第75.5話  見〜つ〜け〜た♪

第75.5話


トンside


「はぁはぁ………」


俺は走り続けた………


逃げなければ、確実に死んでしまう。


不死身になれたのに、心の底からそう思ってしまった。


何なんだ、あの化け物は!?


まさか、本当に魔王なのか!?


『見つけた。』

「なっ!?」


変な声が聞こえてきたと思った瞬間、2つの目が俺を見つめていた。


────間違いなく、殺意の籠もった目で。


「ひぃ!?も、もう嫌だっ!!」


奴が居ない方向へ走っていく。


だが────


『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

『見つけた。』

「も、もう、やめ────」


逃げた先に、目、目、目。


何処に逃げても目は俺を見つけてきた。


上から、下から、前から、下から、右から、左から。


ありとあらゆる方向から、俺を見つけてくるのだ。


もう、頭が可笑しくなりそうだ………


────いや、既に可笑しくなっているのかもしれない。


発狂してしまったチンやカンの様に………


「お、おい、大丈夫か?」

「ひぃ!?………って、普通の人間?」


いきなり話しかけられたので、思わず悲鳴を上げてしまった。


だが、よく見ると普通の人間だ。


まぁ、俺の行動は不審者か病人のそれだ。


心配されても可笑しくはないだろう………


「はぁはぁ、俺は大丈夫だ。気にしないでくれ。」

「そうは見えないんだが………まぁ、良い。俺はちゃんとお前を、し。」


えっ、今、何て────


「やぁ、さっきぶりだな。」

「あ、ああ………」


其処には、チンとカンを可笑しくした怪物が立っていた。


ニヤニヤと嗤いながら、奴は俺を見てくる。


その視線は、先程まで俺を見つけてきた目とソックリだった。


「見〜つ〜け〜た♪」


続く

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