第25話 第22階層 水虎
第25話
「さて、あのボスラッシュの次はお前か?」
あの烏合の衆を倒した俺達は即落とされ、眼の前に居るモンスターと対峙していた。
『ああ、我が名は水虎。文字通り、水の虎である。』
水虎、確か中国の方の妖怪だったか?
いや、鬼◯郎でも見た事があるな………
そういや、鬼◯郎は何期までやってるのだろうか?
俺が転移させられる前は六期までやっていた気がするが………
『その前に一つ良いか?』
「何だ?」
『我の前にペガスコーンが居たであろう?あの第20階層から落ちてきたのなら、先にアイツと会っているのでは?』
「────いや、記憶にないな。」
『えっ?』
「えっ?」
「『えっ?』」
何で『何を言ってるんだ、コイツ?』みたいな顔をしてるんだ?
その顔をしたいのは俺の方だぞ?
『そこの相棒らしき女、コイツは何かに頭をやられたのか?充分に戦えるのか?』
何でそこまで言われなきゃならないんだ?
ていうか、心配までされてるし………
「ごめんなさい、前のアレが酷かっただけだから。だから、ちょっとだけ私達に付き合ってくれる?」
『────成る程、大体把握した。此方こそ、あの駄馬がすまなかった。』
何でこいつ等は当人を仲間外れにして喋ってるのだろうか?
というか、駄馬って誰の事だ?
このダンジョンで馬系のモンスターとなんか戦ってないだろう?
『────よし、戯れは此処までにしよう。我が激流に沈め、人間!』
「簡単に沈むかよ、【
小手調べに斬撃を放ってみると、いとも簡単に水虎の身体を真っ二つにする。
だが………
『ふむ、良い斬れ味だな。スキルによる攻撃にしては、ちゃんと我々に通じる強さだ。」
効いてないみたいだな、これ………
ちょっと嫌な予感はするが………
「戦士!」
「うん、〘
アリスにも魔法の弾丸を放って貰うと、俺の斬撃と同じ様に奴の身体を貫いた。
だが、奴は微塵も効いている素振りを見せない。
効いてない様に見せいてる訳でなく、確実に効いてない。
『我は水の虎と言ったであろう?水を斬ろうが、撃とうが、全ては無意味だ!』
そういうタイプね、厄介だなぁ、もう!!
「なら、俺の剣なら通じるだろ!」
『はは、それはどうかな?』
余裕の笑みを浮かべる水虎を警戒しながらも、俺の聖魔剣を振り下ろす。
コイツなら、当たった相手の力を吸い込んでいく。
例え、相手の身体がどんな物質で作られていようとも────
「なっ、手応えがない!?」
『水は姿形を自由自在に変える物、少しの振動で波紋を作る存在だ。そんなに力任せの攻撃など、簡単に避けれるわ。』
「成る程、流動回避か!!」
なら、どれだけスピードや火力を身体強化魔法でアップさせても当たらねぇな………
『さぁ、今度は我の番だ!我が爪を喰らうが良い、水虎激流斬!!』
「させない、〘
奴の手から放たれる水の斬撃を、アリスの盾が防いでくれる。
だが………
「うわぁ、戦士の盾が一撃でボロボロじゃねぇか………」
俺の
『我が爪は全てを壊す。水こそが最強の武器だからな!』
確かに、水滴でも時間さえあれば、石を穿つらしいからな………
────恐ろしい力だよ、全く。
「はてさて、一体どうする戦士?」
「────少し時間を稼いで。」
「了解、頼んだぞ!!」
☆☆☆☆☆
アリスside
奴の身体は水、全ての攻撃を受け流す潤いボディ。
銃系統の武器は当然として、他の斬撃系や打撃系も無意味だろう。
拘束する様な物なんか、普通にすり抜けられるのが目に見えている。
だからこそ………
「小細工をして、精一杯足掻く。」
異世界で、勇者様から教わった事の一つだ。
「〘
私の魔法は武器を作る魔法。
作り出せるのは現実的な武器だけじゃない、こういうファンタジーみたいな物も作り出せるのだ。
そして、相手は水だ。
それならば………
「〘
凍らせてから、ぶっ壊す!!
「ガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガト、ガトリング♪」
さぁ、全身ヒエッヒエに凍っちゃえ!!
「よくやった、戦士!」
「うん♪後はやっちゃえ、勇者様!」
「おう!
勇者様の放った一閃が、凍った水虎を真っ二つにする。
今度こそ、彼の姿形が変わる事なく永遠にそのままだろう。
「「俺(私)達の勝ちだ、水虎。」」
さぁ、次のモンスターも勇者様と一緒に頑張らないと♪
続く
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