第60話 第7階層 砂漠の暴龍蟲 モンゴリアンデスワーム

第60話


眼の前には大量の砂嵐が吹き荒れていた。


一気にレベルが上がり過ぎでしょ………


第6階層にボスモンスターが居なかった(一応居たし、倒しました)のも、コレを悟らせない為だったのですね………


:ひえっ、じ、地獄絵図………

:コレ、もう災害だろ!?

:深層舐めてました、ごめんなさい!!

:大丈夫だよな、負けないよな皆!!

:馬鹿、変な事を言うな!!


そうだ、例え眼の前で砂嵐が吹き荒れていようと、私達が負ける道理はない。


それに、こんな物がどうしたというのだ。


浦島さんの方が荒々しくて、激しかった!!


「花ちゃん、月ちゃん。アレ、全部ぶっ飛ばしてくれる?」

「「了解、任せて!!」」


はい、任せました。


『何をする気かは知らんが、この砂嵐の大群からは逃れられんぞ、お前等!!』

「はっ、逃げる準備をしなきゃいけないのはお前の方だよ、芋虫!!」

「そうですよ!!何故なら、もう既に此処は私達の独壇場セカイなんですから!!」

『はっ、つまらん戯言だな!!』


はっ、そうやって調子に乗っていれば良いですよ。


私達の仲間は鬼強いですから、死んだ後に沢山後悔すれば良い。


「〘風魔窮一閃ハリケーン・ストライク!!」

「〘召喚サモン吹雪ブリザード〙!!」


花ちゃんの暴風を纏った一閃と、月ちゃんが召喚した吹雪が混じり合い、砂嵐の大群へとぶつかっていく。


『なっ、馬鹿な!?』


最初は拮抗していたぶつかり合いも、徐々に花ちゃん達の攻撃が押していく。


周囲を凍らせながら、少しずつ砂嵐を飲み込んでいき、勢いを崩壊させていき………


「「私達の勝ちだ、芋虫!!」」


────完全に、花ちゃん達の攻撃が砂嵐を踏破した。


:あの砂嵐の大群を吹き飛ばしたぞ!!

:はは、幻覚を見てるんじゃねぇんだよな?

:痛い、頬を抓ったら痛かったわ………

:なら現実か………しかし、深層の配信は目を疑う様な光景ばっかりだな

:あの変な仮面野郎とアリス様の奴もそうだったからな………


『ちっ、喰らってたまるか!!』

「逃さない、〘捕縛ロック〙!」

『クソが!!』


ナイス、水ちゃん!


まぁ、あの煙みたいな奴みたいに全身を結界に捕える事は出来ないみたいですね………


なら、次は私は………


『クソ、身体が凍って………』

「砂嵐をあんな大量に出された時はビビりましたけど、もう年貢の納め時みたいですね、芋虫。」


さぁ、終わらせましょうか。


『まだだ、まだ終わってねぇぞ!!』

「きゃっ、頭が抜けた!?」


あの芋虫、凍り切る前に頭を自切しやがりました!!


唯でさえ気持ち悪いのに、もっと気持ち悪くなりましたね!


『はっ、死ぬ前にその喉笛を噛み千切ってやるわ!!』


:えっ、キモ!?

:あの芋虫、トカゲみたいな事が出来るのかよ!!

:ヤバい、あの速さじゃ噛みつかれちまう!!

:はぁ!?何とか逃げてくれ、鏡ちゃん!!


成る程、死なばもろともという事ですか。


────でも、無駄ですね。


「〘4重加速クアドラプル・ブースト〙!」

『なっ、この距離で避けられ────』

「〘4重加速クアドラプル・ファイア〙、不死鳥の一突きフェニックス・スピアS!!」

『なっ─────』


決まりましたね、私の不死鳥の一突きフェニックス・スピア


まぁ、槍じゃなくて剣なのでSを付けてるんですけど……


:おお、あの攻撃を凄い速さで避けたぞ!!

:身体強化魔法の4重クアドラプルも使えるのか!?

:そんなに凄いの、それ?

:お前エアプか?身体強化魔法はな、3重まで使えれば良い方で、4重なんか使える奴は殆ど居ないんだぞ!!

:一応、EXに6重まで使える奴は居るんだけどな………

:尚、あの変な仮面野郎も6重まで使える模様………

:ていうか、剣ならスピアじゃないよね?


「くっ、腕や足が………」


少し痺れますね………


やはり、今の私には4重はキツかったみたいですね。


────でも、勝てました。


「大丈夫?ほら、〘回復魔法ヒール〙。」

「ありがとうございます、水ちゃん。」


ふぅ、これで大分楽になりました。


しかし、まだまだですね、私。


早く、浦島さんみたいに6重まで難なく使える様にならないと………


ズシッ!!


「あれ?今、変な音が………」

「うん、確かに聞こえた。」


ズシッ、ズシズシッ!!


「鏡ちゃん、水ちゃん!何か嫌な予感がする音がします!!」

「奇遇ね、月ちゃん。私も目茶苦茶嫌な予感がしてるわ。早く此処から、立ち去さった方が良いわ。」

「ですね、早く次の階層へ………へ?」


前へと進もうとした瞬間、足が沈んだ。


慌てて下を向くと、地面が少しずつ傾き初めていて、沈み続けていた。


こ、コレは………


「何で流砂が起きてるんですか!?」

「もしかして、あの芋虫が派手に地下で暴れたからとか!?」

「大丈夫、埋もれても私が全員守るから。」

「砂も私が全部吹っ飛ばします!!」

「いや、先ず飲み込まれない様にしましょうよ、皆さ────」


私がそう言い切る前に、私達は完全に流砂の真ん中へと流され、沈んでいった。


────もう嫌だ、砂漠なんか嫌い!!


☆☆☆☆☆


進&モンスターズside


「相変わらず、攻撃の見た目は派手だよな、モンゴリアンデスワーム。」

『だよね、地味に生命力も高いしさ。』

『私も生命力高いよ、シーン♪』

『ふふ、実はね………僕も生命力は高い方なんだよ、知らなかったかい?』


煩い、変態共。


お前等が高いのは生命力じゃなくて、精力の方だろうが………


『う〜む、泳ぎ心地が悪いのう。』

『当然だろ。まぁ、砂風呂としては満点じゃないか、海の者?』

『じゃな。どうせなら、普通の温泉に入ってみたいがな………』


おい、何故しれっと混じってるんだ、無様を晒した煙羅煙羅。


ていうか、負けた奴等が着いてくるルールとか無いのに、何で着いてきてるんだ、コイツ等?


────考えても無駄か。


「次は環境的には安全だが、一筋縄じゃいかない階層だ。頑張れよ、皆。』


まぁ、良い物もあるから、損はしないと思うがな。


続く

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