ?


私は一体………


『はぁ、何をしてるんだ君は?派手に自殺するつもりだったのかい?』


ほ、星熊童子君?


い、痛い………斬られた?


不可視の斬撃、次元斬を喰らった?


何故?


────ああ、やらかしたのね、私。


『止めてくれてありがとう、星熊童子君。』

『良いさ、無理をした友人を止めるくらい何度でもやるよ。僕が目指すのは正義の味方だからね!』

『鬼がよく言うよ………』

『ぐっ、痛い所を突かないでくれ………』


でも、そのスタンスのお陰で平静になれたよ。


感情に乗せられると、ロクな事にならないのは生前で学び切った筈だろうに………


「しかし、相変わらずの強さだね。やはり、君がラスボスをやった方が良いんじゃないかい?」

「嫌だよ。それに、私は私のままで在りたいんだよ。特に、推し好きな人達の前ではね………」


アレを使うと、の境界が曖昧になっていく。


そして、私は人間でも人間ジンカンでもないナニカに堕ちていく。


それを理解わかっているのに、アレを使ってしまったのは、やはり………


『まだまだ弱いねぇ、私………』


感情に振り回されるなんて、雑魚の証だ。


全く、もう少しメンタル面を鍛えないといけないなぁ………


本来なら、権能を頼るよりもに頼れば良かったのに………


反省しなきゃいけない事が沢山だ………


『そう言えば、聞いた事が無かったから今聞くけど、何で君かそのナニカとやらになるのを忌避してるんだい?』

『────もう二度と自分を否定したくないからだよ。』

『否定?』

『《人は人のままで在れば良い》》、それなのに私は怒りに呑まれて簡単に辞めてしまった。今までの自分を否定したんだ。それは人だった頃の私を認めていた人への侮辱でしかない。』


本当に腹が立つ。


私はとんだ咎人だ。


だからこそ、本来は権能の反動が無い私にも浦島君の様にとんだデメリットを背負ってしまっているのだろう。


『だからこそ、もう私が私を辞めるのは勘弁なんだよ。特に、浦島君や月ちゃんに申し訳なくなる。』


この私になって出会った人達の前では、私のままで居たいからね………


『さて、この話は此処で終了だ。愚か者達が仕掛けた罠の解体を手伝ってくれるかい?』

『ふふ、喜んで手伝うよ。』


はてさて、浦島君………


君は飛ばされた先で何をしてるんだろうね?


今すぐ戻ってきて、私を慰めて欲しい気分だよ………


『待ってるからね………』

『良い顔だな、人間………』

『でしょ?人だった頃には果たせなかった夢の続きに、私は居るからね………』


────なんてね♪


続く

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