第80話 逃げれば1つ 進めば2つ 奪えば全部!(尚、本編で否定されてる模様)

第80話


色々と気になる事はある。


だが、今は此処から彼女達を逃がすのが最優先だ。


「────この娘達の事は後で考えよう。早く此処から出よう。」

「おう、そうだな。よし、俺は影華っぽい方を背負うから、シンは陽華っぽい方を頼む。後、犬も。」

理解わかった。後、コイツは狼だ。」

「俺から見たら五十歩百歩さ。」

『グルルルル!!』

「うおっ、噛んできやがった!?」


ほら、シャドーウルフも怒ってるじゃん。


「怒ってる途中すまんが、抱えるぞ。」

『ワオン!?』


陽華っぽい娘を背負い、シャドーウルフを俵を持つ様に抱え込む。


しかし、どっちも軽いな………


ちゃんと食べてるのか?


「準備は出来たか?なら、一気に飛ぶぞ!!」

「おう、任せた!」

「よし!1・2・3!!」


────あれ?


「何で飛ばないんだ?」

「すまん、この世界でマーキングしてるのお前だけだったわ!?」

「はぁ、どういう意味だ!?」

「これ、俺がマーキングしてた奴の所にしか転移できないんだよ………」

「何でそんな設定なんだよ!?」

「だって、しょうがないだろ!この転移は徹底的にお前をストーカーする為に覚えた物なんだぞ!!」

「努力の方向性!!海賊狩りか、お前!?」


何でそう変な所に目茶苦茶力を入れられるんだ、お前は!?


ちくしょう、徒歩で登るしかないのか………


「下層への入口、探すか………」

「────すまん、そうしよう。」


☆☆☆☆☆


「やっと、見つけた………」

「だな………」

『ワン………』


無駄に広い洞窟を歩き回り、やっとの所で下層への入口を見つける。


よし、此処から先は普通にのダンジョンだからな。


普通に駆け上がれば、出られる筈だ。


「よし、出るベッ────」

「えっ、シン!?どうしベッ────」

『キャウン────』


3人同時(2人と1匹)に出ようとした瞬間、物凄い力で弾かれた。


ど、どういう事だ!?


「い、痛ぇ─────結構効くな、コレ。」

「うう、これだから肉の身体は嫌になる。」

『キャウウウン………』


2人共(1人と1匹)にも結構効いてるっぽいな、コレ………


出ようとしたら、弾かれた………


つまり、それを意味する事は………


「なぁ、此処のルールって………」

「十中八九、『逃げるな』だろうな。全く、酷いルールだ………」


俺達だけだったら、別に気にしないルールなんだけどな………


今は彼女達が居る………


本当に運が悪いな、俺は………


『ワオン?』

「その通りだ、シャドーウルフ。俺達は危険を侵してこの深層をクリアしなきゃいけないらしい。」

『ワン!?』

「もう進むしかないんだ、諦めろ。」

『ワウン………』


まぁ、不安になる気持ちも理解わかるが、そこまで落ち込むなよ………


何か俺が悪い事をした気分になっちまうじゃねぇか………


「そろそろ彼女達も起こそうぜ?」

「そうするか………」


色々と聞きたい事もあるし、話さなきゃいけない事情も出来た。


でも、こういう状況って本当に苦手なんだよなぁ………


月ちゃんみたいなのが例外なだけで、大体最初は酷い目に………


「うぅ、此処は………」

「あ、あれ!?あ、あの変な岩モンスターは何処に!?」


おっと、起こす手間が省けた。


しかし、混乱してるなぁ………


『ワン!』

「あっ、影狼!貴方も大丈夫だったの!?」

「よ、良かった………」

『ワン!ワンワン!!』

「えっ、あの人達が助けてくれた?あの人達って一体………ええっ!?」

「お姉ちゃん、大じ────レイナ様!?」


ん?


レイナ………様…………?


「な、生レイナ様!?何で此処に!!??」

「うぅ、眩しい………」


おい、俺は無視かコラ。


というか、あの変態の何処が眩しいんだ?


むしろ、世界を闇に閉ざす系女子だろうが、アイツ………


真っ暗も真っ暗だぞ、アレ?


「ははは、俺の事を知ってるのかい?」

「勿論!ほぼ女所帯なEX探索者達の中で1番カッコいいって言われてる人ですよ!殆どの女子が憧れてますよ!!」

「ウンウン!」

「そうなのか………風評なんか気にしてなかったから、知らなかったぜ。しかし、少しだけあのBSS拗らせ一家が可哀想になってきたな………」

「レイナ様?」

「いや、何でもない。………そうだ、サインでも要るか?」

「「はい!!」」


コイツがカッコいい?


目が腐ってるのか?


コイツはどう見ても、可愛い&気持ち悪い&怖いの三拍子だろうが………


しかし、最後ら辺は何を呟いてたんだ?


何か可哀想な奴の事を考えてる時の顔をしていたが………



ていうか、此処はサイン会場じゃねぇんだぞ?


「シンも要るか?」

「要らん。」

「じゃあ、勝手に書いてお前に渡すよ。」

「いや、要らないって!!」


なっ、身体が動けない!?


コイツ、【念力サイコキネシス】を使いやがったな!!


そこまでして俺にサインを渡したいのか!?


「渡したい!!」


即答すんな!


ていうか、心を読むな!!


「れ、レイナ様………」

「そ、その………」

「何だ、お嬢ちゃん達?」

「へ、変な仮面の番人と知り合い………というか、仲が良いのですか?」


あれ、何だろう?


少しだけ、嫌な予感がするぞ?


「ふふ、仲が良いかって?勿論さ!だって、俺達は………」


あっ、コレは絶対にヤバい!!


絶対に面倒な事を言いやがるぞ、コイツ!!


「超ラブラブな夫婦だからな!」


続く

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