第26話 第23階層 バジリスク

第26話 


水虎を倒して次の階層へ来た俺達。


果たして、今度の敵はどんな奴だろうか?


「水虎は強敵だったな、アリス。」

「うん、ギミックを攻略できなければ普通に殺られてた。」

「だな。まさか、あのボスラッシュを超えて初の敵があんな敵とはな………」

「………勇者様、可哀想。」

「何で憐れまれたんだ、俺!?」


いや、あのボスラッシュを超えて初めて戦ったのが水虎だって言っただけだぞ、俺!?


『シュー!人間、茶番はそこまでにするでリスク!!』


おっ、やっと来たな………


しかし、何かバカみたいな語尾だな………


どんなマヌケた面をしてるんだろうか………


『このバジリスク様の餌食になるでリスク!さっさと無惨に殺されるでリスク!』


げっ、バジリスク蛇の王様!?


アイツ、ユニコーンとは違った意味で面倒なんだよなぁ………


「アリス!」

「もう防毒装備は着てる。」

「なら良し!」


流石、手際が良いな………


いや、昔バジリスクに油断して酷い目に合ってたから、当然か………


『喰らえ、毒霧ポイズン・ミスト!』

「グハッ、ゴホッ、やっぱり、キツいな、この毒………」


コイツが吐く溜息は猛毒で、大体の敵はイチコロである。


しかも、コイツの毒が真に厄介なのは………


『ほう?色んな毒に耐性があるタイプでリスクな?だから、あの防毒装備を着けている女と違って無防備なのでリスクか。舐めて貰っちゃ困るなぁ、人間!!』

「グフッ、全力で避け続けるぞ戦士!ヤバいのが来る!」

『はっ、避けれる物なら避けてみせるでリスク!毒雨ポイズン・レイン!!』


くっ、この野郎、こんな狭い所で毒の雨を降らすとか卑怯だろ!!


────それにこの技は!!


『ふふ、どうやらこの技がどういう物か知ってるリスクね。』

「ああ、この毒の雨は全てを蝕む。例え、耐性がある生物だろうと、直ぐに耐性を作れる生物だろうと、毒が猛スピードで進化していき全てを溶かす究極の毒、だったか?」

「………これじゃあ、私の防毒装備も無意味だね。」

『そうリスクなぁ!それに、知っているのはそれだけじゃないリスクだろう?』

「この技はお前も蝕む………」

『そう、この技は捨て身リスク!!』


バジリスクが追い詰めらた時に使うのがこの技だ。


だが、まだ戦いは始まったばかりなのに、何故コイツは………?


『お前等が強い事は普通に理解わかるリスク。それなのに、出し惜しみする馬鹿は居ないリスクよ?』


成る程ね………


「なら、お互いにさっさと倒さなきゃ死んじまうなぁ、バジリスク!」

『案外、共倒れになるかもリスクよ?』

「そんな気、無い癖に………」

『当然リスク、自らが勝ってこその捨て身リスク!!』


全てを蝕む毒の雨の中の戦いが始まった。


防毒装備をしているアリスは兎も角、さっきから激痛が酷いな、コレ………


『喰らえ、一目惚れストーン・アイ!』

「うおっ、石化光線か!!」

『我はバジリスク!当然の力リスク!』


クソっ、卑劣な技を使いやがって………


痺れる一時パラライズ・バイト!』

「〘《サモン》・シールド〙!」


今度は奴の口から歯型の様な斬撃が飛んでくる。


アリスはちゃんと攻撃を防いでみせたが、その時に霧散したエネルギーさえも俺達を蝕んでいく。


少し痺れるな、コレ………


猛毒に石化、その次は麻痺毒とか多才だな、蛇の王様は………


『コレを防ぐリスクか!なら、この毒はどうだリスク、安らかな眠りスリープ・ミスト!!』

「ちっ、不死鳥の一閃フェニックス・ストラッシュ!」

『これも吹き飛ばすか、人間!』

「こんな所で眠らされても堪らんからな!」


はぁはぁ、それでも完全には飛ばしきれないか………


少しだけ───意識が─────


「────アリス、まだ魔法は使えるか?」

「うん。私は防毒装備がある分、まだ充分使える。勇者様は?」

「────俺は無理だな、普通に力押ししか無理な状態だな。」

「なら、今回は私が決める。」

「おう、サポートは任せとけ!」

「了解!」


よし、さっさとケリを着けるぞ、蛇の王様!!


『作戦会議は終わったリスクか?なら、コレで終わらせるリスク!もうそろそろ、我自身もヤバいでリスクからな!』


そう叫んだ瞬間、バジリスクの身体が毒々しく光り始める。


そして、奴の身体は毒液に包まれていき、とある蛇の形へと変化していった。


蛇神纏カガチマトイ・八岐の大蛇!!』

「何で、それだけ日本語なんだよ!!」

『水虎のリスペクトだ!』


成る程、確かにカッコいいもんな、アイツ!!


「なら、俺も全力で受け止めてやる!!」

『なっ、正気か貴様!?』

「正気さ、毒に溶かされる位なら、何度も嫌な程にあっちで喰らってきたさ!!」


と強がってみた物の、猛毒を纏ってる奴を受け止めるのはやっぱりキツいわ………


色んな所が溶け灼けて、目茶苦茶痛い。


毒と痛みで意識も直ぐに消し飛びそうだ。


それでも、俺は………


「俺は勇者だ、これ位の技なんてヘッチャラじゃなきゃ、何も守れない!」

『人間、貴様────!?』

「さぁ、撃て戦士!!」


俺ごと、この蛇を貫いてやれ!!


「〘《サモン》・電磁砲レールガン〙。」


────彼女が召喚するは電磁砲、強力な磁力で全てを貫通する最強の銃。


「任せて、勇者様!」

『成る程、コレは………』


彼女が放った弾は、俺とバジリスクの両方を貫いていく。


風穴を開けられ、共に倒れる中………


『────我の負けだな。』

「────ああ、俺達の勝ちだ。」


やっぱり、毒持ちはキツいなぁ………


ああ───意識が飛んでいって─────


「勇者様、コレを飲んで。」

「ムグッ!?」


えっ、何か口に柔らかい物が!?


そして、何か流し込まれてる!!??


「バジリスクの毒袋から作られる解毒薬、勇者様は今ちゃんと飲めそうにないなら口移ししてあげるね♪」


あ、アリスさん!?ちょ、待っ、アァ────


続く

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