第84話 2人のU/異なるR

第84話


進side


人間達が色々とやっていた頃、その時の進達はというと………


「えっ、レイナ様結婚していたんですか!?」

「でも、この人確か………」

「色々と噂が有るのは知っているさ。でも、俺が1番だからな!だから、些細な遊び程度なら見逃すさ!最後に俺の隣に居れば良いのだからな!」

「「おお!!」」


おい。


おいおいおいおい!


何でそれが事実の様に進めてるんだ、お前!?


────よし、やるか。


「〘8重火力オクタプル・ファイア〙、不死鳥の一突きフェニックス・スピア!!」

「ちょ、不意打ち!?」


これ以上面倒な事を言われる前にぶっ飛ばす。


顔にブチ込んだし、当分は黙るだろう………


────多分。


「な、何してるんですか!?」

「か、顔を殴るなんて、ひ、酷過ぎます!!」

『ワンワン!!』


おっと、四面楚歌。


まるで、俺が悪いみたいじゃん………


それに、アイツなら………


「痛いなぁ、もう。男のツンデレは需要が無いんだぜ?まぁ、お前のツンデレは大歓迎なんだけどな!!」

「ちっ、やっぱり8重程度じゃ響かねぇか。面倒な奴め………」

「痛い物は痛いんだけどな。俺の魂に響かないだけで………」

「それが問題なんだろうが………」


コイツ、10重かそれ以上じゃないとロクにダメージ通らないんだよなぁ………


本当にチート、クソゲーの権化だよ………


マジの殺し合いはもう二度とやりたくねぇなぁ………


「………いや、魂に響かないという言葉は撤回しよう!」

「は?」

「コレはお前からのDVなんだろ?つまり、逆説的に俺とお前は家族、ラブラブな夫婦な訳だ!」

「どういう思考回路してたら、そういう答えになるんだ、お前!?」

「はいはい、ツンデレツンデレ。たまには、俺にちゃんとデレても良いんだぜ、マイダーリン♡」

「ははは、死ね!」

「くっくっく、そういう形のプロポーズも良いと思うぜ!!」


あっ、クソ!


この魔王、俺の剣の軌道を【念力サイコキネシス】でズラしやがった!!


ちゃんと当たりやがれ!!


もう一度殺して、来世に送ってやるからよ!!


「す、凄い………」

「み、見えない。なのに、二人共お遊び感覚でやってる………」

『ワンワンワン………』


ん?何か言ったか、あの子達?


いや、今は良いか………


「死ね!!」

「い゛き゛た゛い゛!!」

不死鳥の一突きフェニックス・スピア!!」

神槍飛龍ワイバーン・グングニル!!」


☆☆☆☆☆


「はぁはぁ、死ねよ………」

「嫌だね。まだまだ生をお前と謳歌したいんだよ、俺は………」


このダンジョンを攻略しなければいけないのに、派手に喧嘩したバカな大人が居た。


────というか、俺達だった。


「ねぇ、この剣抜いてくれるか?心臓に刺さって目茶苦茶痛い上に、生命力や魔力をガンガン吸ってくるんだけど………」

「お前こそ【念力サイコキネシス】で太鼓の達人の鬼みたいな感じでリズム刻みながら心臓潰してんじゃねぇよ。血液のビートってか?」


途中から本気の殺し合いになりかけたせいで、お互いに致命傷を受け続ける状況になってしまった。


レイナの方は心臓に俺の血吸の暴食ブラッティ・グラトニーが刺さり、口から血反吐を吐きまくってる。


俺の方は心臓を爆速なリズム刻みで【念力サイコキネシス】に潰されるせいで、そういう水鉄砲みたいな感じで血反吐を吐いてる。


「俺達はカラースプレーか?」

「良いね、血染めは好きだぞ?」

「やっぱり、根本的に悪霊だよ、お前。」

「悪霊種の魔人族だからな………」


まぁ、茶番は此処までにしておくか。


「はぁ、痛かった………」

「此方の台詞だ………」


う〜ん、やっぱり心臓はちゃんと自分のリズムで動く方が快適だな。


昔、ギ◯2を再現しようとした時も思ったけどさ………


「あ、あの………」

「だ、大丈夫なのですか?」

『ワオ〜ン。』


おっと、彼女達の事を忘れていた。


まぁ、こんな光景を見たら心配するよな。


それ所か、ドン引きしてSANⅩ値チェックしかねない………


あっ、シャードウルフも心配してくれてありがとうな。


「安心しろ、俺達は勝手に治る。」

「原理は違うがな。」

「あっ、本当だ………」

「魔人ブ◯?」


どうだろう?


アイツらどういう理屈で再生してるんだったっけ?


「簡単に言うとな、俺は魂が固定されてるんだ。肉体は魂に引っ張られる物でな、魂が完全に無事な限りどんな目にあっても治る。というよりは元の形に戻るって言った方が良いかもな。」

「まぁ、コイツの魂は魂で頑強だから殺すの何て夢のまた夢だけどな!」

「で、レイナの場合は命のストック。魂を固形化させて、蓄えてるんだ。まぁ、要するに残機だな。殺した数、コイツの命みたいな所がある上に、本人が目茶苦茶タフだ。だから、殆ど無用の長物みたいな保険になってるんだよな………」

「そのストックをバカみたいに浪費させた奴がよくほざくな………」


お前だってバカみたいに殺してきた上に、俺の魂の7割位を消滅させたんだから、お互い様だろう?


「「へぇ、凄いんですね………」」

「あっ、コレは理解わかってない奴だな………」

『ワン!ワオン!!』

「いや、何でお前は理解わかるんだよ………」


お嬢ちゃん達、理解度で狼に負けてるぞ?


続く

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