第71話 魔王の純愛

第71話


────魔人族。


それは異世界にて、どの種族と比べても最強の肉体と魔力を持つと言われている種族。


彼らはモンスターと呼ばれる怪物達と同じ特性を持ち、それらを利用して繁栄・他種族への侵略をしたとされている。


しかし、それは間違いだった。


彼等の先祖は本来────


☆☆☆☆☆☆


「相変わらず、気持ち悪いですね。貴方、私の世界でも倫理観ポイ捨てして、こんなの作ってたのですか?」

「勿論!いやぁ、良い肉はこの世界の方が手に入るんでね!!」


そんなに人肉が手に入れられるのですか、私の世界?


自殺者、数増えてるのでしょうか?


「おいおい、勘違いするなよ?昔は人肉を使ってたがな、この世界の知識を得た事でどんな肉でも身体を作る事が出きる様になったのだ!極論を言うと、この世界の有機生命体の身体は蛋白質で構成されているからな!!」


成る程………


なら、私のクローンの身体は豚肉や牛肉、鶏肉からでも作れるのですね………


コスパ良くなったのですね、おめでとうございます。


「魂はどうしてるのです?肉体だけの脱け殻じゃ、意味は無いと言っていたでしょう?」

「それはお前から借りパクしといたぞ?」

「はい?」

「お前が異世界に行く前から、お前の魂を少しずつ削っていったからな!そのお陰で、一万人程のクローン勇者を作る事が出来た!ありがとうな、勇者よ!後、勇者になる前の魂も美味しかったぞ!!」

「────迦楼羅緋色斬!!」

「ちょっ、此処で不死鳥の一閃フェニックス・ストラッシュは止めてくれ!?」


煩い、斬る。


斬るったら、斬るんです。


どうせ、ロクな事にしか使ってないんでしょう?


なら、私が綺麗に纒めてゴミ捨てしておきますよ。


────明日は水曜日、燃えるゴミの日ですからね。


「そんな、酷い!俺はこのクローン勇者をお前の次に愛してるんだぞ!この命達をゴミ扱いするなんて、人の心とか無いのか!?」

「命の尊厳侮辱してる貴方がそれを言いますか?」

「おいおい、俺の在り方を否定するとか差別か?魔人族差別か??今時流行らねぇぞ、魔人族差別はよ!!」

「この世界に魔人族は居ませんよね!?」


居ない存在に差別してどうするんです!?


というか、貴方も今は人族でしょう!?


それにどれだけサブカルに汚染されてるんですか、貴方!!??


確かにそういうの好きな方でしたけど………


「全く、酷い話だ。勇者よ、このクローン達は良いぞ?特にこの陰茎部はな!コレのお陰で私は何時も慰められるし、何なら精液も再現できてるからお前と私の子も作れる様になったからな!!ふふ、あの自称幼馴染のチビ女よりも先に、私がお前の子を孕んだんだぞ!!本物のお前との子供も産みたかったが、作れる様になった時にはお前が異世界に転移してしまっていたからな!帰ってくるのを待っていたが、何故か賢者とその娘サイコパスエロフ達がこの世界に来るわ、何故か妊婦になった戦士あっ、勇者を逆レしたなコイツ!?が先に見つかったし、本当にちゃんと帰れたのか心配になったんだぞ?お前が配信に映るまでは、あの忌々しい聖女なお姫様隠れドSなのが隠せてない性女にこっそり監禁されてるのかと思ってたよ。いやぁ、無事で良かった。」

「気持ち悪い。心配してくれてたのは素直に嬉しいですけど、気持ち悪い。」

「はは、褒めるなよ。照れるじゃないか!!」

「褒めてないです。」


思考回路、どうかしてるんじゃないですか?


ていうか、貴方も私の子供を作ってたんですか!?


天丼にも程が有りませんか!?


「し、知らない内に私の子供がどんどん増えてくる………」


もうそういう呪いか何かなのでしょうか?


いや、生まれてきた子供達はどんな子であろうと祝福するべきなのですけどね………


「やっぱり、そうだったのか………。大丈夫か、勇者?逆レされて辛かったろうに、慰めてやろうか?」

「やらかした事に関しては貴方も五十歩百歩ですよ!?」


何自分は正常ですよ、みたいな雰囲気出してるんですか、貴方!?


「あっ、そうそう。そろそろ俺の娘が帰ってくるぞ。」

「また娘!?娘率高くないですか、私!!??」


娘も悪くないけど、息子もちょっと欲しかったんだよね………


でも、険悪な関係になりそうですね………


私、お父さんとの関係は悪かったですし、今でも普通に嫌いですから、上手く付き合える気がしません………


「俺、ただいま!」

「おっ、帰ってきた。」

「────いや、ちょっと何か可笑しくありませんでした!?」


今、絶対に会話可笑しかったですよね!?


多分、私と貴方の娘が帰ってきたのでしょうけど、何でその子は自分に「ただいま」とか言ってるの!?


「あっ、勇者居るじゃん!!やっと連れてこれたんだな、俺♪」

「おう、ちゃんと捕まえれたぜ、俺♪」

「ええ………!?」


────其処には、恐ろしい光景が映っていた。


魔王の隣には、小さなロリみたいになった魔王が立っていた。


ど、ドッペルゲンガー!?


い、いや、魔王は悪霊種の筈です。


な、なら、一体何を────


「────はは、忘れたのか勇者?俺は悪霊種の魔人族だぞ?」


ま、まさか、お前────


「仲間を、自分を増やすのは大の得意なんだぜ♪」


続く


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