異世界に召喚され帰還した元勇者、帰還したら50年も経ってて浦島った上に現実世界もファンタジーに侵食されてた件〜しかも、いつの間にかダンジョンの番人扱いまでされてるオマケ付き〜
第67話 ■■■■■ エゴな世界/勇者の資格
第67話 ■■■■■ エゴな世界/勇者の資格
第67話
────世界が替わる。
創り替えられ、新たな世界が俺達を縛る。
間違いない、コレは………
「まだ、生きてたか………」
やられた、権能を使われた………
しかも、昔より明瞭に自分の世界を作れてるな、コイツ………
「これ、アイツの権能?」
「ああ、周囲の世界を創り替えられた。」
「成る程、これが母上様から聞いていた〚
昔は閉じ込められるだけだったが、この感じなら恐らく………
「ぐふっ、毒か………」
「うっ、結構強いね………」
「くっ、成る程、毒ガスに包まれた世界という事ですか………」
時間を掛ければ、俺自体は大丈夫だろう。
────だが、他の二人にとっては致命的だ。
「お前ら、効くかは
俺達の前にボロボロになった大百足が立ちはだかる。
流石はムカデ、想像以上にタフな奴である。
『俺の世界に居る限り、この毒を解毒する事は不可能だ。』
成る程、そういうルールか。
それなら………
『それに、俺を倒せなければ、この世界から逃れる事は出来ん。だが、この毒で溢れた世界で俺とマトモに戦えるのか?無理だろう?つまり、誰にも邪魔されない一騎討ちが始まるんだ!!』
どうやら、アリス達に邪魔されたのが相当腹に立っているらしい。
アリス達を確実に殺す為に、この権能を使った様だ………
俺も人の事は言えないが、そんな事で使うなよ………
これ、結構命懸けなんだぞ?
「全く………お望みなら、その通りにしてやるよ、大百足。」
『おお!』
そう喜ぶな、大百足。
────お前は必ず後悔する事になるんだからな。
「アリス、ユン。────後は任せろ。」
「「………はい、お願いします!」」
『────お前、何をする気だ!?』
何をする気かって?
────お前と同じ事さ。
「────〚
☆☆☆☆☆
世界が再び創り替えられる。
其処には、大百足が作り出した世界とは違い、真っ赤に染められた無限の荒野が広がっていた。
『こ、此処は………』
「はは、お前なら
良い
お前も気に入ると思うぜ?
『ん!?こ、コレは!!??』
「おっ、やっと気が付いたか。お前の身体の傷、治しておいたぜ。」
『本当に全部治ってる………お前、正気か?敵の傷を治すなど、狂ってるとしか思わないぞ!!』
「おいおい、其処は感謝だろう?」
折角治してやったのになぁ………
「〘
『────そうだな!2人で存分に殺り合おう!!』
嬉しそうで良かったよ、大百足。
まぁ、そう言ってられるのも、今の内だけだろうが………
☆☆☆☆☆
大百足side
────可笑しい。
「
『ガハッ────』
クソっ、負け────
「おい、何呆けてるんだ、大百足?」
『なっ、コレは────』
俺はさっき奴に貫かれて────
「
『ウグッ─────』
くっ、今度こそ、負け────
「おいおい、大丈夫か?さっきから、ボケっとし過ぎだぞ?」
はぁ、俺は生きてる!?
何で俺は死んでない!?
これじゃ、まるで────
「俺みたい、か?」
『し、シン────お前、何をした!!??』
「何をって、コレが俺の世界のルールってだけさ。」
ルール?
一体、どんなルールだと言うのだ!?
「諦めない限り、此処に居る誰もが死なないってルール。良いルールだろう?」
────何だ、そのルール?
そんなの………
『最高のルールだな、シン!ちょっと驚いたが、諦めなければ勝てる可能性は消えないという事だろう?』
「勿論。」
『はっ、馬鹿な奴め!そんなルールを押し付ける世界を創った事を後悔するが良い。』
コイツが諦めるまで、俺が諦めなければ良いだけの話じゃねぇか!!
血迷ったな、シン!!
〔死亡10回目〕
『本当に不死身だな、お前みたいだな!』
「だろう?」
〔死亡50回目〕
『ふふっ、此処まで死ぬと変な気分になるのだな、初めて知ったわ!!』
「だよな!その気分を共有できて、俺も嬉しいよ♪」
えっ、気持ち悪い………
何で、コイツは笑ってられるんだ?
〔死亡100回目〕
『くっ、いい加減に死ね!』
「えっ、やだ。まだ諦めてないもん。」
『クソが!!』
あ、頭が可笑しくなって………
〔死亡1000回目〕
『はぁはぁ、何で………?』
「おいおい、もうバテたのか?まだ、1000回死んだだけじゃねぇか?」
『煩い!!』
こ、これ以上は………
〔死亡10000回目〕
『────許してくれ。』
「何をだ?望み通り、2人きりで永遠にタイマン出来る様にしたのに、何が不満なんだ、大百足?」
こ、コイツは何を言っているんだ!?
俺程じゃないにしても、コイツは何度も俺に殺されてる筈だぞ!?
それなのに、笑みを絶やさず、ずっと俺に殺意を向け続け、攻撃をし続けてくる。
な、何で!!??
何で、ずっと諦めずに居られるんだ!!!???
「何だ、諦めたのか………」
『ひっ!!!???」
心底残念そうに、コイツはそう呟いた。
その姿を見て、俺は初めて恐怖を抱いた。
訳が
恐怖が俺を支配し、身体の自由すら奪われてしまった。
「勇者の役割って何だと思う?」
『は?』
「俺はね、絶対に諦めない事だと思っている。」
それが一体………
「絶対に諦めないという一点だけにおいて、俺は他の奴等よりも最強だったのさ。」
『────何が言いたい!!』
「唯の愚痴と自慢だよ。そのせいで、俺は勇者に選ばれた。そのお陰で、魔王を倒せた。だから、この世界はこんな風になっちまった訳だ。」
じゃあ、さ、最初から、俺はこの世界でお前に────
「まぁ、そういう訳だな。それに、最初に忠告したろ?此処は、俺の
─────────────もう、駄目だ。
「────はぁ、もう少しお前とは長く戦っていたかったよ。」
無茶を言うな、化け物め………
「────じゃあな、大百足。」
ああ、これでやっと────
続く
オマケ
浦島 進の権能
〚
彼の権能によって顕現する世界。
この世界のルールは2つ………
①この世界に存在する生命体全てに諦めるまで解除されない不死性の付与
②最後まで諦めない限り、必ず勝つ
────と、これだけの簡単な物である。
この世界は進の勇者へ価値観を無理矢理に押し付ける物であり、勇者の資格を持たない限り、使われた時点で敗北する運命がどう足掻こうと決定してしまう。
勿論、本来は絶対に人間が使える技術ではないので、それ相応のデメリットが存在するのだが、とある存在のせいで大分優しい物となっている。
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