第51話 新宿ダンジョン深層攻略配信/第1層 ヘルボロス

第51話


鏡side


「遂にこの日が来ましたね………」

「あのマジで死ぬと思い続けた特訓の日々が懐かしい………」

「まだ一週間しか経ってないけどね………」

「やっと浦島さんや人間さん、社長が見てる景色に辿り着いたんですね、私達!」


この一週間は地獄だった………


あの人、本当に容赦なく私達をシゴいて来ましたね………


私達が死にそうな顔をすると、満面の笑みで返してくるんですよ?


アレは絶対にドSですね………


そうやって、女の子をヒイヒイ泣かせて来たのでしょう………


────まぁ、小学生くらいの女の子を含めた何人かに昏睡逆レされる位には女難でもあるみたいですが。


「じゃあ、配信を始めましょうか。」


☆☆☆☆☆


「視聴者の皆さん、こんにちは。鏡花水月の鏡です。今日はゲリラ配信になってしまい、すみません。」

「鏡花水月の花担当の私も居るぜ!」

「水も居ます。」

「こんにちルナ!私も居るよ♪」


:おお、珍しく全員揃ってる!

:皆、やりたい放題だもんな………

:しかも、ゲリラ配信だぜ?

:というか、この景色って………


おや、勘の良い視聴者の皆さんは気が付いた様だ。


「はい、私達は今新宿の深層に来ています。ダンジョンなのに、凄く広い草原ですよね。初見は本当に驚きました。」


:やっぱりか………

:あの地獄みたいな場所に何で来てるの?

:ていうか、此処ってあの変な仮面なロリコン野郎が住んでる場所でしょ?

:皆、大丈夫なの?

:【このコメントは削除されました】


おっと、荒れてきちゃったね………


事情を知っていると、ロリコン扱いは少し可哀想になるね………


ロリに食われる青年の方がヤバい絵面な気はしますが………


「あっ、浦島さんなら大丈夫ですよ!さっき挨拶しましたけど、快く迎えてくれましたから!」

「────多分、フォローになってないですよ、月ちゃん。」

「えっ?」


:【このコメントは削除されました】

:【このコメントは削除されました】

:【このコメントは削除されました】

:またユニコーンが暴れてるよ………

:あっち側になってる奴等は無視しようぜ、構っても仕方ないよ。


それもそうですね、無視していきましょう。


「この深層に来た理由は、行ける所まで皆で攻略しようと思ったからですね。」

「ある人に死にそうになる位に鍛えて貰ったからな!その成果を見せる時だぜ!!」

「私達は強くなった………」

「視聴者の皆さんも見守っててね♪」


:は〜い!

:遂に鏡花水月も此処まで来たのか………

:コレ、皆EX探索者になれる可能性があるんじゃね?

:ある人って、もしかして………


「さて、じゃあ行きまし────」


そろそろ草原エリアを進もうとした瞬間、固まってしまった。


「何でもうボスモンスターが居るのですか?早過ぎません?」

『久し振りの進以外の強者だ。早く戦いたいと思うのは道理だろう?』


このモンスターの名前は確か、ヘルボロス。


この草原を駆ける、全てを切り裂く獅子のモンスターだと浦島さんから聞いている。


しかし、思った以上に戦闘狂なのね………


:おお、大きなライオンだ………

:何か毛が刃物みたいに光ってないか?

:尻尾も刃物みたいになってるぞ

:覇王色飛ばしてそう………


確かにライオンは百獣の王ですから、適正はありそうですよね………


しかし、ネタが古くありません?


「どうする?皆でやる?」

「いえ、先ずは私から………」


:あれ?深層モンスター相手に1人でやる気なの!?

:し、死んじゃうよ、鏡ちゃん!?

:む、無茶せず皆でやろうよ!!

:あ〜あ、死んだな、こりゃ……


確かに、昔の私達ならその通りでしょうね。


でも、今の私達は違います。


浦島さんに鍛えて貰った私達の力を、皆に見て貰いましょうか!


「〘3重加速トリプル・ブースト〙×〘《トリプル・ファイア》〙………」


さぁ、浦島さんに教えて貰ったこの技を喰らいなさい!!


不死鳥の一閃フェニックス・ストラッシュ!!」


私の剣から放たれた一閃が、奴の身体を両断していく。


「どうです、視聴者の皆さん?私達は、これ程までに強くなりました!」


これ位は出来ないと、浦島さんに申し訳ないですからね………


☆☆☆☆☆


進side


「ヘルボロスを1人で倒したか………」


まぁ、それ位は出来る様に鍛えたからな。


幸先は良さそうだな、鏡ちゃん………


「しかし、また代替わりだな………」


また第1層が荒れに荒れまくるぞ………


はぁ、人間の所にまた転がり込むか………


「さて、次は第2階層か………」


さて、皆は人間の奴とどう戦うのかね………


「ふふっ、楽しみだな………」


続く



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