第56話 第5階層 フカヒレ戦隊 ワニレンジャー

第56話


鏡side


「ふぅ、大丈夫ですかね、この配信………」


第3と第4のモンスター達は自重という言葉を知らないのでしょうか?


いや、概念すら知らない可能性がありますね、多分………


:こ れ は ひ ど い(本日2回目)

:あの時だけBGMに『ヤラナイカ』が流れてそう………

:ニコ◯コ史上最大の風評被害ソングはやめてさしあげろ………

:阿部さんとどっちが強い♂んだろうね?


無駄な強さ議論はやめた方が良いですよ?


大概、泥沼になりますので………


「さて、そろそろ第5階層ですかね?」


そう言えば、第5階層から驚く様なエリアが続くと浦島さんが言っていましたが、どういう意味でしょうか?


☆☆☆☆☆


「広いですね………」

「大きいなぁ………」

「月は登りそうだし、日は沈みそうな場所だよね………」

「海ですね♪私、水着持ってくれば良かったかな?」


いや、水着配信なんてまだ早いですよ、私達には………


そういうのは、グラビアアイドルさん達に任せておけば良いのです。


適材適所なのですよ、月ちゃん………


決して………決して、私が水着を人に見せるのが恥ずかしい訳ではありませんからね?


────誰に言い訳してるのでしょう、私。


:凄いな、果てが見えねぇぞ、この海………

:小島はちらほら在るけど、デカい島みたいなのは見えねぇな………

:これ、どうやって渡れば良いんだ?

:まぁ、泳ぐしかないんじゃない?


無茶言わないで下さいよ………


絶対にロクに戦えないまま、モンスターの餌になるオチが見えてますよ………


というか、私泳げませんし………


「これ、どうします?」

「泳ぐ!」

「船を作る。」

「私の魔法で凍らせながら進みましょう!」

「花ちゃんは当然却下。水ちゃんも私達に船を作る技術も道具も無いので却下。月ちゃんのは少し検討してみましょうか………」


でも、こんな所で貴重な魔力を使うのは勿体無いんですよね………


マジでどうしましょう………


『ふふ、お困りかい、お嬢ちゃん方。』

「────ええ、またですか?」


誰かの声が聞こえてきた方へ振り向くと、角を生やした馬みたいなモンスターが浮かんでいた。


はぁ、海にも駄馬は居るのですね………


あれですか?


害虫ほど増えやすくて、沢山の場所に沸いて出てくるという………


『我はケルピー。この海を駆ける純愛主義者である。』


主義者ではなく、主義馬では?


ていうか、やっぱり駄馬側じゃないですか、このモンスター………


『我はこの階層を攻略しに来た者達に協力する役目を持っておってな。我はお主達をボスモンスターの所へ運んでやるつもりだったのじゃが………』

「じゃが?」

『すまぬが。あのバカ共の相手をしてはくれぬか?』

「バカ共?」


ケルピーが指す方向を見ると、5つの尾びれが水面に見える。


バカ共って、アレの事でしょうか?


しかし、何か綺麗というか、メタリックな色の様な………


『牙の勇者、メカダブルヘ◯ドシャーク、レッド!!』

『牙の勇者、メカシャークネ◯ド、レッド!!』

『牙の勇者、メカゴ◯ストシャーク、レッド!!』

『牙の勇者、メカシャークト◯ス、レッド!!』

『牙の聖女、メカシャークマーメイド、レッド!!』

『『『『『5匹揃って、フカヒレ戦隊ワニレンジャー!!!!!』』』』』

「「「ええ………」」」

「さ、鮫のスーパー戦隊だ!か、格好いいですね♪」


そ、そうですかね?


というか、何で全員レッドなんですか!?


それに、何で全員メカなんですか!?


何で、1人だけ聖女とかマーメイドとかジャンルが違うんですか!?


:キョウリ◯ウジャーかな?

:戦隊物するサメ映画の傑物達か………

:サ◯ドシャークも居そう………

:1人だけ鮫のジャンルも役所も違わない?


「出オチ感が半端ないんですけど、コレどうします?」

「倒すしかないんじゃない?」

「一気に吹っ飛ばす?」

「私、彼らのキック見てみたいです!」


確かにもう一気に片付けた方が良さそうですね………


後、月ちゃん………


それは戦隊じゃなくて、ライダーですよ?


『ミツケタ♪』

『『『『『しまった!もう時間切れだというのか!?』』』』』

『おやおや、せっかちでごさるな、イクチ殿は………』

「この声は────なっ、水!!」

「了解、〘聖域結界魔法サンクチュアリ〙!!」


謎の声が聞こえてきた瞬間、周囲に謎の息吹攻撃が降り注ぎ始める。


それを水の結界魔法で防ぐが、肝心の敵の姿が見えない。


一体、敵は何処に………


:変な声と共に息吹の雨が振ってきたぞ!?

:軽くホラーなんだが………

:皆が防いだり避けたりしてる中、戦隊鮫達だけモロに食らってて草

:ボロボロになってるな、どう見ても………


『『『『『クソが………我らの活躍を邪魔しおって………』』』』』

『邪魔されて怒るのは理解わかるが、お前等さん方が何をしても無駄じゃろう………』


おや、仲間割れでしょうか?


色々と相手するのが面倒だったので、ぜひ推奨するのですが………


『『『『『許さんぞ、イクチ様!!此処から先は、私達の遊泳地セカイだ!!!』』』』』


また、パクリですか………


真似るのが流行っているのですかね、コレ?


『ニテナイ!ニアッテナイ!!ソモソモ、ソンナニツヨクナイゾ、オマエラ!!!』

『『『『『お〜ぼ〜え〜て〜ろ!!』』』』』


あっ、瞬殺された………


マジで何だったのでしょうか、あの出オチ戦隊は………


『モウゲンカイ!スグニアソボウ♪』


────どうやら、本命の方からやって来るみたいですね。


さて、どんな奴なのでしょうか?


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る