第63話 第2■階層 埓外な怪物

第63話


鏡side


:何だ、アレ?

:足が沢山見えるって事は虫系………ムカデだ、アレ!!

:駆逐したとか言ってたけど、嘘だったって事か………

:まぁ、キノピオモドキだったし………


はは、視聴者の皆は呑気な事を言えて羨ましいですね………


正直、相対してる私達からすると、もう震えが止まらないレベルですよ、アレ!!


「全力で逃げますよ、皆!!」

「「「了解!!」」」


早くこの場から立ち去らないと、私達の命が幾つ有っても足りません!!


『何処だ、シン!!隠れてないで、出てこい!!この階層に居るのは理解わかっているんだぞ!!』


シン………という事は、あのムカデは浦島さんを探している?


というか、浦島さんはこの階層に来てたんですね………


もしかして、影でこっそり私達の戦いを見てたのでしょうか?


過保護ですね、あの人………


『────見つけた。』


なっ、此方を見てきた!?


しかも、見つけたって────


『殺してやる、滅ぼしてやるぞ、シン!!』

「物凄いスピードで此方に来てる!!」

「これ、身体強化魔法使っても振り切れそうにないんだけど!?」

「あのモンスターから発せられる殺意のせいで意識が飛びそうです………」

「仕方ない、〘捕縛ロック〙。」


水ちゃんの魔法がムカデを捕える。


だが、そのムカデは………


『そんな小細工が効くか!!』

「身震いしただけで壊された………格が違い過ぎる………」


彼女の魔法がこんな風に壊されたのは、今まで浦島さんだけだった。


つまり、あのムカデは浦島さん並に強いという事。


「〘4重火力クアドラプル・ファイア〙、不死鳥の一閃フェニックス・ストラッシュ!!」

「〘炎魔窮一閃フレイム・ストライク〙!!」

「〘召喚サモン噴火弾ボルケーノ〙!!」

『どうした、シン!!?こんな児戯みたいな技しか出せなくなったか!!』


クソっ、私達が出せる全力を思いっきり出したのに、簡単に弾かれた!!


しかも、子供の遊び程度にしか思われてないなんて………


『なら、このまま無惨に死ね!』


駄目だ、殺られる…………


「〘8重加速オクタプル・ブースト〙────」

「えっ………」

『むっ、この気配は────』

「〘8重火力オクタプル・ファイア〙、不死鳥の一突きフェニックス・スピア・改!!」

『何!?』


あ、あのムカデが吹き飛んだ………


しかも、この声は!!


「「「「浦島さん!!」」」」

「大丈夫かい、皆?」

「「「「はい!」」」」


はぁ、助かった………


本当に死ぬかと思った………


:鏡花水月の皆が死にそうになったと思ったら、誰かが助けてくれたぞ!!

:この変な仮面は………あの変な仮面野郎じゃねぇか!!

:またこのパターンかよ………

:マッチポンプしてるんじゃね?

:いや、普通に助けてくれた事を感謝しようぜ、駄馬共。

:【このコメントは削除されました】

:あれ、手が何か吹き飛んでない?


あっ、本当だ………


「浦島さん、腕大丈夫なんですか?」

「ん?ああ、大丈夫。コレ位の身体強化魔法になると、腕を【硬化】してもポンポン吹き飛ぶからな、気にしなくて良いぞ。」


まぁ、治るのは知ってますけど、絵図的に心配になるんですよ、もう………


「た、助かりました、浦島さん………」

「少しだけ川の向こうに居るお祖母ちゃん達が見えた………」

「はぁはぁ、曾祖母ちゃんに心配かける所だった………」


まぁ、走馬灯や三途の川が見えても可笑しくない状況でしたものね………


浦島さんが居なければ、私達は実際に渡ってたでしょうし………


:月ちゃんは百歩譲って良いとして、何か皆と仲良さそうなのムカつくな………

:命の恩人だぞ?

:でも、これ昔からの知人っぽいぞ?

:【このコメントは削除されました】

:あ〜あ、駄馬君を刺激する様なコメントのせいで、怒っちゃったじゃん………


何してるんでしょうか、この人達………


いえ、今は無視しましょう………


「浦島さん、アレは一体何なのですか?」

「アレか?アレは三上山の大百足、深層第20階層のボスモンスターだ。」

「成る程………」


ムカデな時点で少し頭を過ぎりましたけど、とんだ化け物じゃないですか………


私達の力が通じない訳だ………


:日本妖怪の中で、怪物中の怪物な奴じゃねぇか!!

:神(龍)をも喰らう大怪異か………

:鬼◯郎だと弱くなかった?

:鬼◯郎の個体が弱いだけ定期

:まぁ、創作って強さは作者次第だし………


『痛い、ちゃんと痛かったぞ、シン!!』

「アレをちょっとで済ますんですね………」

「まぁ、あの程度の攻撃じゃ、アイツにとって弱攻撃を喰らった気分でしかないからな。硬すぎるんだよ、外骨格が………」


私が喰らったら、爆発四散しそうなんですけどねぇ………


格が違うとは思いましたけど、此処まで差があるのかぁ………


『ん?シンが二人居る!?どういう事だ!?』

「はぁ?それは此方の台詞だよ。」


そう言えば、浦島さんが来る前にも変な事を言ってましたね………


あの言い方だと、みたいでしたし………


「まぁ、良い。この子達を安全な場所まで頼んだぞ。」

『アイアイサー♪』

「あっ、ちょっ、待って………」


浦島さんがそう言った瞬間、私達を影が包んでいく。


こ、この影は、確か人間さんの────


☆☆☆☆☆


進side


「まぁ、俺がコイツに勝たない限り、この深層に安全な場所なんて無いか………」


負けるつもりはねぇが、万が一があるからな、現実ってのは………


『何、シンが1人になった!?そういう術を覚えたのか!!??』

「お前には何が見え────ああ、見えてなかったな、お前。」


そういや、10年前に藤原秀郷みたいにコイツの目を潰したんだった………


「気配か魂で俺を感じてたんだな。まぁ、精度は悪いみたいだが………」


何で俺が分裂してるんだよ、全く………


「────さて、もう一度殺してやるよ、大百足。」


此処から先は………


「ズルい、混ぜてよ勇者様。」

「そうですよ、勇者様。」

「アリスにユン、来てたのか………」


仕方ないな、もう………


なら、改めてもう一度!


「来い、大百足!此処から先は………」

「「「俺(私)達の独壇場セカイだ!!」」」


続く

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