第52話 第2階層 人間(ジンカン)

第52話


鏡side


:うおぉ、すげぇ!!

:一撃で深層のモンスターを倒したぞ!!

:想像以上に鏡ちゃんが強くなってる………

:これは本当に攻略できるんじゃないか?


視聴者の皆さんからも良い反応が返ってきてますね。


まぁ、浦島さんに鍛えて貰った私達なら、これ位は出来て当然な話です。


気を引き締めて行きましょう。


「それでは、第2階層に行きましょうか。」

「次はどんな感じなんだっけ?」

「確か、居住区と言っていました。」

「良い場所だって、人間さんが言っていましたね!久し振りに会うので、楽しみです!」


月ちゃん、楽しそうですね………


そう言えば、貴方は浦島さんだけじゃなく、人間にも助けられていましたね………


だからって、ピョンピョン跳ねるのは少しはしたないですよ?


☆☆☆☆☆


「これは確かに居住区ですね………」

「和洋折衷って、この事だね………」

「第1層以上にダンジョンか疑わしい場所ですね、此処………」

「この中に沢山のモンスターが住んでるんですね………」


:マジで居住区で草

:貧乏そうな一軒家から、高そうなマンションまであるのバリエーション豊富だな………

:建設中な場所もちゃんと在るのな………

:後、何か無駄に大きい宮殿みたいなのも在るけど、何が住んでるんだ?


「この中からボスモンスターの人間を探すとなると、大分苦労しそうですね………」

「えぇ、面倒そうだな………」

「いっその事、全部吹っ飛ばす?」

「成る程、その手がありましたね!」


:何か月ちゃん、脳筋になってない?

:昔はこんな娘じゃなかったんです………

:うおっ、本気で何か魔法使う準備してるぞ、あの娘!?

:良い笑顔でやろうとしてるの何か草


あからさまに浦島さんから影響受けてますよね、彼女………


昔は無邪気なだけだったのに、今じゃ無邪気な暴になりかけてますし………


『おいおい、大分駄目な方向に毒されちゃってないかい、月ちゃん?』

「あっ、人間さん♪〘水魔砲アクア・バレット〙!」

『────成る程、強くなったね。』


お目当ての人間が出てきたと思ったら、認識した瞬間に月ちゃんが魔法を放つ。


さっきまで溜めてた奴を放っただけなんだろうけど、何か酷くないですか?


:これが『であいがしら』ですか?

:でも、二人ともめっちゃニコニコしてるんだよなぁ………

:カレンさん、モンスターになっても美しいままだな………

:でも、あの変なロリコン仮面野郎のお手つきっぽいんだよなぁ………


おや、何かコメントが駄目な方向に………


「鏡さん、人間さんとは私1人でやらせてください!」

「大丈夫なの、月ちゃん?」

「大丈夫です!」

「なら、任せる。絶対に勝ちなさい!!」

「はい!!」


まぁ、今は月ちゃん達の戦いに集中するとしましょうか………


☆☆☆☆☆


月side


『見違える程に強くなった君の力、その全てを見せてもらうよ、月ちゃん!』

「はい♪ですが、覚悟して下さいね!此処から先は、私の独壇場セカイです!!」


そう答えると、人間さんは前に見た時と同じ様に周囲の影を操り出す。


あの影に触れられたら、無事じゃ済まないのは下衆野郎の末路で知っている。


だから、私は………


「〘水魔機関銃アクア・ガトリング〙!!」

『くっ、あの時より威力が上がってるね!!』


水のガトリングで彼女の操る影を一掃していく。


だけど、彼女を守っている影だけは切り崩せない。


それなら────


「〘3重加速トリプル・ブースト〙!!」

『おいおい、こんな事まで教えたのかい、浦島君は?』


身体強化魔法で近付いて、全力で杖でぶん殴る!


そうすれば、大体の奴はぶっ飛ばせる!


私は浦島さんにそう習いましたよ、人間さん!!


『仕方ないね、私も全部を出して君を叩き潰すとしようか!』

「なっ、それは────」


私の杖を、影の中から出した剣で人間さんは受け止める。


確か、この剣は人間さんの………


『私が人だった頃に愛用していた物だよ。良い剣だろう?』

「そうですね!〘属性魔法付与エレメンタル・エンチャント〙!!」

『良い小細工だね!!』

「くっ………」


────受け入れない。


コレが人間さん、いや人だった頃本来の力なのだろう。


武器に関する技量は明らかに人間さんの方が上だ。


それでも、私は………私の方が…………


「私の方が強い!〘3重火力トリプル・ファイア〙!!」

『くっ、それは此方の台詞だ!!』


一瞬だけ押し返せそうになるも、直ぐに適応していく人間さん。


近接戦闘じゃ、人間さんに勝つのは難しそうだね………


なら………


「〘水魔砲アクア・バレット〙!!」

『成る程、零距離攻撃か!!』


「この距離ならバリアは張れないな?」って奴ですね………


まぁ、アレみたいに致命傷になるとは思ってませんけど………


『でも、コレ位で私がくたばるとは思ってないよね、月ちゃん?』

「ええ。────でも、私の勝ちは確定しました。」

『何?』

「〘属性魔法付与エレメンタル・チェンジ〙………」

『まさか、さっきの魔法は!?』

「────〘氷魔砲アイス・バレット〙!!」

『ぐっ、か、身体が────』


先程、私の水魔砲を受けた際に、水を浴びてしまった部分が氷へと変換されていく。


そして、それに気が付いた瞬間には、既に人間さんの氷像が出来上がっているという寸法だ。


「トドメ、刺しますね♪」


全力で杖を振り降ろし、氷像を砕く。


────私の勝ちですね、人間さん♪


☆☆☆☆☆


進side


『いやぁ、負けちゃったね………』

「みたいだな、人間。」


コイツ、戦いが終った瞬間に俺の所へ来やがったな………


「相性悪かったし、仕方ないだろ。まぁ、相性良くても今の月ちゃん達に勝てるとは思わんけどさ………」

『はっきり言ってくれるね、その通りとは思うけどさ………』


と、落ち込む様にもたれ掛かる人間………


やめろ、重い………


「さて、次は第3階層か………」

『アレ、配信できるのかい?』

「一応、自重する様には言っておいたぞ。」


う〜ん、目茶苦茶心配になってきた。


大丈夫かな、サキュバスクイーンとか


R18認定受けなきゃ良いけど………


続く

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