第81話 一方、その頃の新宿ダンジョン

第81話


人間side


『ありゃりゃ、派手にやられたね………』


まさか、ブルトリア・ロックが現れるとは。


あのクソ岩、私達モンスター側にとっても面倒な奴なんだよね………


あのクソ岩、区別なく全てに迷惑を掛けてくるから、一部では『差別なき害悪』とか呼ばれているが、本当にその通りだよ………


『さて、何処に飛ばされたんだろうね?』


浦島君だけなら心配は要らないんだろうけど、今回は他の3人(2人と1匹)も混じっているのだ。


流石に心配せざるをえない。


彼が着いているのなら、大丈夫だとは思うのだが………


『少し嫌な予感がするんだよね………』


こういう時の嫌な予感はよく当たるものだ。


だから、正直不安だ………


深層はまだ復興の途中だというのに、一体何が起ころうとしているのだろうか?


『カァカァ!!』

『ん?カースクロウじゃないか、どうかしたのかい?』


そんな事を考えていると、カースクロウが私を呼んできた。


もしかして、何かあったのだろうか?


『カァカァ!!』

『強大な悪意を持つ存在がどんどん進んできてる?』

『カァカァ!!』

『で、監視をしていたら、変な罠を張ろうとしていた、か………』


罠、ね………


モンスター用なら別に良いんだけどさ………


もし、その罠が別の目的に使われてるとしたら………


『私が動くしかないね………』


なら、先ずは確認から始めよう。


『カースクロウ、その罠がモンスター用か人用かどうか確かめてくれるかい?邪魔をしてきたら、直ぐに私を呼んでくれ。』

『カァ!』

『よし、良い子だ。頑張ってね!』

『カァ!!』


さて、どうなるだろうね?


☆☆☆☆☆


『はぁ、本当に人用の罠とはね………』


深く溜息を吐き、このくだらない罠を張った奴等を睨む。


しかし、全く怯まない。


ふ〜ん、一応は強いみたいだね………


『しかも、優しいカースクロウ達まで殺すとか、君達は死にたいのかな?自殺願望者は基本的に受け付け拒否してるんだよ、ウチのダンジョン。』


全く、吐き気がするね………


そんなに殺して欲しいのかい、お前等?


「人の皮を被ったモンスターが、よくほざくな。」

『はい?』

「穢らわしいモンスターの中でも、特に穢らわしいタイプだ。直ぐにこの世から抹消してやる!!」

『成る程、ね………』


話が通じないタイプか………


しかも、あの頭の可笑しい変態共サキュバスクイーンとインキュバスキングと違って、質の悪い方向で話が通じない奴だ。


『モンスター殲滅派は私が生きてた頃にも居たけど、人も殲滅対象なのかい?』

「巫山戯るな!我々が滅するのはモンスターだけだ!」

「その中には、忌々しいテイマーも入っている。モンスターに組する存在は人ではない、人の形をしているだけの怪物だ!貴様の様にな!」

『歪んだ考えですね、悪意に満ちた奴等特有の価値観だ………』


本当に吐き気がする………


お前等がそんな考え方をするから………


そんな価値観で行動をするから………


そんなのだから、私が………


「喰らえ、〘光魔砲ライトニング・バレット〙!」

『くっ、光属性の魔法か………』


私の影と相性最悪だ………


はぁ、厄介だね………


「どうだ、浄化の光は!お前の様な闇の者には地獄の苦しみだろう?」

『その言い方だと、私が陰キャみたいじゃないか。』


あまり否定は出来ないけどさ、その言い草は酷くない?


「〘光魔の雨ライトニング・レイン〙!!さぁ、浄化の光に滅されるがいい!!」

『参ったな、コレは………』


影の中に潜れば簡単に避けれ………


────でも、それは心底嫌だった。


それだと、コイツ等から逃げたみたいじゃないか。


はぁ、それでマトモに喰らう選択をしてしまう私もバカだな………


もしかしたら、浦島君に毒されて私の頭も彼女達みたいにパーになったのかも?


『彼が戻ってきたら、このネタで弄ってやるか………』


☆☆☆☆☆


「ふっ、モンスターめ。浄化の光によって、完全に滅されたか!」


バカの声が聞こえる………


「全く、手間をかけさせやがって………」


クズの声が聞こえる………


「お前等、終わったか?この罠の調整もそろそろ終わりそうだ。」


ゴミの声が聞こえる………


ああ、耳障りだなぁ………


「しかし、先にテイマーの奴等に入られるとはな………」

「別に良いではないか。我々に滅されるのが後回しになっただけ、結果は変わらん。」

「だな。早くゴミをゴミ箱にぶち込みたいぜ!」


そんな風に嗤う人間共………


────ああ、良かった。


────お前達はだ。


『何でもう終わった気なんだい、人間共。』

「なっ、まだ生きてか!」


勿論、私は生きてるさ。


あんな光如きで私は死なない────


────私の陰は、この闇は絶対に消え去らない。


『さぁ、裁きの時間だ。』


お前等には容赦は要らないだろう?


────だから、案内してあげるよ。


『〚世界改変ワールド・エンド〛。』


世界が塗り替えられていく………


────私の全てを解き放つ事が出来る独壇場セカイへと。


「なっ、何だ、此処は!?」

「お前、何をした!?」

「な、何も見えない………」


はは、雑音が煩いね。


さて、此処はどんな台詞が合うだろうか?


う〜ん、彼に倣って、こう告げよっか♪


『さぁ、此処から先は私の断罪劇セカイだ。』


続く

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