第62話 第8階層 忍び寄る魔樹 樹木子

第62話 


鏡side


不死鳥の一閃フェニックス・ストラッシュ!」

『無駄だ、何度斬っても再生するわ!』


このバラの化け物との戦いは困難を極めていた。


コイツ、何本触手を斬っても再生して、襲い掛かってくる………


本当にしつこいなぁ、もう………


「喰らえ、〘炎魔砲フレイム・バレット〙!!」

『はは、そんな物は私に効かん!!そんな理解わかりきった弱点を対策してないとでも?』


月ちゃんの炎魔法を喰らっても、奴は少し身体を振るっただけで炎を吹き飛ばす。


成る程、生きている植物は燃えにくいとかいう奴ですか?


「なら、〘捕縛ロック〙!」

『くっ、鬱陶しい!我を捕まえた所で、こんなチンケな物じゃ、私の動きは邪魔なんぞ出来んぞ!!』

「足止めを少し出来たらそれで良い。後は頼んだよ、月ちゃん。」

「はい、〘召喚サモン吹雪ブリザード〙!!」

『なっ、凍って────』


:炎タイプ対策はしてても、氷タイプへの対策はしてなかったみたいだな!

:おお、全身がカチコチに凍ってくな………

:バラの怪物の氷像か、何か美しいな!

:札幌雪まつりとかで見てみたいな

:アレは氷像じゃなくて、雪像定期


確かに氷像は綺麗ですよね………


まぁ、製造過程を考えると、大分悍ましい物ではありますが………


さて、トドメをちゃんと刺して、あの芋虫みたいにならない様にしないと────


『フェッフェッフェ、コイツ等じゃ簡単に殺されちゃうかぁ………』

「きゃっ!?」


い、痛い!!


私の足が何かに刺された────


一体、何が起こったの!?


「鏡ちゃん!?〘上級回復魔法ハイ・ヒール〙!!」

「た、助かります。しかし、一体誰が私を攻撃して────」

『此処に居るよ。』

「「「「なっ!?」」」」


いきなりモンスターが現れた!?


気配や魔力とかを全く感じなかったのに、一体どうやって!?


『フェッフェッフェ、その驚く顔良いね♪私の特性、凄く驚くだろう?』


成る程、コイツの特性で誰も存在に気が付けなかったのか………


面倒な奴しか居ないのかしら、此処………


『私が木々に擬態している間はどんな気配すらも漏らさない。勿論、馬鹿な奴みたいに綺麗に隠れ過ぎる事もない。素晴らしいステルス機能だと思わないかい?』

「なら、何故姿を現したのですか?」

『フェッフェッフェ、喧嘩の基本はタイマンだろう?』

「いや、1VS4じゃないですか………」

『………私の名は樹木子。この血染めの樹海のボスモンスターさ!』


コイツ、話しを逸らした!?


:話を逸らして誤魔化そうとしてるの草

:樹木子ってアレだろ?鬼◯郎に出てた妙に強かった妖怪の奴

:水木先生の創作妖怪の奴か………

:あの人、吸血樹とか作ってるのに、こういう奴も作ってたんだな………

:吸血妖怪、やたら多いよな………


私はあの鳥みたいなペナンガランが一番印象に残ってますね………


元ネタは内蔵丸だしのR18-Gレベルな妖怪らしいですけど………


『さぁ、純潔を守る者達の新鮮な血を私に吸わせておくれ!』

「────不死鳥の一閃フェニックス・ストラッシュ!!」


あの変態ビッチみたいな事を言いやがって、そういうのは第3と第4階層だけで充分なんですよ!!


『おお、良い斬れ味だね。でも、私はそこのバラと違って、再生だけじゃないよ?』

『『『『『『『じゃないよ!』』』』』』』

「ふ、増えた………!?」


斬り落とした部分から、新たな樹木子が生まれるとか卑怯じゃありません!?


まぁ、本体よりは小さいという点においては楽ですけど………


『フェッフェッフェ、君達にこの軍隊を突破する事が出来るかな?』

「月ちゃん!」

「はい、〘召喚サモン吹雪ブリザード〙!!」

『おお、全部凍らせられちゃった!?なら、ちゃんと解凍しなきゃね!ポケモンで見たシード・ボム!!』

「水ちゃん!」

「了解、〘聖域結界魔法サンクチュアリ〙!!」


:種爆弾じゃん、アレ………

:ポケモンかな?

:下手したら、フラワーボムとかも使いそうだぞ、アイツ?

:それを使えるのはカードの奴だけ定期

:えっ、それマジ!?


『『『『『『『無駄だよ?』』』』』』』

「ちっ、復活しましたね………」

「なら、〘炎魔窮一閃フレイム・ストライク〙!!」

『いやぁ、私の分身達が燃えちゃうよ!!』


ああ、此方は普通に燃えるんですね………


なら、積極的に燃やしていく方向で………


『まぁ、自分で斬れば直ぐに補充出来るんだけどね♪』

『『『『『『だけどね!』』』』』』』


う、ウザい………


あのサキュバスクイーンとかや駄馬とは別ベクトルでウザい!


『さぁ、どっちが先に倒れるか勝負と行こうじゃ────はぁ!?』


あれ、何処か様子が………


『ちっ、何でいきなり!?くぅ、めっちゃ良い所だってのに────』


急に怒り出しましたね………


一体、何が起きて………


『おい、お嬢ちゃん達!早く此処から離れるんだ!!さっさと上へ逆走しないと、此処もアイツに襲われる!!』

「はい?一体、何を言って………」

『良いから早く逃げ────』

『『『『『『『逃げ────』』』』』』』

「「「「えっ?」」」」


樹木子がそう叫び切る前に、彼は消滅した。


下から現れた、何者かによって………


『シン────』


や、ヤバい────


アレは私達じゃ絶対に────


『シンは何処に居る!!出てこい!!!』


────勝てない。


続く




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