第38話 水棲モンスター、現る現る
第38話
『ふぅ、スッキリした!ありがとう、僕の王子様♡』
「おう、どういたしまして。だから、さっさとその棒を仕舞ってくれ。」
『おっと、すまないね………』
俺のせいとはいえ、何でこんなにも野郎の穢れたバベルの塔を見せられなきゃならねぇんだ?
俺にそっちの気はねぇからな?
『今から目覚めても良いんだよ?この姿の僕はどっちも楽しめるしね♪』
「嫌に決まってるだろ!?」
はぁ、相手してると疲れる………
さて、早く帰ろう………
『あ、そうそう………』
「ん?何だ、インキュバスキング?」
『下の奴が最近騒がしくてね、我慢が出来てないみたいなんだ。』
「はぁ?お前等じゃあるまいし………」
下って事は第5階層の奴だろう?
そんな騒がしく暴れる様な奴は………
『ミツケタ!』
「この声は───うおっ!?」
知り合いの声が聞こえたと思った瞬間、地面から水の柱が立ち上がる。
いや、この声的にコレは………
「
第4階層にコレを使える奴は居ない。
そして、この技をこの層に居る俺へピンポイントに届けられる奴を、俺は一匹しか知らない。
「何の用だ、アヤカシ!!」
『ヒサシブリ、アソボウ!』
奴の声が響いた瞬間、俺の真下の床が消え去る。
そして、そこから見えるのは無限に広がってるのかと錯覚する位の量の水。
────間違いない、コレは!?
「なっ、ちょっ、此処でそれは止めろ!!」
『バイバイ、頑張ってね♪』
「俺飛べないんだから、助け────」
その言葉が完全に放たれる前に、景色が移り変わる。
薄暗い牢屋とは違い、南国かの様な空気と無限に広がる水、水、水!
そして、チラホラと点在する陸地と砂浜。
「あの野郎、俺を第5階層に無理矢理引き込みやがったな!?」
ていうか、何でまた落ちなきゃならねぇんだよ!?
そういうのは仙台ダンジョンで嫌という程に味わったわ!!
☆☆☆☆☆
「ぺっぺっ、凄い塩っぱい………」
あの後、思いきり水に………海に落とされた俺はプカプカと波に任せるままに浮かんでいた。
くそっ、口に塩水が入ったじゃねぇか………
まぁ、酸っぱい臭いや栗の花の臭いを洗い流してくれると思えば、ラッキーか?
いや、今度は磯臭くなるだけか………
「さて、どうしようか?」
近くの小島にまで泳いでいくか?
『おお、同士!我が同士ではないか!!』
「おっ、この声は………」
どうやら、手間が省けそうだな………
『どうして、こんな所で浮かんでおるのだ?遭難したのか?』
「まぁ、似た様な物だよ、ケルピー。」
『おお、それは大変だ!同士よ、我の背中に乗るか?』
「ありがとう、助かるよ。」
ケルピー、このモンスターは海の中を自由自在に駆ける馬のモンスターである。
見た目は尾びれとか生えた水棲ユニコーンなのだが、コイツは別に処女厨という訳ではない。
バイコーンみたいに性癖のデパートな訳でもない。
コイツの性癖は………
『よし、我に乗ったな!では、共に純愛を穢すNTR厨共を滅ぼしに行こうぞ!!』
「いや、行かないぞ………」
『なぬ⁉』
まぁ、俺も幼馴染物でNTRやBSSを書く文明は滅びるべきだとは思うけどさ………
マジで滅ぼしに行こうとするのは、純愛厨を拗らせ過ぎなのよ………
『では、何処に?』
「お前等のボスモンスターの所に連れてってくれるか?」
『成る程、イクチ殿に用があるのか?では、急ごうか!』
「ああ、急がねぇと………」
────ちっ、遅かったか!
『ミツケタ!ミツケタ!!』
「ケルピー、
『了解!しっかり捕まっておれよ!!さぁ、振り切るぜ!!!』
アヤカシ、もしくはイクチ(アヤカシの別名)から放たれる
「ちっ、相変わらず面倒だな!!」
『わざわざ自分の息吹だけを転移させる力を持っとるからのう、イクチ殿は。』
「実質ホーミングみたいになってるから、質が悪いんだよな………」
しかも、それをアリスの
威力こそ【硬化】でギリ防げる物だが、流石に浴び続けると短時間で蜂の巣状態になってしまうのが面倒なのだ。
『よし、一旦止んだな!なら、直ぐに潜ってイクチ殿の所へ連れて行くぞ!!』
「おう、頼んだ!なるべく急いでくれよ?じゃないと、溺死しながらアイツの所へ行く事になるからな!!」
『シャハハハ!!そう簡単には行かせないぞ、浦島 進!!』
「ちっ、面倒なのが来た………」
声が聞こえてきた方を向くと、5匹の魚系モンスター達が集まっていた。
その姿はメカメカしく、明らかにカラクリ人形なのが見て取れる。
はぁ、やっぱり、こいつ等か………
『メカダブルヘ◯ドシャーク、レッド!!』
『メカシャークネ◯ド、ブルー!!』
『メカゴ◯ストシャーク、イエロー!!』
『メカシャークト◯ス、イエロー!!』
『メカシャークマーメイド、ピンク!!』
『『『『『5匹揃って、フカヒレ戦隊ワニレンジャー!!!!!』』』』』
────戦隊物かな?
会うたびに毎回そう呟きそうになる絵面と台詞だ。
というか、ピンクだけ何で毛色が違うんだ?
『『『『『さぁ、浦島 進!お前を切り身にしてやるぜ!!』』』』』
続く
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