第68話 反動

第68話


進side


「終わったな………」


ヤバい、目茶苦茶疲れる………


これ以上はヤバい………


じゃいられなくなる………


「参ったな、こりゃ────」


俺は倒れながら、この世界を終焉させる。


少しずむ元の世界へと置換されていき、完全に倒れ落ちた瞬間、元の世界に置いてきた2人と目が合った。


「お疲れ様、勇者様。」

「大丈夫ですか、勇者様?今直ぐ、背負いますね。」

「お、おう。ありがとうな………」


少しだけ格好悪いが、ユンに背負われる俺。


はぁ、大分楽だなぁ………


正直、筋肉痛に見舞われながら歩くのは嫌だったんだよ………


それに、そろそろ………


「あれ?何か柔らかい物が………」

「成る程、今度はこのパターンか………」

「懐かしいね、勇者様。」

「へ?一体何が────は?」


後ろを振り向いて俺を見た瞬間、ユンは絶句してしまった………


まぁ、当然だろうな………


だって、今の俺は………


「何で乳が有るんです、父上様!?」

「おう、お前並にデカいだろ?コレ、権能を使い過ぎた時の反動なんだよ。」


色々と凄いんだよな、反動………


単純に若返ったり、老けたりするのが一番良い方で、下手したらTSするっていう………


しかも、TSしたりすると見た目が別人になったりする事もあるのが、一番驚いたよ。


俺の姿のままでも、ロリ巨乳になったり、めっちゃ巨乳が垂れ下がった老婆になったり、色々バリエーションが豊富だったしな………


別人の場合は、何故か幼馴染の小雪の姿が多かったし、親しかった勇者パーティーの4人みたいな姿にもなってたよ………


そういや、アリスには小雪みたいな姿になってたのは見せてなかったな。


可愛いし、見せてあげたいんだけど、権能の反動の結果はランダムだからなぁ………


「ああ、母上様が性転換魔法を生み出す切欠にした奴ですね。『ムカつくけど、良い物を見れたよ。ムカつくけど………』って言ってたのを覚えてます。」

「まぁ、アイツの見た目で巨乳になっちまったりしたからなぁ………」

「昔の私なら兎も角、今の私なら間違いなくキレるよ、進様。」

「ひっ!?」


やめて、リンみたいに殺意を向けないで!?


この姿になる度に、殺意向けられて目茶苦茶怖かったんだからな!!


ていうか、お前は成長期と出産を経て、胸は大分大きくなっただろ!?


いや、まぁ、それでも胸の大きさは俺等に負けてるけどさ…


「でも、反動ってそんなに軽いんですね。もっと酷い物が来るかと………」

「本来なら良くて半身不随、悪くて死亡だからな。」


まぁ、そこら辺は不死鳥に感謝かな。


いや、感謝したくないな、うん。


唾でも吐いとこ、ペッペッ!!


後で塩でも撒いて、藁人形に釘でも刺しとくのも追加しとこう。


「さっさと、月ちゃんの所へ戻ろうぜ。」

「そうですね、あの娘達の安否も気になりますし………」

「あの影女も居るし、大丈夫だとは思うけどね。」


アイツは影女じゃない、人間だ。


というか、影女は陰湿で執念深い悪魔みたいな奴だよ。


☆☆☆☆☆


鏡花水月の皆が居るであろう第2階層に辿り着くと、モンスター達と一緒に何かを興奮しながら話していた。


仲良くなってんな、お前ら………


「良かった、無事だったんだな皆。」

「「「「へ、誰!?」」」」


おっと、今の俺の状況の事を忘れてたな。


「俺だよ、俺。浦島だ。」

「嘘でしょ………」

「そんな事あるの!?」

「でも、昔社長が出来るみたいな事を言ってた。」

「成る程、だから浦島さんの格好いい仮面を着けてたんですね!」

「「「え?」」」


はは、混乱してるな………


だが、何で鏡ちゃん達は月ちゃんを正気を疑うかの様な目で見てるんだ?


この仮面、格好いいだろ?だろ??


『お、女になったシーンも良い!!』

『僕の王子様はお姫様になっても、僕のハートを掴むんだね!!』

『『ちょっとレズになっちゃう!!』』

『お前ら、頭大丈夫か?』


大丈夫じゃないから、あんな発言出来るんだと思うぞ、ケルピー。


というか、そんな奴等に挟まれたら、オセロみたいにお前も変態になっちまうぞ?


『はは、凄い乳だね?そんなに盛る必要はあったのかい、浦島ちゃん?』

「知るか、仕様に聞いてくれ。」


そういう反動なんだから、仕方ないだろ。


TSしたら、どんな状況でも巨乳で固定されてるんだからな………


そのせいで、毎回ブラとか用意するのが面倒で面倒で………


何で男の俺がブラのオーダーメイドを頼まなきゃいけねぇんだよ………


『お前、相変わらず奇っ怪だな………』

「煙なお前に言われたくねぇよ。というか、お前の方向音痴っぷりも奇っ怪な癖に、よくほざけたな。」

『辛辣過ぎやしないか!?』

「妥当だろ。」

『酷い!!』


おい、泣くな!


お前が泣くとモクモクしてきて、目がしみるんだよ………


「はぁ、疲れた………眠い…………」


まさか、権能を使う事になるとは思わなったので、肉体的な意味でも精神的な意味でも疲労が酷い。


このままだと、寝ちまいそうだな………


「なら、家まで送りましょうか、父上様?」

「助かる。頼んだぞ、ユン………」


ヤバい、もう瞼が落ちてきて………


「あの社長………」

「何ですか、鏡さん?」

「これ、まだ配信してるのですが………」

「はい?」

『わぁお、また面白い事になりそうだ。』


何か起きてるみたいだけど、アイツ等なら大丈夫だろ────


「Zzz………リン、殴らせろ…………Zzzz」


続く

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