異世界に召喚され帰還した元勇者、帰還したら50年も経ってて浦島った上に現実世界もファンタジーに侵食されてた件〜しかも、いつの間にかダンジョンの番人扱いまでされてるオマケ付き〜
第43話 キャリア・ウーマンはハーフエルフ
第43話 キャリア・ウーマンはハーフエルフ
第43話
「ふぅ、終わったな………」
さて、どうしようか?
人は無理矢理に避難させたとはいえ、こんな所で戦ってしまったな………
目立つの自体は別にどうでも良い(もう今更な話とも言う)し、何を言われようとも別に気にはしないのだが、警察とかに追われるのはちょっと面倒だな………
「不死性を持って不死性を持つ存在を殺す。まるで、同族殺しみたいだ。」
「ん?何だ、やっと出勤か、ユン?」
「君が戦っていたからね、少し高みの見物をしてた訳だよ。」
成る程、観察されてた訳だな。
女に覗かれて喜ぶ趣味は無いんだがな、勿論男にもだが………
「さて、話し合う気にはなったか、ユン?」
「────ああ。だが………」
「だが?」
「君が暴れたせいで、他の仕事まで発生してしまった。それの後処理、尻拭いをするから少し其処で待っててくれ。」
「ちょ、お前────痛っ!?」
彼女がそう言った瞬間、何処かの仕事部屋みたいな場所へ飛ばされる。
クソ、またこの変な転移魔法かよ………
しかも、本日二回目の地面キスだぞ?
天丼してんじゃねぇよ、全く………
コンコン!
あれ?誰かドアを叩いて………
「失礼しますよ、社長────って、何で浦島さんが!?」
「月ちゃん!?そっちこそ、何で此処に!!??」
まさか、こんな所で会うとはな………
☆☆☆☆☆
「そう言えば、君が彼女を助けてくれたんだっけ?礼を言うよ、ありがとう。」
「その礼を言うべき相手を、お前は殺そうとしてたけどな。」
「ソレはソレ、コレはコレという奴だよ。君もよくやるんだろう?」
「────さぁな。」
図星だから何とも言えない。
しかし、まさか胸デカハーフエルフが月ちゃんの上司、というよりは………
「────しかし、お前が鏡花水月の所属する会社の社長だったんだな。」
「うん。色々あって配信業という仕事に魅せられてね。気が付けば、自ら社長になってたんだよ。そのせいで、本業である探索者の仕事が疎かになっちゃったけど………」
成る程、副業にかまけて本業をサボってたんだな?
アリスといい、ユンといい、何か割としょうもない理由で深層の攻略をやってなさそうだな、EX探索者共………
「────まぁ、世間話は此処までにしようか。さて、浦島君だったかな?何故、君はあの男と戦ったんだい?」
「それが昔の俺の仕事だったからだ。最早、職業病みたいな感じで殺り合っちまったんだよ。」
「へぇ、そうなのかい?」
彼女は少しの間だけ考える様子を見せ、こんな言葉をぶつけてくる。
「君は不死鳥については何処まで知ってるんだい?」
「不死身の焼き鳥クソバード、迷惑の塊で愉悦部所属の死んだ方が良い生き物。」
何処ぞのコズミック害鳥と良い勝負が出来そうな位のクソさ加減だったな………
「────ま、まぁ、確かにその通りだね。実際にそのせいで勇者様一行に殺されたらしいしね。」
勇者様一行ね、懐かしい響きだ………
というか、他所でも似た様な感じで殺されてんのな、不死鳥。
はは、ザマァw
「だから、本来は不死鳥の涙なんて作る事が出来ないんだ。」
「それはまぁ、だろうな………」
確か、アレは不死鳥の血を使って作る物だ。
で、大体は人が不死身を求めて作るのだが、その中に不死鳥自身が作ってみた本物を混入させる事があるから質が悪い。
あれ?じゃあ、あの男は何で………
「此処からが本題なのだけれど、今から10年前くらいから、何故か不死鳥の涙が裏で流通し始めたの。」
10年前って事は、俺がこの現実世界に帰って来た頃くらいか………
「母上様も絶対に復活する事はないって断言してたのに、あの薬が齎す効力に犯された人間が後を絶たないのよね………」
「その母上様とやらが読み間違えた可能性はないのか?」
「ある訳がないわ、母上様だもの。」
「お、おう………」
こ、コイツ、マザコンだな?
余計な事は喋らない様にしよっと………
「そもそも、不死鳥の権能は母上様が愛した父上様………勇者様が全部喰らったの。もう二度と復活出来ない様にね。」
────ん?
「焔の嵐が吹き荒れる火山の頂上、この世界に生きる全ての生物を嘲笑うかの様に君臨していた不死鳥を、勇者様一行は見事倒してみせた。当時は戦士様が居なかったから、途轍もない死闘だったそうよ。」
────んん?
「最終的に、勇者様と異空間にて決着を着ける為にタイマンをして、見事敗北したと母上様から聞いているわ。」
────んんん?
「な、なぁ………」
「あら、どうかしたのかしら?」
「も、もしかしたら、何だけど良いか?」
────正直、聞きたくない。
でも、聞かなければ………
「お前の言う母上様の名前って?」
「はい?どうして、そんな事が気になるの?それに母上様はもう………」
「クッ………いや、今は良い。どうしても、知りたいんだ。答えてくれるか?」
「………完璧で究極、最強で無敵な大賢者、リン母上様だけど?」
────知ってる!!
それ、目茶苦茶知ってるよ!!
という事はまさか、コイツは………
「お前、あのクソアマエルフの娘か!!」
そして、アリスの言葉が正しいのなら………
────コイツも、ミリスちゃんと同じ俺の娘だ。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます