第79話 陰と陽な双子
第79話
???side
「本当に行くの、影華ちゃん?」
「もう此処まで来たんだから、行くしかないでしょ!」
「で、でも………」
「ほら、しっかりする!ちゃんとしてたら、貴方は強いんだから!!」
「う、うん。」
早く行かないと、此処に居るって言われてる変な仮面の番人に邪魔される………
それだけは避けなくてはいけない。
邪魔されたら、私の妹である陽華に………
『ワンワン!!グルルルル!!!』
「いきなりどうしたの、影狼!!」
急に何も無い所に吠えて、どうしたの?
其処には何も────
「そ、そんな………」
「きゃっ、ひ、人!?いや、変な仮面の番人さん!?」
「へぇ、本当に
し、しまった………
も、もう見つかった………
な、なら………
「影狼、煙幕を張って!!」
『ワオ〜ン!!』
「ん?いきなり何を────」
よし、今だ!!
「陽華、行くわよ!!」
「う、うん!!」
このまま、駆け抜けて────
『キキィ!!』
「「えっ!?」」
『ガウ!?』
ぷ、プテラノドン!?
な、何でこんな所に居るの!?
「全く、世話がやける奴等だ。【
私の後ろから番人の声が聞こえてきたと思った瞬間、目の前のプテラノドンが斬り裂かれる。
い、一瞬で倒しちゃった………
やっぱり、マトモに戦ったら勝ち目がないよ、こんな奴………
「危ない事をするなよ、お嬢ちゃん達。それとwith
『グルルルル!!』
「おいおい、逆ギレすんな。」
あれ、何か会話成立してない?
私しか出来ないから、ちょっとだけ優越感持ってたのに………
『プルル!!プルルン!!』
そんな事を思っていると、変な声が聞こえてきた。
またプテラノドン?
いや、でも声が違う様な………
「げぇ、ブルトリア・ロック!?」
変な仮面の門番が焦ってる!?
という事は、あのホヤみたいな岩のモンスターってそんなにヤバいの!?
『プルルルwプルルルルルルル♪』
「ヤバい、早く逃げろお前等!!」
えっ、急にそんな事を言われても────
そう思った瞬間、私の眼の前の景色は眩しい光に包まれていた。
一体、何が────
☆☆☆☆☆
進side
「オエッ………」
はぁはぁ、めっちゃ気持ち悪い………
この子達を助けようとしたせいで、俺もブルトリア・ロックの転移魔法に巻き込まれてしまった………
あのクソ岩め、今度会ったら汚い花火にしてやるからな!!
『ワン!ワンワン!!』
「落ち着け、シャドーウルフ。このお嬢ちゃん達は気絶してるだけだ。」
転移魔法の適性が無いと、ブルトリア・ロックの強制転移を喰らった時にする気分が悪くなるんだよな………
酷い時は気絶するときた。
マジで害悪なクソ岩だよ、アイツ………
しかも、最後ら辺は明確な悪意を持って嘲笑いながら魔法使ってきたしな………
「さて、此処は何処だ?」
新宿ダンジョンじゃないのは確かだな………
だが、近くから感じるモンスター達の気配からして………
「深層、か………」
新宿ダンジョンや仙台ダンジョンとは違う場所の深層に間違いないだろう。
全く、何処のダンジョンに飛ばされたんだろうな?
九州辺りだったら、帰るのが目茶苦茶難しいぞ、コレ?
「仕方ない、業腹だが背に腹は変えられん。アイツを呼ぶか。」
強く息を吸い込み、大きな声で一気に………
「助けてくれ、レイナァァァ!!!!!」
「ほい、お呼びと聞いて即参上!!」
えっ、叫んだ瞬間にもう来やがったよ、この魔王。
相変わらず、気持ち悪い奴だな………
「おいおい、お前が助けを求めるとか、どんな状況だ?俺の力が必要な程に困っているのか?はは、任せろ!俺がどんな問題でも解決してやるよ!!」
と、言いながら嬉しそうにクネクネするレイナ。
やめろ、あの時にクネクネしながら発狂したヒョロガリを思い出して不快になるわ………
「じゃあ、あの子達を外へ連れてってくれ。後、此処は何処か教えてくれるか?」
「おう、任せろ!!あのお嬢ちゃん達だな!!それと、此処は広島ダンジョンだぞ。」
広島ねぇ、昔に宮島の厳島神社に行った覚えがあるな………
もみじ饅頭、美味しかったなぁ………
「出たら広島のお好み焼きを食べてから帰ろうぜ。」
「良いな、それ。後、俺は尾道ラーメンも食べたいな。」
「ふふ、それも良いな!さて、じゃあ早くこのお嬢ちゃん達を外へ送り届けて………は!?おい、勇者!この娘達の顔をちゃんと見たのか!!」
「顔?」
そういや、ちゃんと見てなかったな………
レイナが驚くななんて、どんな顔をしてるんだ、この娘達………
「────は!?」
────思わず、声が漏れる。
それ程までに、彼女達の顔に驚いてしまったのだ。
あ、有り得ない………
「陽華と影華が何で此処に!?」
いや、有り得る可能性はあるのか?
実際、魔王みたいに生まれ変わった様に、彼女達が再びこの世界に産まれ直したとか?
それなら、此処に彼女達の顔をした存在が居るのにも納得がいく。
「レイナ、少し確認してくれるか?」
「────ああ、ちょっと待て。」
彼女達の胸に手を当て、魂を探るレイナ。
こういう事に関しては、レイナの
頼りにしてるぜ、レイナ………
「マジか………」
「どうした、レイナ!?」
「コイツ、俺と同じ様な産まれ変わりじゃない。」
はぁ!?
じゃ、じゃあ、この娘達はつまり………
「血縁関係は有るみたいだが、唯の他人の空似だ。気持ち悪いレベルのな………」
────全く、冗談キツいぜ。
続く
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