第64話 第■0階層 龍を喰らう者 大百足

第64話


鏡side


「あれ、此処は………」


確か、第2階層の………


『私の家さ、よく浦島君も泊まってる場所だよ。』

「人間さん………」

「人間さんの影だったんですね、アレ!助けてくれてありがとうございます!!」

『どういたしまして。まぁ、困った時はお互い様だよ。』


しかし、第8階層から第2階層まで、一瞬でワープ出来るとは………


ウチの社長みたいな事も出来るんですね、人間さん………


:変な影に包まれたと思ったら、家の中みたいな所に来たな………

:あれ、カレンさんじゃん………

:という事は、第2階層か此処?

:ん?他にも何か………


えっ、他にも?


『はぁ、とんでもない奴が復活しちゃったわね………』

『全くだ、僕の王子様が居なきゃ、僕達も全員全滅してただろうねぇ………』

『はぁ、私のシーンなんだけど?』

『はは、流石ヤリマンビッチ。息を吸う様に嘘を吐くんだね。』

『いや、お主等2人共そんな事実は無いじゃろうが………』

『『煩い純愛駄馬!!』』

『ブベッ!?』


あ、何か今まで攻略してきた階層のモンスター達が集合してる。


もしかして、こいつ等にも見られてたのだろうか?


『大丈夫だったか、結界遣い。』

「あっ、第6階層に居た煙の雑魚!何で死んでないの?」

『雑魚じゃない!私はあの階層のボス、煙羅煙羅だ!』

「でも、瞬殺されたじゃん。」

『アレは………迷ったから疲れ果ててただけだ!!』

「余計、駄目じゃん。」

『クソっ、煙の身体に正論パンチがよく染みる!!』


あの瞬殺煙、ボスモンスターですね………


というか、方向音痴でバテるとか、ボスとして致命的では?


「第1と第7階層のは居ないの?」

『ああ、第1階層や第7階層は喋れる奴が故獣のヘルボロスと故虫のモンゴリアンデスワームしか居ないからね。参加したくても、参加できないって泣く泣く諦めてたよ。』


まぁ、第1階層のライオンは兎も角として、第7階層の芋虫やアリジゴクは要りませんからね………


『────さて、皆落ち着いた所で、鑑賞会といこうか。』

「鑑賞会?何を見るんです?」

『はは、怪物達の戦いをだよ、ほら、頼んだよ雲外鏡。』

『任せてください!』


鏡みたいなモンスターが現れ、ピカッと光り出す。


そして、其処には………


「浦島さんと………アリスさんに社長!?」


────大百足と戦うあの人達の姿が映っていた。


☆☆☆☆☆


進side


『むっ、シンがもう1人増えた!?いや、小汚い精霊も混じってる!?種族でも変える魔法を覚えたか、シン!!』

「流石にそんな魔法は使えねぇよ………」


あの杖でも流石に無理だわ、そんな魔法。


まぁ、性別を変える位なら、普通に出来るんだけどさ………


────アレ、結構気に入ってるのよね。


誰でも身軽に出来る自殺って感じでさ………


『ん?それに小さいシンも居るな!お前、小さくもなれるのか!?』

「なれるけど、なってねぇよ………」


魔法って便利だよね。


────まぁ、俺のリンが凄いだけな気もするけど。


「全く、コイツにはどんな世界が見えてるんだ?」

「さぁ?どうせ、ロクな世界じゃないと思うけど。」

「コレと同じ物だと、ロクに物が見えそうに無いですけどね………」


全くだな………


────雑談はそろそろ終わりにするか。


『………もう良い!考えるのは止めた!!俺は眼の前に居るシン達を殺せば良いだけだ!』

「はぁ、相変わらず単細胞だな………」


それでいて、馬鹿みたいに強いのが質悪いんだよなぁ、コイツ………


『全員吹き飛べ、蠱毒暴風ヴェノム・テンペスト!!』


奴がそう叫んだ瞬間、周囲に紫色の暴風が吹き荒れる。


ちっ、面倒な攻撃しやがって!!


「アリス、ユン!少しでも掠るなよ!この風には毒が混じってるからな!」

「了解!それにしても、ムカデってこういう事が出来る生き物だっけ?」

「毒は理解わかるんですけどね………」


まぁ、気持ちは俺も理解わかるよ。


でも、コイツは唯のムカデじゃなくて、伝説の大百足なのだ。


「コイツ、俺が来る前に居た第20階層に大量に蔓延ってたワイバーン達を喰らい尽くした影響か、色んな攻撃が使える様になってるんだよ。そのせいで、マジで多彩な毒攻撃が飛んでくるぞ。」

「うわぁ、面倒………」

「ですね。まぁ、でも………」


何かする気か、ユン?


『ちょこまかと逃げるな!!』

「こういう飛び道具は私には無意味ですよ、毒虫さん。〘座標転換スイッチ〙!」

『魔法か!俺の身体に生半可な攻ゲブッ!?』


フラグ回収早いぜ、大百足。


しかし、コレは………


『な、何で俺の攻撃が俺に当たって!?』

「私が貴方と私達の位置を入れ替えたからですよ。まぁ、昔流行った呪い漫画に出てくるゴリラさんとは違う理屈なんですけどね。」


だろうな………


コレは入れ替えというよりも………


『奇っ怪な魔法を使いやがって!!』

「直接も無駄ですね、〘座標歪曲ディストーション〙!」

『なっ、身体が急に逸れただと!?』


成る程、ユンの魔法は………


「改めて、挨拶しておきましょうか。私は賢者リンの娘、ユン。この世界において、唯一無二の空間魔法の使い手です♪」


リン、どうやらお前と俺の娘はとんでもない怪物の様だ。


コレ、ユンに勝てないんじゃないか、俺?


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る