第76話 墓参り

第76話


シンside


「──────────────────」

「ふぅ、ちょっと時間かかったな………」

「そうですね。というか、少し遊び過ぎじゃないですか、魔王?」


全く、弄び過ぎでしょう…………


というか、この発狂している雑魚共はどうするんです?


さっきから………


「「アイスクリーム!アイスクリーム!」」


って、煩いんですけど………


というか、アレって食べ物じゃなくて、I scream私は叫ぶの方ですよね?


くっ、ちょっと面白いと思ってしまったのが何か悔しい………


「すまん、久しぶりに大暴れ出来るからって楽しみ過ぎた。」


そう言いながら、アイスクリームを連呼している奴等を爆裂させる。


ちょっと、血が飛んできたんですけど!?


はぁ、血を洗い流すの面倒なんですから、止めてくださいよ………


「最後の1人はどうするつもりです?」

「大丈夫だろ。多分、今頃見つかって視線で刺殺されてるだろうから。」

「ふ〜ん、なら大丈夫ですね。」


コイツの能力やスキル、相変わらずエグいですね………


当たり前の様に世界を塗り替えるとか、化け物なんですか?


────化け物でしたね、はい。



「転生して人族になっても、常時発動型なんですね、貴方の〚世界改変ワールド・エンド〛。」

「魂自体は変わってないからな!この力は魂に刻まれた力だろう?」

「いや、そうですけど………」


人族の俺が使うと反動酷いんですから、今の貴方もそうであって欲しかったですよ………


というか、貴方のアレは馬鹿みたいにチートなんですから、ナーフしてて欲しかったですよ、マジで………


「はぁ、良い時間だな。早く帰って酒でも飲もうぜ?」

「そうですね………」


ピコン♪


「ん、コレは────」


☆☆☆☆☆☆


「おいおい、何の用が有って、墓場になんか来てるんだ?」

「色々あるんですよ、私にも………」


前にユンに調べて貰っていた場所が、やっと理解わかったんですからね………


いや、まさか、貴方と一緒に行く羽目になるとは思いませんでしたけど………


「ふ〜ん………」

「まぁ、今から手を合わせる人達は貴方も知ってる人ですよ。」

「知ってる奴等?一体………」

「────勇者様ですよ、少なくとも私以上のね。」

「────アイツ等、か。当て付けのつもりか?」

「そんな訳ないでしょう。着いてきた貴方が悪いんですからね?」

「それもそうだな………すまん。」

「謝らないでくださいよ、レイナ。私達がしてたのは、くだらない戦争なんですから。」


謝れるのは良い事ですが、謝罪だけで何とかなるなら、割り切れるのなら、警察は要らないんですよ………


「────在りましたね。」

「やはり、戦刃いくさば 陽華ようかに戦刃 影華かげかの墓か。」

「ええ。まぁ、この墓の中に骨は入っていませんが………」


死体は異世界で塵となって、風に消え去りましたからね………


「あの双子はお前の次に覚えているよ。」

「でしょうね………」

「お前の次に勇者だったからな………」

「当然です、私を勇者にしたのは彼女達ですから。」


彼女達のお陰で、今の私が此処に居る。


彼女達の犠牲で、今の私はのうのうと生きて居られる。


出来るのなら、私は彼女達と一緒に────


「────本当に凄い奴等だったよ。何せ、お前の気持ちを揺らがす一歩手前まで行ってたんだからな。」

「な、何でそれを知ってるんですか!?」

「俺、お前のストーカー。何でもは知らないが、お前の事は何でも知ってる。」

「き、気持ち悪い────」


無駄に説得力有るの止めてくれません!?


あんなの、気の迷いですよ、気の迷い………


それに、彼女を選んだとしたら、彼女達は私に失望していたでしょうし………


「そうかなぁ?アイツ等、お前のパーティーメンバー以上に卑しい女に見えてたが。」

「貴方の目が腐ってるからでは?」

「俺はゾンビじゃなくて悪霊だ、腐る事は全く無いから真実しか見てねぇよ。」

「じゃあ、虚言。」

「お前に嘘を吐いた事は一度もない。」

「くっ────」


もう言い返せる言葉が無い………


ひ、卑怯ですよ!!


「そんな熱い視線で見つめないでくれ、孕むから。」

「墓場で発情しないでください………」


こんな痴態、彼女達に見せたくないんですから………


「しかし、手を合わせてどうするんだ?死体が無いなら祈る必要も無いだろう?」

「墓が在るなら手を合わせるべきですよ。まぁ、こう考えれる様になったのは最近ですけどね。」

「ふ〜ん、人族っぽい考え方だな。」

「貴方達も似た様な物では?」

「種によって違うよ、魔人族はな。」

「そうでしたね………」


まぁ、スライム種やアンデット族の奴等とかはしそうにありませんですからね………


「────お久しぶりです、陽華に影華。今回はちゃんと貴方達の墓に来ましたよ。」

「ふっ、今回は俺も来てやったぞ、双子勇者。」

「見ての通り、とんだ邪魔者も居ますけど、私は心から貴方達の冥福を祈っています。」

「俺も一応はな!」

「私達が異世界に呼ばれた元凶に言われても嬉しくないでしょうけど、気持ちは多分本当でしょうから………」


だからこそ、ほんの少しだけムカつきますけどね………


まぁ、それは飲み込みましょう。


あの戦いは、仕方のない事の連続でしたから……


「貴方達のお陰で、今日も私は今を生きています。前を向く事が出来ています。だからこそ、どうか………どうか……………」


────貴方達もどうか安らかにお眠りください。


続く

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